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Lily  作者: 迎日 葵
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一話

初・ファンタジー創作。

シリーズものになります。


色々な好きな要素を詰め込んだお話を書いていくつもりです。お気に召したら嬉しいです。

温かい目で見てくださいませ。


小さな村から少し離れた所にあるその森は、〝黒い森〟と呼ばれ、人々から恐れられていた。

そんな森に住む者が一人いた。

名をイザベル。かつて偉大と言われた黒竜と人間との間に生まれた魔女であった。


月明かりが木々から差し込む森の中。辺りは鳥の鳴き声と、静かな風が吹いているだけ。魔女は変化のない日常に喜びつつも、少しだけの物悲しさを感じていた。



ある日、魔女は森の中にある湖で水浴びをしていた。水面に照らされた月を眺め、ホーホーと鳴くフクロウの声に耳をすませていた、その時。

森の入り口付近の方向から、微かに人間の声が聞こえてきた。普段なら誰も寄りつかないこの森に、一体何の用があるのかと考えた魔女は、水中から上がり、体を拭いた後で衣服を身に纏った。


気配を感じた場所まで歩くと、そこには人間の男女二人が、傷だらけの状態で倒れていた。女の方は胸元に赤ん坊を抱え、おぎゃあおぎゃあと泣き続けている。

まだ息のある女の方へ駆け寄り、ゆっくりと抱き起こす。


「お……ねが、い……」


この子を、と言いかけ、女は男の後を追うように、命の灯火を消した。

魔女は心を痛めた。今までいくつもの死をこの目に映したが、それはいつまでも慣れることはなかった。

魔女は赤ん坊を抱き上げ、草で簡易的な揺りかごを作る。呼んだ二匹ほどのフクロウに揺りかごを揺らす役割を任せ、彼女は男と女の墓を建てた。


「名前も聞くことが出来なかった。人間たちよ、この赤子は私が責任を持って育てる。だが……あまり期待はしないでいてくれ」


彼らの安らかな眠りを祈り、赤ん坊の元へ戻った。

赤ん坊はフクロウへ手を伸ばし、あうあうと声を発している。

作った簡易的な揺りかごから、赤ん坊を抱き上げる。すると、赤ん坊は魔女のバーガンディの瞳を興味深そうに凝視し、またあうあうと言いながら喜んでいるようだった。

その様子に魔女は、心の中に空いていた穴が、少しずつ埋まっていくような気持ちになった。


「お前の両親の代わりになる。至らないことも多いだろうが、許してくれ」


そう言うと、まるで返事をするようにキャッキャと笑った。


「そうだ、名前を決めないとな。おいやお前では不便だろう。そうだな……」


墓の方へ目をやる。女の、母親の髪色を思い出す。血や泥で汚れてしまっていたが、本来ならば白百合のように白く美しいのだろうと思った。


「……では、白百合という意味で、リリーというのはどうだ」


赤ん坊は、まるで応えるようにその小さな手を魔女の頬へ伸ばし、触れた。

魔女は驚いた。己の頬に触れるその手の温かさに。

今まで孤独に生きてきた魔女の心は愛おしさで溢れ、自然と目からは涙がこぼれた。


「……さあ、リリー、今日はもう遅い。私の住む洋館へ、一緒に帰ろう」


涙を拭い、我が子となった赤ん坊を抱え直して道を歩く。



この日から、魔女であるイザベルの慌ただしい日々が始まった。

一度もやったことのない子育てに苦戦し、森の近くにある村へ助けを求めに行ったのは、また別のお話。





───────To be continued.





ちなみに書き始めたきっかけは、「魔女集会で会いましょう」です。いいよね。集会。

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