表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

巳ーさん 2

巳ーさん 2


2というほどネタはないんですが。


 巳ーさん怖くなくなったのは蛇の大将の恋物語を読んでからですが。さて。タイトルなーんだ。


 昔って巳ーさんは雌雄同体って聞いたんですけど、ほんとに? と疑問に思って蛇の本を買って帰ったはいいものの、アホやわーと、自分が情けなくなったのは、生物学の本を買うべきところを民俗学の本を買っていることに帰って読み始めるまで気づいてなかったこと。なんかこう間抜けなんよ。で、そのまま。うん。間抜けやわ。


 あまり直に巳ーさんを見たと言う記憶はなくってですね。

 昔の家。終戦前の空襲で家具やら土地の権利書やらいっさいがっさい火事場泥棒に奪われたらしい祖母の記憶。ですから祖父が帰国するまで今の家の斜め前にあった駐車場の二階を借りて住んでいたらしいんですけどね。もちろん他人のものよ。帰国して今の家を買ったらしい。その頃わたしは影も形もないので祖母からの伝聞でうっすら聞いた記憶があるだけ。そんなわけですから建て直す前の我が家は戦前から建っていた結構古い木造平屋。トイレとお風呂なんて屋根と廊下あるもののガラス戸開けて外に出ていかないといけなかったんです。まぁそんな古い家だったので昔だからって言うのもあるんですが縁側に飼っていた鳥の籠なんか下げているわけです。で、下げてるとどこからともなく巳ーさんが狙ってやってきて、朝餌やりをする祖母に満腹状態で見つかってビニールに入れられて海に捨てられる。ーーーらしいんですよ。かなり昔はそういうことをしてたようで。府堕落渡海ーーー漢字これだっけ? いやいや。

 戦争経験している女性は強いよ。男手ないもんねぇ。

 父方祖父は巳ーさん駄目で、家に出ると祖母に頼っていたらしい。お巡りさんだったんだけどねぇ。祖母は祖母で洗濯の棹を持ち上げる先割れになっている棒で「エイヤッ」とばかりに捕まえていたらしい。その後の巳ーさんの運命は知らない。カゴンマの山の中だからまむしの可能性も高いのかなぁ。

 母方の祖父は歩兵だったから巳ーさん怖いなんていってたら食べるものなかったかもしれないんだけどーーーどうなんだろう? サイパンとかあの辺の激戦区にいたらしいと言う話はうっすら。記憶違いかもしれんが。五十になるかどうかで死んでるのかなぁ。可愛がってもらった記憶はあるけど、葬式の日? 白いハンカチのかけられた祖父の枕元に座っていたーーーというか座らされていた記憶もぼんやりあるけど。恐らくまだ物心つく前だと思うんだよねぇ。

 もとに戻って。

 土壁あって天井はコールタールかなにかで黒く塗られている家でしたが、その天井の羽目板が落ちて主さんが出てきたようななかったような?

 昔飼ってたケン君らしきねこさんがお土産に狩って帰って座敷で暴れていて阿鼻叫喚だったとか。ピン子しゃんだったかもしれないがどっちだったかなぁ。

 これは子供の頃よく見た夢で、縁側から庭にかけて薄桃色の巨大な巳ーさんがながーく伸びていて鎌首もたげては夜空を見上げていましたね。

 母方祖父の実家の裏の丘の雑木林で長く延びている黒い巳ーさんを見つけてそばにしゃがんでみていたことはあるなぁ。その頃、祖母に「からすへびには毒があるけん触ったらいかんで」と言われていたものでさわってみたくても触れなかったなぁ。ほんとにあるの? 毒。ヤマカガチさんの黒色変異種だったらばあるのか。ううむ。

 そういえば見る蛇はどれも黒なような。

 記憶で最初に見た巳ーさんも黒だわ。側溝の斜めになってる壁をすごい速さなんだけど極端なS字曲線? で這うものだからなかなか進んでいかなくて、そのうねりが気色悪いと思った幼心。それがまた大きいというか長くてね。メートル単位はあったと思うんだ。水には入らないように必死にうねってたようには見えたんだけどね。多分それが最初に見た巳ーさん。

 よく遊んだ広場で脱皮を見つけて持ってたな。頭部の皮だったんだけど、目まで脱皮するらしくて「ナウシカ」のオウムの目玉の殻? あれも脱皮後の目の皮? みたいな感じでつべつべしててなんか好きだった。いつの間にかなくなったけど。 

 後は海岸の石積の奥でとぐろ巻いてた子とか、やっぱ同じ石積のところを犬と散歩していたら朝日を浴びて温まってた子に犬が興味津々で嗅ぐものだから参事にならないか心配で必死に引っ張った記憶とか。

 帰ってこないミーシャ君の鈴の音がしたので探しにいったら夜中に道路で小蛇とバトルしてた黒猫を見つけてしゃがんでしばらく眺めていたけど、止める気配がなかったのでそのまま家に帰った記憶とか。そういやあの巳ーさんは青大将っぽい模様があったな。あれでマムシ? と心配したんだけど頭が角張ってなかったので大丈夫だろうと。

 後は昔見た側溝と同じところの水の底に青大将の子へびがいたのを見たくらいか。

 そんなもんだねー。

 巳ーさんみるよりアカメンタンの方が確実に多い。珍しくもないし。一昨日も家のポーチにいたしな。赤い爪の陸蟹? のことですが、方言だろうか。念のため。


 巳ーさんと対で蛙なんかの思い出を。

 雨蛙なんかは普通にお墓にいますよね。行ったら跳び跳ねてたもんですが。あれはよく見ると可愛らしい。

 子どもの頃なんか他所さまの田んぼからうねってるカエルの卵やオタマジャクシやらを掬ってバケツにいれて持って帰って家の睡蓮の池にドボン。放置。それが孵って最後一匹になって、スズメ食べるくらい立派な牛蛙になっていましたが。我が物顔で暮らしていたっぽいですよ。夜中に他所の庭に散歩に出掛けていたらしいし。なにしに行っていたのやら。結局散歩の帰りに車に轢かれたらしいんですが。こちらに頭が向いた状態でーーーだったそう。母談です。


 田舎のオバチャンの思出話でした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ