第四話 テットの蹂躙
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この世界に転生して、貴族としては貧乏ながらも普通に生活でき、セイのようなかわいいポーレルにも出会えた。
俺が転生したこの世界はどこかやさしい世界。
血で血を洗うようなドロドロな世界ではない。
そう思っていた。
「ぎゃああああ!! (パンッ!
「た、たすけ (パンッ!
誰かの悲鳴と何かが破裂するような音。
視界の端から見える赤い世界。
俺は助けたはずの少女と抱き合い、震えながらその時が終わるのを待っていた。
「終わったっすよ」
ロムの声が聞こえる。
そして、馬車の扉を開くと真っ赤になったロムと、その後ろにいつか見た映画の殺人シーンを何倍も凄惨にした現場が広がっていたのだった。
「や、やめ (パンッ!
死んだふりをしていたのか、死体の中で横たわっていた男の頭をテットが持ち上げると男は声を上げる。
だが、すべてを言い切る前にテットその頭を握りつぶしたのだった。
よく見ると、倒れている人の死体のほとんどが頭が無かった。
「おい、テット! お前がそんな殺し方するから坊ちゃん怖がっちゃってるじゃん」
……
テットは我関せずといった態度で他の死体を確認していく。
その中にはポーレルのも。
「ポーレルも殺したのか?」
「これを見てください」
死んだ犬型のポーレルの一体をロムが拾い上げる。
その背中には不自然に紫色へと変色した肌だった。
「無理やり契約したポーレルはこうなるっす。本来の主人を失い、自分と合わない魔力を摂取し続けるとポーレルはこうなるっす」
「このポーレルと、普通のポーレルはどう違うんだ?」
「自我が薄れ、好戦的になり、次第にやつれて、死ぬっす」
「そうか」
遅かれ早かれ、死なのか。
でも、無理やり契約なんてできるのか?
「かわいそうに」
ロムは犬型ポーレルをやさしく撫でながら、近くの土を掘る。
そして、布にくるんで埋葬するのだった。
人の死体を確認するテットとは逆に、ロムは犬型のポーレルを埋葬する。
その光景が脳裏に焼き付いて離れなかった。
「あ、あの」
そう言えば忘れていた。
非現実的な光景に目的を忘れていたのだ。
「君は大丈夫かい?」
「は、はい」
「ここまでの経緯を教えて欲しいのだけど」
「その、あの」
ゆっくりと女の子は話し出したのだった。
今日は騎士たちとポーレルの能力と貰ったスキルを試すために、比較的弱い魔物が多いというこの地に来ていた。
最初は予定通りスライムを倒していたそうだが、急に犬型の魔物が襲ってきた。
だが、魔物が予想以上に強く撤退を余儀なくされた時、盗賊が進行方向に現れた。
その傍らには襲ってきた犬型の魔物によく似たポーレルがいた。
そして、挟み撃ちにされ、騎士たちが殺され、自分もいよいよという所で一人の騎士が逃がしてくれた。
でも、後ろから追手がやってきて。
「今の状況になった」
「は、はい」
内容は理解したがいくつか疑問が残った。
なぜ、森のような隠れる物が多い場所ではなく、今は平野で貴族を襲ったのか?
かといって人目が付きにくい夜ではなく昼間をなぜ選んだのか?
私が盗賊側であれば少なくとももっと人目が付きにくい場所を選ぶ。
それに騎士たちがどうなったか気になるな。
後はこの女の子は汚れているがよく見るとかなり値の張るブランド物のワンピースを着ている。
相当な金持ちか、位の高い貴族の娘か。
「騎士たちは助けれるか?」
ロムに視線を向ける。
だが、ロムは首を横に振った。
「悪いっすけど、これ以上は危険です。魔力も残り少ないし、テットも疲れてます。その上で二人も守りながらでは」
そうか。
ここで、少しでも多く権力者に恩を売っておけば家を出た後に色々と便宜を図ってもらえると思ったが、命には代えられんか。
「分かった、すぐにここから離れ「お願い、リナを助けて!」
必至に俺にしがみつき頼み込んでくる。
助けて上げたいのは、そうなのだが。
「悪いが、命には代えられない。諦めるしか」
「お願いよ!」
どうしたものか。
「いくらでも払うわ。欲しいものがあればそれも上げる」
「そうは言うが、君はまだ子供だ。そんなこと「なら、私を上げたっていい!」
「は?」
「私はアリアナ・オメルガービ。オメルガービ公爵家の娘です! 私と結婚すれば一杯お金が入るはずよ! お姉さまが結婚した時もそうだった」
え?
「今なんて言った?」
「お金が入る」
「そこじゃない」
「結婚?」
「もう少し前」
「オメルガービ公爵の娘?」
おっと、まずいぞ。
オメルガービ公爵へ届け物をするにあたって、俺のアルファサーフ家との関係を関係を勉強しておいたが、どうやら母方の実家らしい。
つまりこの子とは従姉妹にあたるという事なのだが、問題はそこじゃない。
両家は災害や人的被害があった時、お互いが軍を派遣し救援を行う約束が交わされている。
もちろん要望を出しているのは約束を交わした人の娘だ。
効力的にはかなり薄いだろう。
でも、無視できないのも事実であり。
いつか家を出なくてはいけない身ではあるが、子供の俺はまだアルファサーフ家に養ってもらわなくてはいけない。
ここで、断ったら?
「ロム、すまない」
ロムは苦虫を噛んだ顔をしていたが、同じく両家の約定について知っているのだろう。
大きくため息を吐く。
「やっぱりもう一人騎士を付けてもらうべきだった」
「それは無理だ。北部の魔物の件がある」
それに、いまさらそんなことを言っても戦力が増えるわけではない。
それよりも堅実的な話をしよう。
「単刀直入に聞く。俺達がいてどれくらいの確率で盗賊どもを始末できる?」
「……三割もないかと」
「一人なら」
「五分五分ですかね」
「そうか」
絶望的だが救助を出すのは決定事項だ。
それに、盗賊たちはこのお嬢さんを殺そうとしていた。
この世界でも奴隷制度はある。
商人が盗賊たちから表立って奴隷を買うことは違法だが、実際に買ってもほとんどバレることは無い。
前世と比べるとお粗末としか言いようがないほど科学の進歩は遅い為、証拠を見つけるにしても状況証拠くらいしか見つからないのだ。
だから、強盗が人を襲うのは人身売買が目的の場合が多いのだ。
つまりはこの子の殺害が目的の可能性が高い。
その状況で騎士を生かしておく必要など皆無だ。
そう考えると、あまり時間はないと見た方がいいだろう。
「この近くに村とかはあるか?」
「少し離れたところに」
「なら、この子と一緒に道なりにその村を目指して歩いている」
「それが一番、ですが」
「細心の注意を払って進む。後はお願いできるか?」
難しい顔をしたロムは諦めてうなだれた後、小さな声で「分かりました」としぶしぶ了承するのだった。
善は急げとロムはテットと走っていく。
俺達もこの現場から離れた方がいいだろう。
「行きましょう。えっと、アリアナ様」
「アリアナでいいです」
この子の方が家格的に上なのだが、本人が言うならいいだろう。
「分かった。アリアナ、行こう」
「はい」
さてさて、皆さまはじめましての人は「はじめまして!」
久しぶりの人は「やっほ~!」
鬼盛 優樹とかいてキサカ ユウキです!
もうすぐ、大好きなゲームの新作が出るので楽しみ過ぎて過去作をやりながら、待っているのですが、黒白辺りで若干飽きが出てしまいました。
そこで、この物語を書いているのですが紅紫が発売されたら更新が更に遅くなると思います。
ごめんなさい。
それでは、次回の更新までばいば~い。