Oblivion Screen - 消失
これは『世界』に囚われた少年の意識のカケラ───。
断片的に紡がれた映像。
忘却へと帰す画面。
おわりのはじまり。
気が付けば、俺は『此処』にいた。
天と地の境界も分からないしろいしろい白亜の世界。
───《世界》を取り戻せ。
瞬きする度に頭痛を伴う様な一面『白』だけの世界でその『声』はした。
もしかしたら脳に直接響いているのかもしれない。そんな感覚がしたけれど、それはどうでも良い事だ。
ひょっとしたらただの錯覚だったのかもしれないのだから。
突如として『白』の世界に風が吹く。
正面から俺の身体を吹き飛ばしてしまうのではないかと畏怖する事を覚えた束の間、逆風はさらなる勢いを増す。
身体が引き裂かれんばかりの暴風に曝された直後、俺は確かに目にした。
『白』の世界はその姿、その景色を変え、流れていく───。
───常闇の静寂、原初の大海、暁の荒野、蒼穹の青、森羅万象の緑、異形の怪物……人の誕生、終末の『白』。
=争い→創造=争い→繁栄=争い→崩壊≒争い→平和≠争い→争い→争い→争い→争い…………=蹂躙。
流れていく歴史。争いの歴史。蹂躙される《世界》。
流れていく、流れていく、俺の中に、《世界》が流れていく───これ以上はもう…………!!?
──────あああああああああああああああああぁぁぁぁぁ──────ッツ!!!!?
気付けば、俺は『此処』にいて、意味の不明な涙が頬を濡らしている。
───在るべき《世界》を取り戻せ。
しろいしろい世界に巻き戻された俺の頭にその『声』は響いた。




