百鬼 孤児は夢を想う
記憶の限り
僕には親がいません
ですがその代わりに僕を
一人で勉強ができるまでに
育ててくださった人がいます
この世にそんな人間が
一体何人いるのでしょう
天涯孤独
この言葉に似合う人間は
どれほどいるのでしょう
そんな事を考え始めると
意外と僕は恵まれているのかもしれないと
そう思い始めるのです
血縁関係はなくとも
愛情はたっぷりと注がれました
少し不思議に思うかもしれませんが
本当の家族なのかもしれないと
思うほどに
ここまで思いを馳せて
重ねて
巡らせて
僕は恵まれていると
深々と思います
それ以下でも
以上でもなく
大人になる頃には
僕の事を捨てた実の親なんて
すっかり忘れていました
ですので私が語るべきは
その後の話になります
如何にして
僕が
虎児から虎狼のようになったかのお話しです