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新生命体チトセは時を超えて戦った  作者: 皐月
2章 文明崩壊
5/18

~回生~ カンブリアの大王アノマロカリス

次回は5月3日の17時に投稿します。

 メイはさっきの出来事がフラッシュバックするのか涙を流しながらガクガクと震えている。

 あの怪物はタケルが言うにはアノマロカリスをモデルに作られた生物の可能性が高いらしい。

 アノマロカリスは本来は1メートルほどしかないらしいが怪物の大きさは7メートルほどであった。

 そして厄介なことに奴は空を飛んだ襲ってくるためスピードを全力で出さないとすぐ追いつかれるため危険な山道でも油断することが出来ない。

 そして今は逃げる場所はとにかく西に逃げ町に向かっていた。

 「チトセ、後ろを見てくれないか?」

 「うん」

 ボクはタケルに指示されて後ろを向き、怪物が追ってきていないか確認した。 見た感じは大丈夫で、ずっと同じ光景が続いている感じだ。

 「見た感じ大丈夫」

 「そうか、ありがとう」

 タケルはそういうと運転に集中し車内には気まずい空気が漂った。

 ボクはメイの方を向いたが、まだ小刻みに震えていた。ボクは少しでもメイを安心させたく膝の上に乗り、抱きしめた。 メイはボクが抱き着いたのに気づいてボクに泣きついた。

 ・・・・・・ボクはただお姉ちゃんが泣き止むまでここにいようと思った。

 その時車の前から大きな音がした。

 「何かに捕まれ!!」

 タケルの初めて聞く叫び声と同時に強い衝撃に襲われた。

 「きゃ!」

 「わ!」

 その時とっさにメイはボクをしっかりと抱きしめて衝撃を抑えてくれた。 

 「なに! どうしたの!?」

 「奴に見つかったんだ!」

 すると前から怪物の雄叫びが聞こえた。

 タケルはすぐさまバックして進路変更し、来た道を戻っていった。 

 奴はうなり声をあげながらこっちにどんどん近づいてきた。 このままではボクとメイ、タケルみんなが死んでしまう。 何とか・・・・・ボクにできることはあるのか?

 「揺れるぞ!」

タケルはそういうと細い道に入り、車は激しい振動に襲われた。

 -----アアアアアァァァァァ・・・・・・。

 怪物はまだ追ってくる。 怪物は牙でこちらを捕まえようと突進してきた!


 「くそ!」

 「きゃぁぁぁ!」


 ボクは気づけば窓を突き破って奴に突っ込んでいた。


 


 ーーーーーーアァァァァァァ!

ボクはメイたちに被害が及ばないように上空に移動し、それに怪物もボクの後を追ってやってきた。

 怪物はボク目掛けて突進をしてきたが怪物の攻撃を急降下して避けた。 怪物が突進した後の突風がボクを襲った。 もし当たっていたら木っ端みじんになっていただろうと実感した。

 怪物は第二の攻撃としてすぐさま振り返り尻尾で攻撃を仕掛けてきた。 怪物の尻尾の先は刀状になっており、当たれば即死は逃れられないだろう。

 ボクは奴の攻撃を今度は上昇して躱し、そのまま奴に全速力で近づき“5本目”の触手で怪物を攻撃したがいまいち効果はなく、そのまま吹き飛ばされた。

 「効いてないか」

 ボクは次の攻撃をしようと体勢を立て直し、怪物に近づいたが口元に太陽並みの光を放っている弾を集めていた。

 -----これはまずい。

 光の弾はみるみるうちのボクの何倍もの大きさになり一山並みの大きさに変貌した。

 これは見ただけでも逃げねばと体が勝手に動き、射程範囲から離れたが間に合わず、怪物は光を前方一面に嵐の如くときはなった。

 「うが!」

 一部がボクに被弾し、体が熱風に襲われた。 全身が激痛に襲われ触手を見てきたが真っ黒に焦げており、呼吸もままならない状態になっていった。

 「ヒュー、ヒュー・・・・・・」

  光は辺り一面に散らばり、至る所に衝突し爆発音とともに山々が火の海となっていった。 

  ボクの体はもう動きそうになく、どんどん高度が下がっていた。

 怪物はボクが弱ったのを勝機と見たのか突進してきた。

 

 -----まずい。

 ボクは奴に食べられまいと重力にされるがままに高度を下げて逃走した。

 しかし、一面は火の海の為完全に地面に着地してしまえば逃げれる所は限られていた。 怪物は今何をしているのかうしろをふりむいた。 



 怪物は・・・・・。




 怪物は再び光を口元にためた。



 「あ」

 しかし、ボクには奴を倒せる方法があるはずもなくそのまま攻撃を受け止めるしかなかった。

  -----お姉ちゃん・・・・・お兄さん・・・・どうか・・・。

 そしてボクは。

 -----アァァァァ!

 ボクの目の前に光が輝いた。

 「う・・・く!」

 飛行もままならない状態でボクは避けようとしたがコントロールできずそのままこのまま体で受け止め・・・・・。

 


 ------ボクの目の前に赤色の何かが発生し、光をすべて打ち返した。


 ---アァァァァァ!

 

 気が付くと怪物はもがき苦しんでいた。

 「いったい何が?」

 ボクの体はなぜか激痛が走らなくなっていた。

 ----もしかしたら、これが最後のチャンスか?

 怪物は怒っているのか骨格がどす黒い赤に変質しており、先ほど放った光をボクに正確に当てようと何発も放っていた。

 「はぁ!」

 ボクは先ほどの赤く薄い膜を出そうと意識したら・・・・・出来た。

 光弾は跳ね返され、何個かは奴の方に向かったが避けられた。

 「なるほど」

 ボクは再び襲ってきた奴の攻撃を跳ね返そうと再び高度を上げた。

 

 


 どのぐらい戦っていたのだろうか?


 気が遠くなるまで弾の打ち合いをし、お互い総力戦状態となり疲労がたまるばかりであった。

 周りの山は火の海となり、辺り一面煙が立っており、ところどころ一山を超える大きさの火災旋風が発生している。

 ----ググギギギガガガ。

 奴もダメージを蓄積されてきたのかぎこちない動きをしていた。


 こいつはヤスケさんを。


 ボクは奴に近づいた。

 この時ボクはヤスケさんの仇を取ろうとしたが、ボクには出来なかった。それは生き物を殺す恐怖からくるものではなく本能的に己の力では奴を殺すことは不可能と判断してしまったのだ。

 振り上げることもできなくなったからには殺すことはもう不可能だろう。それにこんなにたくさん火災旋風が発生してるし、多分ここもあと少しで飲み込まれてしまうからこのままほっといても死ぬのは確実だ。だがそれをしてしまえばヤスケさんの仇は僕ではなく自然に取らされてしまうため、少しの間活かそうとボクは判断した。

 「君は何者なの?」


 -----・・・・・・。


 「君はどこから来たの?」

 無論奴は答えることはなかった。

 奴は何者だろう?お兄さんはアノマロカリスと言っていた、でも奴は古代生物の割には思考力が高い気がする。そう考えると奴はボクをじっと見つめた。


 奴はボクを餌を見る目ではなく、尊敬のまなざしで見てきた。

 なんでだ? 君はボクのことを餌として見てたのではないか。

 

 奴の骨格はいつの間にか自然に元に戻っており、奴はボクに今襲い掛かれば勝てたはずなのにボクを襲わなかったことから奴はもう戦う気はないことが分かった。 その場から動かずじっと見つめながら放射状になっている口を動かした。

 「アガ・・・・」

 「声?」

 奴の口から歯を震わせて出した音ではなくではなく、“声”を発した。

 「ワレ・・・・ニクシ・・・ヒト、ユルサナイ」

 「君は一体何をされたの?」

 「ワレヲウミダシタモノ・・・エサヲワタサズ、カラクリヲミニツケサセ・・・・・ズットコッカクヲハガサレタリ・・・・・キバヲムカレタリシタ」

 「・・・・・・」

 「コレガツヅイタ・・・・・アルヒ・・・ワレ、ナカマガタチガアラガッタ・・・ヤツラニ。 

ヤツラヨワイコトシッタ、ダカラコウゲキシタ」

 「・・・そんなことが」

 「オマエモ、ヒトトイタ、ダカラオソッタ。 デモチガッタ」

 「違うって?」

 「オマエ、イイヤツ。 ツクッタヒトモイイヤツトオモッタ」

 「・・・」

 「オマエトイタヒトクッタ、ユルシテホシイ」

 いや、その前に知能高すぎる気がしたんだけど!?

 ボクが本を呼んだ限りでは甲殻類は頭が悪く、懐かないって言ってたけど見た感じ知能が高い気がするんだけど・・・・・・。

 

 ・・・まぁ、それは置いといてボクは奴・・・・・彼は許せてもお兄さんとお姉ちゃんが許すかどうかわからない。

 「ボクは君を許せても、あの人たちがどうかは知らない。 人は同族意識が狼並みに高く、仲間の死は家族の死と同等だから・・・・・ボクには許せるかが分からない」

 「・・・・」

 彼は何も言わず、ボクに近づいた。

 「コレガ、ツグナイニ・・・ナルカワカラナイ・・・・ワレ、オマエノナカマノトコマデ・・・ドウハンシヨウ」

 

 「・・・・・じゃ、お言葉に甘えて」

 なんだ、彼はただ人が怖かっただけで本当はいい子やん。

 ボクはそのまま彼と家族を探す旅に行こうとしたがひとつ気になった。

 「ねぇ、ボクの体熱で焼きただれて重症のはずだけど痛みが無いんだ。 君から見て何かわかることがある?」

 「・・・イヤ、タタカイノトキ、ヒカリニツツマレ・・・キズガスベテキエテイタ」

 「そうか、じゃ大丈夫だね」

 「そうだ、君だと分かりにくいからエビくんて呼んでもいい?」

 「カマワナイ」

 エビくんは少しうれしそうな表情を浮かべた。

 しかしその後火災旋風に囲まれ、必死に逃げ回ったのはまた別のお話。



 ----------

 「ほ、本当に死ぬかと思った」

 「マサカ、ココマデヒガクルトハ」

 あの会話の後いきなり強風が来て何事かと後ろを見ると火災旋風がものすごい速度で突っ込んできたんだ。エビくんは気づいていたがドッキリで無視していたらしい。

 教えろと思ったけどそんなことよりエビくんと逃げたがまさかの四方八方に火災旋風が発生していてまさに四面楚歌だった。

 エビくんは予想外だったのかボクよりも焦って、尻尾で風を起こして消そうと努力したが余計に火を強めて。 ---あ、死んだ。 と思った時に偶然抜け道が出来たからそこから避難した感じかな。

 「ホントウニスマナカッタ」

 「べ、別にいいよ」

 こんな大火災になったけどお兄さんとお姉ちゃんは大丈夫かな? それにボクは方向何て知らないから東に行こうにも行けないんだけど。

 エビくんはなんとなくボクの気持ちを察してくれたのか近くに来てくれた。

 「ワレノカンダガ、アッチガヒガシダトオモウゾ」

 「あっち?」

 「ソウダ」

 エビくんは自身の尻尾で東の方向を示してくれた、本当にありがたい。

 なんで心は読めたのかは気にしないでおくけど。

 「じゃ、東に向かおう!」

 ボクは再び宙に舞い、彼が追いついたのと同時に東に向かって飛び立った。



 大切な家族を探すために!


 ----事故が発生し、廃墟と化した研究所に2人の男が対峙していた。

 1人は白衣を着用し黒髪ロン毛の中年で、もう一人は神話に出てくる神々の服装に似せた上は文様が描かれた赤色の衣を着用し茶色のたっつけ袴を穿き、長靴ほどの大きさのわらぐつを履き、銀髪で紫の瞳をし銃が主流の現代に似合わぬ刃が隕鉄で出来た剣を腰に下げた青年であった。

 黒髪の男は気味の悪い笑いをしながら青年に語った。

 「古今東西生命たちは生存競争を繰り返し、滅亡または生き延び進化という道のりをたどり、人類も同様に進化してきた。 だがそれは全て自然の偶然が重なって起きたことで人為的ではない。 私は思ったのだ、人為的にすればどのように進化し、それはどのぐらいの速さで進化するのかを」

 「・・・・・そうか、なら聞きたい。 研究所を爆破する意味はあったか?」

 青年は剣を引き抜き黒髪ロン毛の首元に突きつける。

 「意味? そんなこと決まってるだろう」

 黒髪ロン毛はニタァと笑顔を浮かべながら。


 「今の生物創造競争戦争の中、我々が開発したウイルス式突然変異システムを他の生物に代用させたのは良かったが室内ではすることが限られ、維持費もとてつもない額がかかる。 だが外はどうだ? 我々は管理しなくともマスコミたちが勝手に報道して生物がこうなった! こいつが突然変異した! という情報をを勝手に報告くしてくれる。 国も軍と研究所は協力して抹殺に掛かるが我々が開発したものはウイルス並みに進化する。 ウイルスは種の存続に掛かれば突然変異を繰り返すように、我々が作った生物も突然変異してやがて銃弾に対応した骨格を身に着け、火炎放射器にも耐えれる強靭な皮膚、そして戦闘機より素早い飛行能力を手に入れることが出来るだろうーーーーがは!」

 青年は黒髪ロン毛の首を切った。

 「こんなクズのせいで世界が」

 青年は屍骸を蹴り飛ばして廃墟を後にした。

 

 

 

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