表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新生命体チトセは時を超えて戦った  作者: 皐月
2章 文明崩壊
4/18

史上最悪の生物災害

次回は5月3日の17時に投稿する予定です。

 あれは何だったのだろう? ボクの脳内に直接語り掛けてきたものの正体。

 そいつの声はまるでずっと聴いていられるような声で不愉快とは思えなかった・・・・・・まるで最初の音が聞こえなかった瓶の中にいたときのように。

 自分の中ではそいつは全くの別次元の生物だと推測する・・・・・・なぜなら・・・・・・う~ん・・・・・・。 


 もう頭いっぱい。


 「あら、今日は朝日良かったの?」

「うん・・・・・・体調がすぐれなくて・・・・・・」

 「そう、今日私は一日中休みだから何かあったらすぐに教えてね?」

 「ありがと・・・」

 メイはそういい部屋から出て行った。 時計を見てみるともう昼を過ぎており頭はずきずきと痛む。この痛みはボクが生まれて12日で最も痛い。それまでにも何か違和感・倦怠感が起きていたがこればかりは我慢のしようが無い。

 ボクはメイの布団にもぐり、寝た。


 「君は誰?」

 「僕かい?」


 真っ暗闇の空間にボクと同じ姿の四つではなく五つの触手を持った一頭身のタコがいた。

 彼は少し悲しそうな顔をしながらボクの近く来た。

 「お前は何か失ったものはあるか?」

 「失ったもの?」

 彼はなぜこんなことを聞くのだろう? 失うもの? それはボクにはわからない、何故ならボクのそばには大切なお姉ちゃんとお兄さんがいるからだ。 もしこの二人が無くなったらボクは悲しみのあまり我を忘れると思うがそんなことはない。 何故なら今そばにフタリがいるからだ。

 でも、こんなことを聞くということは彼は何かを失ったのだろう。

 「じゃ、逆に聞くけど君は何かを失ったの?」

 彼は何も答えない。

 それどころか彼はさらに悲しい表情をした。 もしかしたら聞いてはいけなかったことか? いや行けなかったことだ!!

 「あの、ごめん! 悪気はなかったんだ!」

 「大丈夫だ、知ってる」

 彼はそう言ってボクから離れていく。

 ボクはなぜかもやもやした感じになった。

 「ねぇ! 君の名前は? ボクの名前はチトセ!」

 彼はそういうと止まった。

 「僕の名前はスグヨ」

 そういった後彼は何も言わずに消えていった。


 ------次世代の紡ぎ人に栄光あれ・・・・・・。

 

「ねぇ! ねぇ!」

 誰かがボクを呼ぶ。

 「おい! 目を覚ませ」

 ボクの脳裏に何かが映し出される・・・・・・。





 ------まって! いかないで!

 女の人が必死に叫ぶ。

 その目の前にはボクに似た者がいた。 

 ------逃げろ! 君だけでも生き延びてくれ!

 -------いやよ!

 ------くっ!

 そいつは女の人を遠くに飛ばす。

 -------大丈夫だ! 必ず君のもとに・・・・・・!




 ----------戻るから!!


 その声は彼、スグヨのように感じた。


 「ふぇ~?」

 「チトセ!」

 メイは泣きながらボクに泣きつく。

 「ふ~~~」

 タケルは汗だくになっており、ボクを見てよかったとつぶやく。

 「本当に・・・・・・本当に良かった」

 「チトセ」

 「・・・・・・ボクはどのぐらい眠ってたの?」

 タケルは分かったとカレンダーをボクに見せながら半年と教えてくれた・・・・・・カレンダー・・・・・・半年?

 「半年って?」

 「あ、あ~分かりやすく説明すると太陽が155回上り下りしたということだ」

 「そんなので分かるはずが・・・・・・」

 「なるほど」

 「え?」

 なるほど。 半年とは太陽が155回上り下りしたということか・・・・・・でもこれぐらい覚えないとメイが通うガッコウでも生かせないってタケルが言ってたから覚えよう。

 「ふふふ、いや、なんでそれで分かるのよ・・・・・・!」

 メイは泣きながら笑った。 

 というかなんでボクはこれほど長い時間眠っていたのだろう、もしかしたらあの時見た夢が原因なのか?

 「チトセ、何か心当たりあるか? それに、お前の眼紫色に輝いているぞ?」

 タケルはボクに真面目な口調で聞いてきた。 紫色? あれ? 眼はそんな色をしていっけ? ボクの記憶が正しければ眼はこんな色をしているはずがなく藍色のはずだ。 もしかしたら充血の可能性があるのかもしれない。 いや、そんなことよりあの夢のことを話そう。

 「眼のことは分からないけど、そういえば寝る直前の夢がとても不思議な夢で、頭の中に誰かがずっとよくわからない事を言ってたんだ」

 「どんな事だ?」

 「なんか神はどうのこうのとか、人は自滅しようとしてるとか・・・・・・」

 「う~ん、それはまた不思議な夢だな・・・・・・」

 あの、もうやめにしない? この話題はボクが何故長い眠りについた原因を探るためなのはわかるけどメイがもうわからな過ぎて目が点になってるよ。

 タケルは分かったと言い部屋を後にして出ていった。 メイは意識をはっとさせボクの方を向き、抱きしめた。

 「夢のことはよくわからなかったけどチトセが無事でよかった・・・・・・」

 メイは嬉しいのか強くボクを抱きしめる。申し訳ないけど少し苦しい。

 「ごめんメイ、少し苦しい」

 「ご、ごめんね!」

 メイはすぐにボクを放してくれた。

 「メイ・・・・・・」

 「どうしたの?」

 「・・・・・・時間について教えて?」

 「え?」

 メイは戸惑いの表情を浮かべた。 それもそのはず、いきなりそんな話をされたら誰だって困る。メイは戸惑いの顔を浮かべていたが次第にしょうがないと言わんばかり顔を浮かべながら本棚の方に足を運び、ボクのもとに一冊の本を持ってきた。

 「多分これを見たほうが私に聞くよりいいはずよ」

 「ボク文字読めない」

 「え、え~・・・・・・」

 メイはマジかと言わんばかりの顔をボクに向ける。

 「じゃあ、あの本読んでたのは・・・・・・」

 「タケルが本見ればわかるって言ったから」

 「あのバカ・・・・・・」

 なんかメイが不機嫌そうだ、なんかして笑わせたほうがいいのかな?

 いや、そんなことしたらさらにややこしくなりそうだからやめよう。

 メイはボクの頭に手を乗せ。

 「しょうがないな、もう。 今日は学校休みだから私が教えてあげる!」

 メイはそういってボクに色々な知識を教えてくれた。

 まず一つは文字。


 「チトセ、この文字は私たちのいる国ウガヤ王朝の文字で通称ヲシテと呼べれているわ」

 「ウガヤ?」

 「あ、あぁ。 そこから教えないとね」

 メイが言うにはここはウガヤ王朝の安曇国と呼ばれる場所らしく。 由来はかつて安曇王朝と呼ばれる大国があったためそう呼ばれてるみたい。

 そしてウガヤ王朝で使われている文字がヲシテだ。

 ヲシテは三種類を併用して使いその文字が、安曇文字・山戸文字・伊予文字の計3つだ。


 それからは太陽が沈むまでメイと勉強した。

 教えてもらったことは大体は国語だが、コウコウニネンの範囲はこれでお終いみたいで、次の教科は疲れたから明日と言ってメイは寝てしまった。

 でも、寝る時メイがもっと勉強したかったら棚に入っている本を読んでいいと言ってくれた。

 ボクは怒音場に甘えるようにしてタンスから取り出し、読ましてもらってる

 今読んでいる本は生物で、何故だか分からないが色々と懐かしい気分になる。

 と言ってもまだまだ序盤の生命の誕生だけだが。


 ボクは休憩がてらに本から目を話し、メイの方に体を傾けた。

 メイは疲れたのか机の上にうつ伏せで寝ている。 彼女はボクのために自分の時間を使ってまで教えてくれたんだ、少しは恩返ししよう。

 ボクはそういき込んだものの何をすればいいのかいまいちわからなかった。 

 いや、本当に何にしよう。

 

 あ!


 そうだ、メイはいつも寝るときピンク色のハート柄の毛布を掛けて寝てるからそれをかけたら喜んでくれるんはず!

 ボクはそう思ってメイといつも寝ている布団からその毛布を取り出しメイにかけた。

 「う、うーん」

 「いつもありがとう・・・・・・お姉ちゃん」

 ボクはそういうとメイの体がプルプルと震えていたけど寒いのかな? じゃ、抱きしめればいいのかな?

 「えい!」

 ボクはメイを抱きしめ、そのままゆっくりと眠りについた・・・・・・。


 ----かごめかごめ


 「おい! タケルはいるか!」

 「どうしたヤスケ?」

 「因幡のウガヤ国立研究所で大爆発が起きて世に出てはいけないものが出たんだ!」

 「とりあえず、家族を全員連れてこい! 今すぐにだ!」

 なんだろう、下が騒がしい。

 窓を見てみると辺りは暗闇に包まれており、空には星たちが輝いていた。 しかしひとつ気になることがある。


 自然の声が止まった。


 -----籠の中の鳥は。


 そんなことを思っているとどたどたと音がして扉が勢いよく開いた。

 「メイ! チトセ!」

 「え、なに?」

 タケルはそう言ってボクとメイを玄関に引きずり出す。

 「まて、その生き物は?」

 「あ」

 「もしかしたら・・・・できたのか?」

 「・・・・・・あぁ」

 「わかった、話はあとで聞く早く車に乗れ」

 タケルは迷彩服を着た男の人の指示に従い、ボクたちを車に乗せた後タケルは迷彩服の人の隣に座って車が動き出した。

 それと同時にメイはさっきまでぼんやりしていたが事態の深刻さに気付いて脳を覚醒させた。

 「ねぇ、兄さんいったい何が?」

 「・・・・・・今まで懸念されていたことが起きたんだ」

 「懸念?」




 「人類史上最悪のバイオハザードだ」


 ------いつ、出てくるのだろう?

 -------


 靴間に乗った後タケルは迷彩の人にボクのことを説明した。迷彩の人はこれについては一切追求せず聞いてくれていた。

 「そうか、成功してここまで大きくなったんだな」

 迷彩の人はそう優しくつぶやいた。

 そこでボクは彼の名前を聞くことにした。

 「ねぇ、迷彩の人の名前は?」

 「俺の名前?」

 「俺の名前はヤスケ、こいつの幼馴染だ」

 そう言ってヤスケはタケルの肩を叩く。

 タケルは運転に集中しろとヤスケの腕を払いのけたが二人は別に仲が悪くなく、どちらかと言えば親友に見える。

 ヤスケは笑いながら思い出話に入った。

 「そういえば、メイちゃんもだいぶ大きくなって・・・・・・」

 「そ、そんなことないですよ」

 メイは少し恥ずかしながら答える。 確かにメイは日ごろタケルに大きくなったなって言われるとかなりの確率で恥ずかしそうにしてたけどこれはいわゆる乙女心を知らないからそう見えるのかな?

 「それにヤスケさんも軍人になってから体が大きくなってませんか? 私が小さい時は細身で小さかったはずですが」

 「そういえばそうだな」

 タケルとメイがヤスケの体つき気になったみたいで、ヤスケは少し照れながら説明した」

 「話せば長くなるんだが・・・・・・入隊時はかなり細かったんだが・・・・・訓練時の筋トレも全然だめだったが体力は無駄にあったから教官は俺を気に入ったみたいで飯をかなりの頻度でおごってくれて、しかも訓練も直接ご指導してくれたおかげで今は輸送兵として頑張ってるよ」

 ヤスケは自身の経歴を話してくれた。 聞いただけだけどヤスケってかなりの努力家なんだ・・・・・・以外。

 その後も三人は思い出話に盛り上がった。

 しばらくしてヤスケがちょっといいかと話を遮った。

 「すまない、だいぶ遅くなったが今起きてることをまとめると、研究所で起きた事故で開発されていた生物がみんな逃げだしたんだ」

 ヤスケは一回息をのむ。

 「だがそいつらはなぜかここに集まってきて、俺は隊長から住民の避難を命じられたから来たんだ。 だが他の住民の姿はどこにもなく、ほかの隊員は奥に調べに行ってるんだが俺はタケルたちの家が山奥で電波がきちんと届いていないことを思うだしてっ向かったんだ」

 「そうか」

 タケルはそういい、窓を見た。 メイは話の途中で爆睡してしまっていたがボクがなんとか起こした。

 「じゃ、あの肉塊は・・・・・・何だろうな」


 ーーーーーー夜明けの時に。


 「は?」


 ------鶴と亀が滑った。


 タケルは青ざめながら雑木林の方に指をさしヤスケに伝える。 ヤスケは何を言ってるんだと車を止めて僕たちにはここにいろと言いヤスケはおりて確認に向かった・・・・・・その時。

 -------アアアァァァァァァ!!。

 暗い茂みの深くから全身オレンジ色の殻に覆われ歯は放射状にあり、二つの強靭な牙を持った生命体がヤスケに襲い掛かった。

 「が!」

 怪物はヤスケが反応する間もなく強靭な二つの牙に捕まり、そのまま捕食されてしまった。

 「あ・・・・あ・・あああ」

 しかし怪物はヤスケを食べるのをやめ、今度はこっちを向いたのだ。

 「え?」

 メイはあっけない声を出した

 怪物は上半身がなくなったヤスケだったものを粉砕し辺り一面血の海となり、その地は車にもかかり、窓ガラスも真っ赤に染まりその間に車に何かが当たる音がする。

 その時ボクの頭の中は真っ白だったと思う。


 ーーー後ろの正面は誰だ?


 しかし、タケルは次の捕食対象が自分たちということに気づき、すぐさま運転席に移り車を全速力で走らせた。

 その時ボクは意識を覚醒して後ろを向くとあの怪物は・・・・・・。 






           笑っているように見えた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ