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九太郎、悩む

次回は11/21(木)か22(金)に更新予定です。

 九太郎は困っていた。

 また肝試しが来た時によい隠れ場所のアイディアがなかったからである。ただでさえ今回の件であのトイレは出るという印象がついてしまった。

「なんでわざわざ俺のフロアに来るんだよ…」

そう他人のせいにはしてみるが実のところ原因はよくわかっているのである。今回の件を招いたのは九太郎にも問題、というより怠慢があった。そんなことを頭に浮かべた瞬間でだった。

「あーあ、だからセミナーに来なって言ったじゃない。」

呆れるように上のフロアから優奈が降りてきた。優奈はロングの黒髪、細めでスラッとした高校生、であった。

「うるさいな、あんなこまめなやつ出れるわけないだろ」

「だからばれたんじゃない、あんただけじゃなくてみんなそれで迷惑するのよ」

なにも言い返せなかった。事実、またこの件のせいで人が増えるのは間違いなかった。

「だいたいなんでお前らはそんなにちゃんとセミナーに出れるのだよ。」

苦し紛れで九太郎は発言すると、ため息を一つもらして優奈は答えた。

「だ、か、ら、私のフロアはガン死が多いから未練たらたらのしじいやぼけて行き場所を失ったばばあを筆頭に幽霊がうじゃうじゃいるの!あんたのフロア見たいに独占じゃないの!わかる!?」

 俺は未だに自分の死因を思い出せずにいるが、夜は勝手に自分の死んだ辺りから動けなくなる。つまり、俺はこのフロアで死んだのだ。昼間もこうして俺らは存在するが、見ることも声を聞くこともできない。夜はその怨念の度合いによってその力を得られるのだが、結構記憶をなくしてる者の多いせいかひっそりとしたい幽霊が多数で、その力を抑えるセミナーが開催される。そのセミナーに散々警告されていたのにサボり続けた結果が今に至るわけである。

 回答をまごついていると優奈はその細い目をさらに糸のように細くして九太郎を睨み付けた。

「ったく、このフロアは本当にのんきね。私のフロアでこんなことしたら血祭りにあげられているわ。」

自称温和である俺にとってもあまりにくどくど言われると我慢の限界を迎える。怒るわけではないが、優奈に向かっていった。

「ふん、俺のフロアがうらやましいのかよ。」

優奈深いため息を漏らして指をさした。

「いいんだけど、あんたこれ見て胸張れるの?」

俺はその看板を何度も見てきたが、改めて見直すと俺自身もやはり首を傾げたくなった。







リウマチ科





俺はいったいどんな死にかたをしたのだろう。

「ちょっとちゃんとセミナーとか来なさいよ!」

俺は一人で耳なし芳一モードに入りその場を後にした


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