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第347話、デストロイヤー転生、これぞ駆逐艦『娘』、最強伝説だ⁉【トラトラトラ79周年記念版】

 ──神聖皇国『旭光ヒノモト』皇紀、2601年12月8日。




 白オーク合衆国アメリゴ、ワイハ準州オウフ島、『豚に(オーク&)真珠湾パールハーバー』。




「……ううっ、ワイハとはいえ、やはり冬は寒いな」


「何せ、もうすぐクリスマスだからな」(※この世界は現代日本からの転生者が多数いますので、普通に『クリスマス』が存在します。詳細は作者の別作品、『転生法』を参照♡)


「こんな日に、当直に当たったりして、不運だよな」


「はん、どうせデートのアテも無いんだから、構わないだろ?」


「なっ、馬鹿にするなよ? 俺にはアーミーパブのウエイトレスの、メリッサちゃんがッ!」


「……いまだ告白もできない、チキンのくせに」


「うっ」


「それじゃあおまえ、今年のクリスマスも、ボッチ決定だな?」


「「「わはははははははははは!!!」」」


 ──オウフ島の内湾に向かって設置されている、巨大な砲門を備えた多数の要塞の一つにて、どっと響き渡る、いかにも快活な笑い声。


 それはあたかも、すでにこの惑星の裏側のエウロパ大陸全体を覆い尽くし、南北アメリゴ大陸やエイジア大陸にまで触手を伸ばし始めた、昏く重苦しい戦争の暗雲を払拭しようとしているかのようでもあった。


「……おいおい、おまえら、一応任務中なんだから、あまり羽目を外すなよ?」


 そのようにあきれ果てたかのように、溜息交じりで宣ったのは、この要塞の指揮官の将校殿であった。


 ──ただし、その手の中には、寒さを紛らわせるためのブランデー入りのグラスが、しっかりと握られていたが。


「隊長、大丈夫ですって!」


「俺たち、やる時には、ちゃんとやりますから!」


「『ひぐ○しのなく頃に』で言えば、園○家の美人姉妹の、妹さんのほうみたいに!」


「それに、待機任務中とはいえ、肝心の『敵さん』が存在しないのだから、どう気張れって言うのです?」


「何か最近、『もしかしたら、もうすぐ旭光ヒノモト軍が攻めてくるんじゃないのか?』って、お偉いさんたちがピリピリしているけど、あの腰抜け『鬼人族キジップ』どもが、俺たちアメリゴ軍に挑んでくるなんて、どう考えてもあり得ませんよ」


「そうそう、この豚に(オーク&)真珠湾パールハーバーには文字通りに、世界最強の艦隊が勢揃いしているんですからね!」


「しかもこの要塞を始めとする、オウフ島の内側にずらりと配置されている、要塞群の誇る大口径砲門の数々に一度狙いを定められたら、例え皇国海軍が誇るビッグセブンの一角、大戦艦『長門』が10隻ほど束になってかかってこようが、一網打尽でさあ!」


「……などと、中つ国製の軍艦擬人化ソシャゲの攻略wik○の雑談板で、まことしやかに書き込まれていたしね。──今から79年後くらいに」


「おいおい、中つ国と言えば、今は同盟国だけど、将来の仇敵候補ではないか? ──今から79年後くらいに」


旭光ヒノモト憎さで、あまりアメリゴばかりを賛美していると、そのうちコミー党政治局から、『粛正』でもされてしまうんじゃないのか、そのソシャゲメーカー? ──今から79年後くらいに」


「まあとにかく、現時点では今大戦に正式に参加していないというのに、兵隊も兵装も兵站も潤沢に保有している、我々アメリゴ軍こそが、間違いなく『世界最強』と言っても過言では無いわけで、もしも旭光ヒノモト軍が攻めてきたところで、ビクともしないと言うことだよな」


「ええ、ええ、隊長殿のおっしゃる通りで!」


旭光ヒノモトの雑魚ども、来るなら来てみろってんだ!」


「「「わはははははははははは!!!」」」


 再び、野太き笑声に包み込まれる、要塞内。


 ──まさに、その時であった。




「お呼びに与りまして参上いたしました、アメリゴ合衆国の白オークの皆様、おはようございます。──そして、さようなら♫」




「「「………………………………は?」」」




 唐突に聞こえてくる、あまりにも場違いな、涼やかなる幼き声。


 全員一斉に振り向けば、砲門があるほうとは逆の内陸部の入り口の手前にたたずんでいたのは、旭光ヒノモト名物の水兵セーラータイプの女学生服を、およそ10歳ほどの小柄で華奢な肢体にまとった、黒髪黒目の絶世の美少女であった。




 そんな彼女の周囲には、50口径127ミリ連装砲 3基6門の大砲や、二丁の25ミリ対空機銃等の、凶悪極まる兵装が展開されていた。




「ま、まさか……」


「噂の、旭光ヒノモト皇国海軍の、秘密兵器──」


「軍艦擬人化少女⁉」


「か、完成していたのか⁉」




 そして、すべての砲口が、オーク兵たちのほうへと向けられて、




「「「──うわあああああああああああああああああああっ!!!」」」




 兵士たちの文字通りの魂消た絶叫をかき消すかのように響き渡る、『あちらの世界』の大日本帝国海軍の一等駆逐艦の、主砲と機銃の咆哮。




 堅牢なる要塞は瞬く間に瓦礫と化し、後には何も残らなかったのである。




 ──それも、当然であった。


 某中つ国製の軍艦擬人化ソシャゲの攻略wik○の、雑談板のカキコどもが能無しの戦史エアプだっただけの話で、そもそも『あちらの世界』の史実の『真珠湾奇襲』においては、攻撃側は航空兵力を大量に投入して、地上の要塞どころか艦隊そのものすらも完全に無力化したのであって、今更戦艦である『長門が10隻いっぺんに攻めてきても、一網打尽なのじゃあ〜』とかほざいても、何の意味も無いのだ。




 ……それどころか、そもそもおまえら、自分たちが『軍艦擬人化ゲーム』の雑談板のカキコであることを、完全に忘れているんじゃないのか? ほんと、馬鹿なの?


 何とも残念な話なんだけど、その中つ国製ソシャゲのアニメ版ときたら、せっかくスパイとして、大日本帝国特型駆逐艦の擬人化少女の『綾波』を、ハワイ準州オアフ島の合衆国軍の『陸上』基地と思しき場所に潜入させているというのに、何ら破壊活動をさせずに、正式な攻撃のほうは、強大なる砲門を多数擁している各防衛設備が手ぐすね引いて待ち構えている海上側から、しかも驚いたことに軍艦擬人化少女が軍艦に乗って正々堂々と現れるという、目も当てられないほどのアホっぷり。




 ──せっかく『少女』の姿をしているんだったら、普通に二本足で歩いて上陸した後に、小さな身体であることを最大限に生かして隠密行動をとって、敵の陸上の要衝を、大口径の主砲等による奇襲で、一気に無力化すればいいだろうが?




 そう、今回、本作のメインヒロインであり、僕こと魔導大陸きっての召喚術士兼錬金術師であるアミール=アルハルの唯一のしもべにして、『あちらの世界』の大日本帝国一等駆逐艦『清霜』の擬人化少女である、『キヨ』が実践して見せたように。

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