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第341話、デストロイヤー転生、これぞ駆逐艦『娘』、最強伝説だ⁉(その108)

「……あれこそが、私たち軍艦擬人化少女にとっての、真の『最終形態』。まさかこの目で見る日が来ようとは、感無量ですわ♡」




 自分の無数の分身によって完全に取り囲み逃げ場を奪った後で、本体だけが『大人の女の姿』へと変化メタモルフォーゼして、かつて己の『提督』と見なしていた、この魔導大陸きっての召喚術士兼錬金術師であるアミール=アルハルへと迫りゆく、『あちらの世界』の大日本帝国海軍の一等駆逐艦夕雲型19番艦『清霜』の擬人化少女の、『キヨ』嬢。




 ただでさえ、天使か妖精であるかのような可憐極まる美少女が、二十歳はたち前後まで成長したのである。


 そんな絶世の美女が、一糸まとわぬ艶麗な肢体をさらけ出していて、篭絡されない殿方なぞ、存在し得るであろうか。




「──ふふふ、これでもう、勝負はついたようなものですね」


「……いやに協力的だと思ったら、あなた方の狙いは、最初からこれだったのですか?」


「そりゃあ、提督さんを堕とすことこそが、わたくしたち軍艦擬人化少女の、最大の目標なのですから、それが果たされる瞬間を、是非見てみたいではありませんか?」


「そのために、世界を丸ごと一つ、危機に陥らせてもですか?」


「元々、わたくしたちの世界ではありませんしね。こうしてわざわざこの世界への転生に応じたのも、すべてはこの『悲願成就』のためだったと言っても、過言ではございませんの」


「……まさか、『召喚物』であるあなたたちのほうが、『召喚術』を利用して、あくまでも自らの意思で、この世界に来たとでも?」


「お忘れになっては困りますが、わたくしたち軍艦擬人化少女は、その性質上、デフォルトで『集合的無意識との上級アクセス』が可能ですので、召喚側の世界における己の創造主とも言える召喚術士や錬金術師よりも、上位の能力チカラを行使できるのですわ」


「言われなくても、骨身に染みております。まさか世界そのものを滅ぼしかねないほどの、最上位のアクセス権を認められているとは。アミールさんにしろ、我々教団にしろ、とんでもない方々を召喚してしまったものですな」


「オホホホホ、これはおとぼけを。すべてはあなた方教団にとっての『実験』であり、十分にメリットがあるのも、また事実ではございませんか?」


「……我々教団の究極の目標は、あくまでも『原初オリジナルの人魚姫の復活』なのであって、今回の実験は『完全に失敗だった』と、言わざるを得ないのですが?」


「そりゃそうでしょう、元々実験とは、『失敗を前提にするもの』ですからね?」


「──ッ」




「まさか、これまで全次元において、世界そのものを丸ごと実験場にして、様々な実験を無限に繰り返されてきた、聖レーン転生教団が、今回の実験ですべての片がつくとは、思ってはおられないでしょうに」



「……これはまた、一本取られましたな。『金剛』さん、あなたは一体、『何者』なのですか?」


「何者って、司教様もよくご存じの通り、ただの『軍艦擬人化少女』ですよ」


「──そうか、もしかして『懲罰艦』には、今回のような『実験』における『監視者オブザーバー』に該当する、お役目もあるのではないですか⁉」


「さあて、何のことやら」




「……なるほど、軍艦擬人化少女の皆様が、提督さんを求められるお心は、元々『人魚姫が王子様を求める心』を由来にしているのだから、今回の我々教団による実験は、あなたたち自身にとっても、非常に関心が大きかったわけですか。──くっ、まさか実験の対象物に、逆に利用されていたとは」




「──と言うよりも、『持ちつ持たれつ』とでも、言うべきでございましょう。先ほども申しましたように、今回もしょせん、『失敗前提の実験』ですので、『人魚姫が軍艦擬人化少女の場合』としてのデータさえとれれば、教団側としても十分なのでは?」




「……金剛さん、新生大日本第三帝国の海軍なんかお辞めになられて、我が教団の異端審問部に来られませんか? 司教以上の待遇を、お約束いたしますよ?」


「これはわたくしごときには、もったいなきお言葉ですこと。──とはいえ、わたくしたち軍艦擬人化少女が仕えるべきあるじは、全次元において『提督』だけですので、ここは残念ながら、お断りさせていただきます」


「まあそりゃあ、人魚姫に対して、『王子様のことはあきらめろ』と言ったところで、無理な相談でしかないでしょうね」




「──そうです、それは『彼女』をご覧になれば、良くおわかりでしょう?」




 そう言って、戦艦型擬人化少女の指し示すほうには、無数の駆逐艦型擬人化少女の姿があった。




 そして、その中で唯一大人の姿へと変化メタモルフォーゼしている、本家本物の『キヨ』嬢だけが、おの提督あるじと定めた、青年のほうへと迫り行っていたのである。




「──さあ、いよいよクライマックスですわ。果たして今回の『人魚姫の物語』は、見事に王子様の心を射止めて、『ハッピーエンド』で終わることができるのでしょうか、乞うご期待♡」

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