第339話、デストロイヤー転生、これぞ駆逐艦『娘』、最強伝説だ⁉(その106)
──『無限の猿定理』という、『思考実験』がある。
普通に猿にワープロを打たせても、意味のある文章を作成するのは不可能のはずなのだが、現実的な時間の制約を取っ払って、無限にキーボードを打ち続けることができると仮定したら、あくまでも『偶然に』シェークスピアの戯曲を書き上げることも、可能性の上では十分あり得るという説でございます。
一つの戯曲という膨大な文章を、一語一句完璧に再現するなんて、普通だったら「そんなこと、できっこないだろう⁉」と言いたくなるところでしょうが、『無限』とは文字通り『無限』なのですから、『まったくのランダムタイピングによって、偶然にシェイクスピアの戯曲を書き上げる』ことも、確率的に絶対に不可能とは言えないのです。
──と言うのが、世の『オリコウさん』たちの言い分ですが、あえて言わせてもらいましょう!
「そんなわけ、あるか!!!」、と。
……そもそも、前提条件からして、おかしいのですよ、
何ですか、『時間の制約を取っ払う』って。
そんな『現実世界における絶対条件的な制約』を取っ払ってしまったんじゃ、文字通り『何でもアリ』になってしまうでしょうが?
それによって導き出される『結論』に、何の説得性があると言うのです?
……まったく、自称『オリコウさん』に限って、頭が悪いのだから。
『思考実験』と『机上の空論』との違いくらい、把握していろって言うんですよ。
……とはいえ、
馬鹿どもによるまったく根拠無しの『確率論』とかでは無く、『猿をシェークスピア』にする方法が、全然あり得ないかと言うと、さに非ず。
自他共に認める『凡人』である、本作の作者がちょっと考えるだけでも、少なくとも二つはあります。
極論すれば、問題は『時間』だけなのだから、この点を解決すれば、万事OKなのです。
……そもそもですねえ、まったくの確率論的偶然だけで、猿がシェークスピアになれるわけが無いのですよ。
もっとちゃんと、『猿』自身についての、『存在意義』を与えてあげましょうよ?
例えば、猿自身が本気で、「絶対にシェークスピアの戯曲を創り上げたい!」と、熱望していたとしたら、どうでしょう?
たったそれだけでも、状況は一変するのです。
本人にやる気があれば、たとえ有限の時間であろうと、全力で『試行錯誤』に努めると思われ、不可能を可能とすることも、けしてあり得ないと言えないでしょう。
──もちろん、いくら本人にやる気があろうが、少々時間が有ろうが、猿がシェークスピアの戯曲をしたためることなぞ、ほぼ不可能かと思われます。
そこで、まさしく『キーワード』となるのが、『試行錯誤』なのです!
もしも、『無限の試行錯誤』が可能だとしたら、どんな超難問であろうが、必ず解決することができるでしょう!
例えば、
絶対に死ぬ運命にある幼なじみの女の子を、世界線そのものを移動することによって、運命すらも打破して、救うことさえも。
絶対に死ぬ運命にある魔法少女を、何とか生き延びさせて、『円○の理』を司る女神様にすることさえも。
何の特殊能力も無く、裸一貫で異世界に来た男子高校生が、心から好きになった女の子を、一国の女王にすることさえも。
すぐに『雛○沢症候群』とかいった謎の伝染病を発症して、凶暴化する友人たちという、むちゃくちゃ危険な爆弾を抱えながら、いまだ小学生でしか無い身で、自らの死の運命に抗うことさえも。
超絶ブラコンの妹という、むちゃくちゃ危険な爆弾を抱えながら、転校先のど田舎の美少女たちを、オールコンプーリトすることさえも。
──けして、不可能では無くなるのです!
それでは、『無限の試行錯誤』が可能となるのは、どのような状況かと言えば、
すでに前回、答えが出ていましたね?
──そう、『ループ』なのでございます!
事実、上に挙げた例はすべて、超傑作『ループ系アニメ』ばかりですしね。
……え、最後のだけは、ちょっと違うんじゃないかって?
いえいえ、本作の作者の弁では、『ギャルゲこそ、ループというものを、非常にわかりやすく、現実化したもの』、だそうですよ?
それはともかくとして、『ループ』であれば、それぞれのループの周回の中においては、『現実的な時間』の範疇でありながら、ループ全体では無限の時間を活用できるので、まさしく『無限の試行錯誤』が可能になるというわけなのです。
特に『猿』自身に、ループの記憶が継承されているとすれば、前回の失敗を糧にしながら、新たな周回で再びトライすることができるので、上記の各『傑作ループ系アニメ』の主人公たち同様に、いつかは不可能を可能とすることさえも、大いに期待できるでしょう。
──ただし、『無限の時間』というものがあり得ないのと同様に、『ループ』なぞあり得ないと思われることこそが、最大のネックではありますが。
「「「駄目じゃん⁉」」」
おや、何かパソコンのディスプレイの向こうから、幻聴が聞こえたような気がしますが、心配ご無用。
本作の作者におきましては、すでにこれまで、『現実的なループの実現方法』について、ちゃんと明示してきておりますから。
……そもそもですねえ、ただループしただけでは、猿がシェークスピアになれたりはしないし、雛○沢村の悲劇を食い止めることはできないのですよ。
本人がやる気を持って、自ら試行錯誤に取り組まなければ、たとえ無限にループしようが、猿は猿のままだし、ポンコツJS巫女ちゃまはポンコツJS巫女ちゃまのままなのです。(※『ひぐ○しのなく頃に業』第7話参照)
それに、『無限の時間』を経たり『無限のループ』を繰り返したりしているのに、『ランダムタイピングの内容』や『雛○沢村の状況』といった、『目的』のほうばかりの変化を期待しておいて、どうして『猿』や『ポンコツJS巫女ちゃま』のほうには、まったく変化が無いと決めつけるのですか?
そんなに永い時間を体験しているのならば、当人にも変化──すなわち、『進化』や『成長』があっても、いいではないですか?
例えば、
ただの猿が無限の時間を経ることによって、シェークスピア本人に『進化』して、当然のごとく、シェークスピアならではの戯曲を創作したり、
ただのJSであった梨○ちゃまが、無限のループの因果に囚われて、『ま○マギ』のま○かちゃんばりに、『奇跡の魔女』である『べるんカス』になってしまったり、
──といったことだって、十分あり得るのでは?
そうなのです、『無限の時間』や『ループ』と言うものを、『並行世界』として考え直せば、すべて解決するのです!
つまり、この現実世界とは別の、無限の並行世界の中には、『シェークスピアの戯曲を創れる猿』もいるわけで、
その『猿』こそが、他でも無く、猿から進化した、『シェークスピア』御自身と言うことなのですよ。
言ったでしょ? 『猿』が作成する文章が、シェークスピアの戯曲へと変化するのなら、猿自身も進化しても、おかしくは無いだろうって?
それに何よりも、自称『オリコウさん』の馬鹿どもが、あれこれへ理屈をこねるよりも、『シェークスピア自身なんだから、シェークスピア原作の戯曲を創れて当たり前』といった結論のほうが、よほど腑に落ちるでしょう?
そして実はこれこそは、現在における最大の課題である、『人魚姫の救済』についても、しっかりと当てはまるのです!
──なぜなら、無数の『人魚姫の物語』には、それに対応する無数の並行世界が存在することが、現代物理学の根本論理である、量子論の多世界解釈によって保証されており、
その無数の並行世界の中には、『人魚姫が見事に、王子様の愛を手に入れた』物語も、十分にあり得るのですから。




