第314話、【長崎原爆忌】戦争をせずに勝てる、たった一つのさえたやり方(後編)
異世界提督「……まあ、日本としては、その前に『経済制裁』という、下手すると軍事力よりも抜群に効果があり得る、『切り札』があるしな」
六三四のゲン「何と言っても、『長崎平和記念日』ですからね! うん、やはり日本としては、武力なんかよりも、経済力ですよ!」
異世界提督「とぼけるんじゃないよ。問題は単に『平和憲法』の制約とかでは無くて、東アジア諸国にとっては、日本から武力を使われるよりも、経済力で締め上げられるほうが、よほどきついからだろうが?」
六三四のゲン「そりゃそうですよ、中共がGDP二位になったことでイキっているけど、そのほとんどすべては日本からの莫大なる経済支援のお陰だし、現在無理やり『NOジャパン』を強行して完全に死に体となってしまった韓国同様に、日本から完全に経済関係を切られてしまったら、アッと言う間に干上がってしまうことでしょうよ」
異世界提督「……うわあ、えげつねえ」
六三四のゲン「最近の両国は、日本に対して、いろいろと『やり過ぎ』なのですよ。ここら辺で一度、きつい『お灸』をすえて差し上げる必要があるのですわ♫」
異世界提督「それでも反省を見せる素振りが無ければ、そのまま切り捨ててしまうと?」
六三四のゲン「当然です、中共や韓国ごときをひねり潰すのに、何も武力なぞ必要無いのです。日本がちょっとでも本気で経済制裁に乗り出せば、勝手に自滅してくれることでしょう。あいつらはあまりにも、戦後75年にわたって軍事を捨てて、国力を経済に全振りしてきた、日本のことを舐め過ぎなのですよ」
異世界提督「……ま、そりゃそうだけど、今日の『長崎原爆忌』において、中共や韓国のことばかり非難して、真の元凶であるアメリカについては、ほとんど言及しなくてもいいのか?」
六三四のゲン「何をおっしゃっているんですか? 真の元凶であるのは、むしろ大日本帝国のほうではありませんか?」
異世界提督「なっ⁉」
六三四のゲン「──ああ、誤解なさらないでくださいね、いわゆる不逞極まる『コミー』や『反政府主義者』どもみたいに、『とにかく侵略国家の日本が悪いのだ!』とかいった、思考停止のワンパターンなことを言いたいわけでは無く、まず何よりも、『戦争をしようとしたことが、間違いだった』と申し上げたいのですよ」
異世界提督「へ? 戦争したこと自体が、間違いって……」
六三四のゲン「戦後日本の『平和憲法』下における、『交戦権の放棄』こそが、何よりも正しいってことですよ。戦争さえしなければ、原爆なんぞを落とされるどころか、負けること自体があり得ないので、まったく損失を被ることが無いでしょう?」
異世界提督「──何その、詭弁と極論の集合体みたいな論法は? どこの国だって、もし仮に戦争をしなくても、国家的な利益を上げたり、他国との紛争を解決できるのなら、戦争なんて一切しなくなるよ! けれども国と国との利害関係とは、そのように単純には行かず、『やむにやまれず戦争が起こってしまう』ってのが、これまでの人類史そのものじゃないか⁉」
六三四のゲン「な〜に言っているんですか? 戦後75年間、それを完璧に実現してきたのが、他ならぬ『平和憲法』下の日本ではないですか? 『戦争をやらないこと』とは、実は簡単なことだったんですよ? むしろ『人間とは、争い合わずにはいられない、原罪を背負っているのだ……ッ』とか、自分に酔っているようなことを言い続けている、中二病そのものの馬鹿どもこそが、間違っていたのですよ!」
異世界提督「──うおっ、た、確かに⁉ そう言われれば、ぐうの音も出ねえ!」
六三四のゲン「とは申しても、日本がこれまで不戦を守れてきたのは、いろいろな『要素』が絡み合っての、類い稀なる幸運に過ぎないんですけどね」
異世界提督「いろいろな要素、って?」
六三四のゲン「日本の存在する極東アジアが、資本主義陣営と共産主義陣営とが入り乱れている、いわゆる世界的『火薬庫』の一つでありながら、朝鮮戦争以降70年にわたって微妙なバランスの上で、実際に火薬が爆発せずに済んだことを始めとして、一応建前上は『交戦権を放棄』していながらも、世界最強の米軍が後ろ盾になっており、日本自体も事実上の軍事力であり、東アジア地域でも最上級に練度の高い精鋭部隊である自衛隊を擁していて、旧ソ連や中共等の軍事大国においても、おいそれと攻め込んでは来れなかったこと、そして何よりも、日本が世界有数の経済大国へと発展すると共に、その豊富なる資本力を惜しむこと無くつぎ込んだ海外援助等によって、周辺諸国を始めとして世界中から信頼を得ていること等々が、挙げられるのです!」
異世界提督「経済大国として、信頼を得てきたからこそ、戦争をせずに済んだだと?」
六三四のゲン「これこそが、先ほどの『模範解答』でもあるのですよ。武力を使わずに、どうやって国際紛争を解決するか? そもそも国家間で、争いを起こさないためには、どうすればいいのか? ──簡単なことです。常日頃から『金の力』で、首根っこを押さえつけておけばいいのですよ☆」
異世界提督「はあ? 何だそりゃあ⁉」
六三四のゲン「例えば、今現在日本に対して、核兵器等で脅しをかけているのは、かつての原爆投下国のアメリカでも、今や落ち目のロシアでも無く、まさしく東アジアにおける様々な問題の発祥地である中共であり、北朝鮮との統合を目論んでいる韓国なのです。そんな『勘違いしている』外国勢や、すでに日本国内に潜伏している、各分野における『工作員』どもに、親切にもお教えして差し上げているのですよ。──おまえらごときでは、そもそも核兵器を使用すること自体を、できやしないとね。なぜなら、日本は武力を行使するまでもなく、経済力で敵国を滅ぼすことができるのだから。何も平和憲法の縛りの中で交戦権を放棄して、75年もの間ただ無駄に遊んできたわけでは無いのですよ。その間ずっと、国内はもとより、全世界における経済発展に最大限に寄与してきて、今や世界各国から絶大なる信頼を得ているのです。いったん事あれば、最大の同盟国であるアメリカを始めとして、世界中のほとんどの国が、日本の味方となってくれることでしょう。たかが中共や韓国風情が、日本に敵対行動をとろうが、痛くもかゆくも無く、赤子の手をひねるようにして、消し飛ばすことができるのですよ」
異世界提督「……つまりそれって、国と国とのいざこざにおいて、真の勝利を得るにはまず何よりも、『戦争をしないこと』であり、日本国は武力を捨てて経済力を取ったことにより、それを見事に実現したということか?」
六三四のゲン「平和憲法下の日本の在り方としては、まさしく理想的でしょう?」
異世界提督「そうだな、戦争はしないに限るよな。そもそも『核兵器の廃絶』なんて、どだい無理な話なんだから、むしろ日本が戦後75年もただひたすら愚直にやり続けてきたように、相手国に『核兵器を使わせない』努力こそをすべきなのかもな」
六三四のゲン「──まあ、日本のことを舐めたいのなら、好きなだけ舐めても構いませんけど、平和憲法に縛られているからって、足元を見ていると、自分たちのほうがつまずいてしまうかも知れませんので、十分にご注意のほどを♡」




