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第284話、デストロイヤー転生、これぞ駆逐艦『娘』、最強伝説だ⁉(その70)

「──これまで述べてきたことを一言にまとめると、黒人であろうと白人であろうと黄色人種であろうと、本人に『やる気』さえあれば、後はスマホ等の誰でも手に入れることのできる文明の利器を用い、地道に不断の努力を重ねることによって、少なくとも個人的には、『けして差別されることの無い、他人から敬われる人物になれることができる』と言うことでしたが、実はもう一つ、非常に重要なるファクターがあるのでございます。それこそはまさしく、『信頼関係』なのです!」




『……信頼、関係?』




「そりゃそうでしょう、それまで虐げられた者が成功を収めて、何らかの『力』を得た場合、それを笠に着て他者に横暴な振る舞いをしては、とても信頼を得ることができず、差別はされないにしても、彼自身はおろか彼が所属する人種等の『コミュニティ』に対する、偏見はますます募り、人種間の軋轢は増すばかりだし、しかも高圧な態度をとる相手が他のマイノリティなコミュニティだった場合は、今度は彼こそが『差別主義者』のレッテルを貼られかねないでしょうよ」




『た、確かに……』




「よって、本当に差別を根絶しようと思えば、差別される側の民度を上げると同時に、他のコミュニティとの『信頼関係』を築いていかなければならないのですよ。わたくしたち軍艦擬人化少女にとっての真のホームグラウンドである『大日本帝国』を例に挙げれば、世界に冠たる国際連盟の理事国として、国際連盟規約への『人種的差別撤廃』の明記を提案したところ、黒人等有色人種を数多く抱えて、白人優位が損なわれると何かと都合の悪いアメリカ合衆国を始めとする、白人至上主義諸国に頑強に反対されて廃案となり、仕方なくせめてアジアにおける黄色人種の地位向上を目標にして、『大東亜戦争』を起こしたところ、戦後において各植民地諸国の独立を促すという多大なる功績を果たしたものの、帝国自体は敗北し、国際的地位を失ってしまい、有色人種の地位向上の実現は大きく立ち後れることになりました。このように、たとえ『人種差別根絶』のためとはいえ、暴力によるものなぞは他者の賛同を得るどころか、コミュニティ間の争いや憎しみを生むだけであり、文字通りの『悪手』と申せましょう。何せこれについては、かの高名なるガンジー氏が『非暴力、不服従』を標榜して、見事にインドの独立を達成したことこそが、如実に証明していることですしね。もちろん戦後日本においても、不戦を誓った平和憲法のもとで、国民一丸となって戦後復興を目指しつつ、たとえ経済大国になろうともそれを笠に着て、他国への『力押し』なぞけして行わず、何よりも『信頼関係』を築くことを尊んで参りました。それも、欧米諸国にはいまだ黄色人種への偏見が蔓延り、アジア諸国においては戦争時における反感や拭い去れない疑念などが残っているという、非常に不利な状況であったにもかかわらず、ただひたすら愚直に公明正大なる経済的取引を続けていったのです。──そして結果として我が国は、世界有数の経済大国になるとともに、他国から多大なる信頼を勝ち取ることを成し遂げたのです!」




『──‼』


「そりゃそうでしょう、そもそも『商取引あきんどは、信用が第一』こそが、関西商人を始めとして、古くからの日本における経済界最大のモットーなのであり、結局のところ信頼無き経済関係など、双方に真の利益をもたらすことなぞ不可能なのですから」


『そ、そうですね、某合衆国みたいに、世界のリーダーたる白人国家であることを笠に着て、『自分たちこそが正義である!』と言うやり方に固執していたのでは、それに反発する国々の信頼は永久に得られないし、某人民共和国みたいに、確かに他国を分け隔てしたりはしていないけど、むしろ相手構わず経済侵略しようとする勢いで、自分たちこそに責任のあるコロナ禍に乗じてこれ幸いと、海外の土地や企業を買いあさったり、盛んに領海侵犯したり、国境紛争を起こしたり、ネット上でサイバー攻撃したり、その他様々な工作活動したりしたんじゃ、表面上の経済的協調関係はともかく、真に信頼関係を築くことなんて、到底不可能ですよね』


「それが露骨にあからさまになったのが、まさに今回のウイルス騒動においてであり、全世界的に食糧事情の逼迫が予想される中で、食物輸出国が食糧を売ってくれるのは、最終的にはやはり、『強権的な国』でも『札束で頬を叩こうとする国』でも無く、『最も信頼できる国』だと思うのですの」


『……「信頼される」と言うことは、ある意味「尊敬される」と等しいわけだから、「差別されない」ことになるのは、当然の仕儀ですしね』


「現在国家レベルで、日本を差別する国なんて皆無だし、個々人レベルで日本人を差別する輩なんて、自分の国がどれ程日本と信頼関係を結び、経済的に切っても切れない間柄にあるか認識していない、『愚か者』であるだけですけどね。──某ヨーロッパの歴史的にレイシストの代名詞のような国の国民や、某合衆国の『自分こそ差別の被害者なんだ!』とかわめいているくせにアジア人に差別的言動ばかりを行い、日本の最南端の一部地域において、凶悪な事件を繰り返して起こしているようなカスどもみたいにね」


『……何かあなたって、今回の差別事件の対象であるはずの某人種に対して、相当批判的なご様子ですけど、やはりそれって本作の作者自身が、「25年前の某凶悪事件」のことを、いまだ絶対に赦せないからなの?』




「──何をおっしゃっているのです! これは作者がどうこう言う以前に、わたくしたち大日本帝国海軍(ゆかり)の、『軍艦擬人化少女』自身の問題でしょうが! そもそも我々帝国海軍が、沖縄決戦の前段階において、アメリカ海軍機動部隊の侵攻を阻止できていたら、沖縄の占領自体も無く、戦後黒人兵等による少女レイプのような、凶悪事件も起こらなかったんですよ!」




『…………あ』


「……悔しい、本当に、悔しい、わたくしたち帝国海軍が不甲斐ないばかりに、戦後70年以上たっても、沖縄の皆様に多大なる苦難を背負い込ませ続けてしまうなんて。こうして軍艦擬人化少女として甦って、信じられないまでに発展を遂げた日本の姿を見るにつけ、沖縄の皆様の現状だけが、悔やまれてなりませんの!」


『そう、ですね。沖縄の皆様が置かれている特殊な状況に由来するご苦労については、我々帝国海軍(ゆかり)の者としては、常に責任を感じるべきですよね』




「そのためにも、二度と愚かな戦争を起こすこと無く、たとえ現在における侵略主義的な『仮想敵国』に対しても、忍耐強く信頼関係を構築して、経済大国としてだけでは無く、人として国家としても、真に尊敬される国造りこそに、邁進していかなければならないのです!」




『あ、あの、私たち兵器なのに、戦争を否定してしまっては、自己否定になるんじゃ無いのですか⁉』


「──戦争自体の抑制も、我々兵器にとっては、立派なお役目なのです!」


『うおっ、平和憲法下において「専守防衛」を尊ぶ、自衛隊等日本の防衛力としては、まさしくお手本そのもののお言葉ですこと!』




「どうです、人にしろ国家にしろ、この複雑なる国際社会においては、『信頼関係』こそが、真に平和で平等なる世界を実現し得ることが、ようくわかったでしょう?」




『……ええ、まあ。でも、今回こそ本格的に「本編」を再開すると予告していたのに、これって読者様に対する、約束違反じゃないでしょうか?』


「何言っているのです、これって本編そのものではないですか?」


『は?』




「つまりですね、あなたがわたくしに全然及ばずに、そのような醜態をさらしておられるのは、ただ単に『力の差』だけでは無く、何よりも大切な、提督さんとの『信頼関係』を築くのを、怠ってしまったからなのですよ」




 ──っ。

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