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第283話、デストロイヤー転生、これぞ駆逐艦『娘』、最強伝説だ⁉(その69)

『……つまり、ありのままの自分を、受け容れろと?』




「──ええ、そうでございますわ♡」




 長々と続いた、戦艦型擬人化少女であるこんごう嬢の『自分語り』に、ほとほとうんざりしながらも、一言で要約してあげて確認をとった私に対して、あっさりと認める、目の前の年の頃15歳ほどの金髪碧眼の、絶世の美少女さんであった。




 くっ、明らかに『心理戦』にもつれ込ませて、こっちの精神を揺さぶろうとしているのはわかるけど、物理的な攻防力のほうに、絶望的な差があるのは歴然としているのだから、ここはあえて話に乗って、時間を稼いで好機を窺うべきか。


『……まあ、あなたがその容姿で苦悩したのはわかるけど、別に私たちはあなたを疎外したつもりは無いし、あなた自身が気にするほど、理不尽な状況では無かったんじゃないの? それなのに、現在進行形でいろいろと差別的扱いを受けている、黒人等のマイノリティの方に対して、偉そうにお説教できる立場では無いのでは?』


 ──てな感じで、『釣り糸』は、でかければでかいほどいいとばかりに、あえて挑発的なことを言ってみたところ、




「あら、先ほどの話は別に黒人の方だけでは無く、黄色人種はもちろん、白人の方にも該当するのですよ?」




 ………………は?




『──いやいやいや、黄色人種はともかく、アメリカにおいて白人が、うかつに人種差別されないように、常に自分を磨き続けなければならないなんてことは、あり得ないでしょうが⁉』


 私はあくまでも、至極当然なことを言ったつもりであった。


 確かに貧富の差や、『ラテン系かアングロサクソン系か』などと言った違いは、あるかも知れないが、少なくとも白人が黒人ほど不利益をこうむることなぞ、欧米においてはあり得るはずは無いだろう。




「……やはりあなたは、基本からわかっていないようですね。いいですか? あなたの根本的誤り──ひいては、『あちらの世界』のすべての人々における『根源的な間違い』とは、そもそも『人には優劣はある』という思い込みなのです。こんな誤った考えに取り憑かれたままでは、けして差別を無くすことはできないでしょう」




 へ。


『そ、それって、つまり、白人と黒人には、優劣の差がまったく無いと、言っているの?』


「もちろんです。『優劣の差がある』などと言ってしまったら、それこそ『差別』ではありませんか?」


 ………………………あれ?


『そうだよ、そうじゃないの! 私ったら、一体何を馬鹿なことを言っていたのかしら⁉』


「安心なさい、実はすべての『自称人道主義者』どもも、まったく同じ考えの持ち主でしかないのですから」


『え? いや、違うでしょう? 今アメリカを中心にして、「黒人差別反対!」と叫んでいる人たちって、そんな「変な先入観」無しに、真の平等を訴えているはずじゃないの?』


「いえいえ、ああいった類いの輩の主張を、ようく聞いてごらんなさい。あたかも『黒人は我々白人様よりも劣る可哀想な存在なのだから、我々白人様が擁護してやらなければならないのだ!』とでも、言わんばかりの傲慢さを、かもし出しているではありませんか?」


『──ッ』


 そ、そういえば。




「思い上がりも甚だしいこと。──実は黒人も白人も黄色人種も、人間というものはすべて、『劣った存在』であるというのにね」




『劣った存在って、人間が? 「優れている」んじゃなくて?』


「実は原則的に、『優れた人間』など、ただの一人も、存在し得ません」


 いやいや、そこは嘘でも、「優れている」と言おうよ?


 何せ私たち自身は人間では無いのはもちろん、まさにその人間に従属すべき、軍艦擬人化少女なんだし。




「昔の科学雑誌に、白人と黒人との天才科学者同士の知恵比べの記事があったのですけど、何とその白人のほうが『人種差別主義者』だったりして、『高等人種である白人の私が、黒人なんかと勝負ができるか!』と、最初のうちは拒否していたものの、非常に難解な質問を二、三してみたところ、黒人のほうがあっさりと解答したものだから、結局は勝負を受けることになったのです。──こう言うと、いかにも『人類には人種的な優劣は無い!』という、あざとい結論が導き出されたようですが、わたくしは根本的に間違っていると思いますの。なぜなら、これはその黒人の方が、あくまでも個人的に努力して勝ち得た能力なのであって、黒人と言う人種すべての優秀さが証明されたわけでは無いのですから」




『──‼』


 な、なるほど!




「もちろんこれは、白人の方のほうも同様で、別に彼も白人だから天才になれたわけでは無く、これまでの不断の努力の結果として勝ち得た称号に過ぎず、条件等は黒人の方とまったく同じなのであり、そこにそれぞれの人種全体としての優劣なぞまったく関係せず、すべては個々人の問題でしか無いのです」




『……言うなれば、幼少期より与えられる学問の機会チャンス等については、確かに白人のほうが何かと条件がいいけれど、そこでその人個人が何の努力もしなければ、天才どころか、真っ当な人間になることもできないってことなのね』


「そういうこと」


『で、でも、例えば黒人は、スポーツや音楽分野は得意だけど、学問や文学等の創作関係は苦手というのが、全世界的に認められた傾向であり、黒人が学術や創作の道を目指したところで、白人よりも条件が大幅に悪くなるんじゃないの?』


「だから言ったでしょう? もはや現在においては、上級の学校に行く必要も無いし、何か学術的論文や自作の小説を発表したかったら、スマホ一台持っているだけで、どのような希少な情報だって一瞬でアクセスできるし、その場に居ながらにして自分の作品を、世界中に発表できるって」


 ………………あ。


「少々後ろ向きな発言になってしまいますけど、下手したらさっき言っていた『不断の努力』すら必要が無くなりかねないのですからね。というのも、あらゆる情報が集積し続けるインターネットに接続できるスマホを持っているということは、文字通り『全知』そのものの超天才的頭脳を、自分の『外部』に持っているようなものなので、もしも一部の差別主義者がほざいているように、白人と黒人との間で能力の差があったとしても、まったく問題は無くなるのですよ。──つまり、後はその黒人に『やる気』さえあれば、ほんの一昔前には白人にだってつかめなかった夢を、手に入れることすら十分に可能となっているのです」


『ええー、「あちらの世界」って、そこまで進んでいるの? だったら、「人種差別反対」なんて訴えている、「エセ人道主義者」って、一体何なのよ⁉』




「これについては、本作の作者自身が自作の中で、本来ならお偉〜い大学とか学会とかでしか発表できないことを、あっさりと発表していることで、実践していますものねえ。特に『集合的無意識』については、世界中のどのような『自称専門家』の学者様にも、引けを取らないと自負しておりますわ。詳しくは本作を始めとする作者の各作品をご覧になっていただきたいと存じますが、集合的無意識という、本来実体の無きものを、あれ程具体的に解明した文章など、他にはございますまい。──つまり作者は、まったくの素人でありながら、集合的無意識に関しては最先端かつ最高の理論を、すでに個人的に全世界に公開しているわけなのですよ。それも別に、学術的に人々をあっと驚かせたり、マウントを取るためなんかでは無く、あくまでも自分の小説を少しでも面白くしようとするためにね♡」











金剛プリンセス・ダイアモンド「──ここで、ビッグニュースです! 何と現在この一週間内限定で、ア○マTVにおいて、『マギ○コ【アニメ版】』の無料一挙配信が行われております! ファンの方はもちろん、まだ未見の方も、この機会に是非ご覧になってください!」




駆逐艦娘ですとろいやあ「……え、何で本作で、『マギ○コ』の宣伝なんかするのです?」




金剛姫プリンセス・ダイアモンド「作者によれば、わたくしたち軍艦擬人化少女も、魔法少女のようなものだと言うことらしいので、何かの参考になるのではないかと思いまして」


駆逐艦娘ですとろいやあ「──だったら、『まち○ぞ』の一挙配信のほうを、勧めたほうがいいんじゃないのか⁉」


金剛プリンセス・ダイアモンド「もちろんそちらのほうも、お勧めいたしますわ♫」


駆逐艦娘ですとろいやあ「……相変わらず作者のやつ、節操の無いこと」


金剛プリンセス・ダイアモンド「本作についても、次回からいよいよ戦闘のほうも、大詰め(クライマックス)に移行いたいしますよ!」


駆逐艦娘ですとろいやあ「──遅いよ! 何を数回にもわたって、本筋と関係無いことばかりやっているのよ⁉」


金剛プリンセス・ダイアモンド「いえいえ、何と言っても『人種問題』は、現在最もホットな話題ですし、厳密には人間では無い我々軍艦擬人化少女にとっても、けして他人事では無いと思われますよ?」


駆逐艦娘ですとろいやあ「う、確かに、『人とロボットとの格差問題』は、昔からSF小説等において、重要な課題テーマの一つになっていたっけ」


金剛プリンセス・ダイアモンド「それに、ここしばらくは実質的に、いわゆる『心理戦』を行っていたということになれば、れっきとした『本編』であるわけですしね」


駆逐艦娘ですとろいやあ「ううっ、そう言われると、反論できない!」




金剛プリンセス・ダイアモンド「──というわけですので、読者の皆様も、どうぞご期待くださいませ♡」




駆逐艦娘ですとろいやあ「……本当に大丈夫なのか? もう一つの連載のほうも、山場に差しかかっていると言うのに」

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