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第269話、デストロイヤー転生、これぞ駆逐艦『娘』、最強伝説だ⁉(その57)

「──今です、皆さん、壁面の砲塔の飽和攻撃と同時に、我々も主砲を一斉発射いたしましょう!」




「「「らじゃ!!!」」」




 僕がラトウィッジ司教から衝撃の事実を聞き及んでいる間にも、旧大日本帝国海軍(ゆかり)の戦艦娘であるこんごうたちの、僕のしもべである駆逐艦デストロイヤー・ガールのキヨに対する、圧倒的な『数の暴力』による攻撃は、まったく手を緩めることなく続いていた。




 今のところ、周囲の大気を『万物変化メタモルフォーゼ』のスキルによって錬成した防御結界バリアのお陰で、どうにかっているが、その分()うちの魔導量の消費が激しく、限界を迎えるのも時間の問題かと思われた。


「……どうしてだ」


 もはや堪りかねて、思わず口をついて出てくる、苦悶に満ちた疑問の声。




 ──それだけ、現在の状況には、納得がいかなかったのだ。




 ほんと、どうしてなんだ?


 こんな、明らかに不利な状態での戦闘なんて、無理にする必要は無いだろうが?


 金剛を始めとする戦艦娘たちも、軍艦擬人化少女であるのだから、あいつらにとっても『提督』であるらしい、僕のことを傷つけたりする怖れは無いんだから、ここは自分キヨ一人だけでものがれて、捲土重来を期せばいいじゃないか?


 いくら軍艦擬人化少女が、契約者である提督と一緒にいるほうが力を発揮できるからと言って、このまま為す術も無くやられてしまったら、本末転倒だろうが?




「──何が、『どうして』ですか? 彼女としては、当然のことをやっているだけでしょうが」




 は?




 その時突然すぐ側からかけられた、まるでこちらの胸中を見透かすような声音。


 それは言うまでもなく、さっきからずっと付かず離れず僕にへばりついている、黒衣の解説者であった。


「──解説者じゃありません! 聖職者です!」


「……実質もう、解説者じゃん。『マギ○コ』だったら間違いなく、『解説のウワサ』とか呼ばれてるぞ?」


「それって、『解説』なんですか? 『ウワサ』なんですか? 確かに、あのゲームだったら、『実質、マンション』であるだけでも、『ワルプルギスの夜』だろうが何だろうが、マンション扱いされそうだけど⁉ ──いやそんな、どこぞの『二次創作ネタ』はどうでもいいとして、軍艦擬人化少女がこの状況で、契約者である『提督』から、絶対に離れようとしないのは、当たり前のことに過ぎないのですよ?」


「だから、何が当たり前なんだよ? おまえら教団は、これから僕を殺してしまうつもりでも無いんだろ?」


「殺すつもりも何も、我々教団は現在のところ、あなたに対して、何もするつもりはございませんよ」


「へ? だったらどうして、僕たちの前に現れたんだ?」




「当然、彼女たち戦艦娘の、『引率』に決まっているではないですか?」




「──修学旅行中の学校の先生かよ⁉ 普通、ラスト近くに登場する悪の教団の幹部って、それなりにラスボス級のキャラであるはずだろうが⁉」




「失礼な、聖レーン転生教団は別に、『悪の組織』ではございませんよ? むしろ『世界を裏から支配している』だけなんですから」


「……それって、同じことじゃないのか?」




「いえいえ、全然違いますよ! むしろ世界が滞りなく進行していくように、いろいろと裏で努力しているのですから、言うなれば文字通りに『奉仕団体』なのであって、宗教組織としては、当たり前のことをしているだけなのです!」




 ……あー、そういうことか。


『あちらの世界』においても、何かと現在の『政権政党』のことを、さも『悪の組織』や国民に対する『弾圧者』みたいに考えている、『思考停止』した低脳集団がいるけど、昨今の感染症騒動だって、結局政府やお役所や医療機関があれこれと頑張ったから、最小限の被害で済んだのであり、結果が出てから「今回の騒ぎは大したことなかった」とか、「結局政府は何の役にも立たなかった」とかとほざくのは、あまりにも考えが足りないと言わざるを得ないだろう。


 億単位の国民がいて、めいめいが好き勝手やりかねない状況で、国家全体の適切なる舵取りを行うためには、国民の機嫌取りばかりはしておられず、それなりの『痛み』ももたらせねばならないのであり、それが理解できない輩なんて、真の民主主義というものが、国民に『権利』と共に『義務』をももたらすという、極基本的なことすらも心得てない愚か者か、最初から政府に従うつもりなどない反国家主義者の、どちらかであろう。


 ──あ、言っておきますけど、僕自身はまさに、『反国家主義者』の最たるものである、『非合法召喚術士』ですからね?


 何も、『あちらの世界』の方々を、一方的に批判するつもりは無いですよ?


 ──ただし、SNS等で匿名で、現政権を批判したり、有益な法案に対してデマを流して邪魔したりした場合、それなりの処罰むくいを受けることを、まさに現在のこの状況における僕自身そのままに、覚悟しておく必要があるってことなんだよ。




 そう、この時僕が目の前の異端審問官に突きつけられた『断罪の言葉』は、これまで想像だにできなかったほどの、『痛み』を伴ったのである。




「もしもこのまま金剛さんたちが勝利して、彼女たちの望み通りに、『提督』であるあなたと契約を結んだ場合、当然のごとく、あなたとキヨさんの契約のほうは、無効化されてしまうのです。──すると、どうなるでしょうね? あなたと契約する前のキヨさんて、一体どんな風な、ご様子でした?」




 僕と、正式に契約する前の、キヨって……。


「──ああっ、そ、そういえば、最初に会った時のキヨって確か、まるで感情の欠片も窺わせない、ロボットか何かのような感じだったっけ⁉」


「それは当然ですよね? 何せ軍艦を擬人化した存在である彼女たちは、ある意味『機械の人間(ロボット)』そのものなのですから」


「そ、それじゃ、このままキヨが、金剛たちに負けてしまったら──」




「ええ、あなたとの契約を失って、デフォルトの状態に戻ってしまうことでしょう」




 ……何……だっ……てえ……。

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