表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
252/352

第252話、デストロイヤー転生、これぞ駆逐艦『娘』、最強伝説だ⁉(その40)

「……それでどうして、現代日本で開発された、軍艦擬人化少女の『潜水艦娘』タイプとそっくりそのままな、『人魚』の女の子たちが、この世界の代表的宗教組織の総本山なんかにいるんだ?」




 実は大陸きってのお尋ね者である自分たちにとっての、最大の敵であるはずの、聖レーン転生教団の本拠地にのこのことやって来た、僕こと召喚術士兼錬金術師のアミール=アルハルと、そのしもべで軍艦擬人化少女のキヨであったが、敬虔なる聖職者や信徒の皆様ばかりと思われた『聖都ユニセクス』が、思いの外自由と豊かさに満ちあふれて活況を呈していたことに、面食らっていたところ、聖都及び教団自体の文字通りの中心部である、天高くそびえ立っている教皇庁『スノウホワイト』を取り巻く運河にて、まさしくファンタジーワールドならではの人魚たちを多数発見して、俄然テンションを上げるものの、同時に至極当然なる疑問も浮かんでしまったのであった。





「別におかしくは無いでしょう? 何度も申しますように、この世界は剣と魔法のファンタジーワールドなんだから、人魚なんて下手したら、『物語』的にもメインキャラ候補でしょうが?」


 ……キヨのやつ、また『メタ』っぽいことを。何だよ、『物語』とか『メインキャラ』って?


「確かにそうかも知れないけど、逆に言えば、ファンタジー色の一切無い『完全なる現実世界』である、現代日本において超最先端技術を結集して建造された、軍艦擬人化少女における『潜水艦娘』タイプが、どうして同じ軍艦擬人化少女であるおまえ自身が、一瞬見間違えるほど、この世界の人魚とそっくりそのままなんだよ?」


「それは当然、現代日本においても、人魚なるものは、『萌えキャラ』として大人気だからに、決まっているではないですか?」


「──むしろ祖国の『恥』そのもののトピックスを、胸を張ってドヤ顔で宣言するなよ⁉ 何なんだよ、現代日本のやつらって? 科学力が異様に高いのは認めるが、人類を滅亡の危機から救うのための『最後の希望』を、萌え艦隊ゲームをヒントに考案するとか、国民全員が、なんか変な病気を患っているんじゃないだろうな⁉」


 ……うん、僕自身、『最強の存在』を召喚したつもりだったのに、十歳くらいの全裸の幼女が現れた時には、いろいろな意味で『社会的な死』すら覚悟したよ。


 もちろん今となっては、『幼い少女の肉体に、軍艦の攻撃力や防御力を、そのまま丸ごと詰め込んでいる』からこそ、最強である得るのは、納得済みだけど。




「何言っているんですか、現代日本では、『スク水萌え』に代表されるように、『萌えこそ大正義』なんだから、当然ではありませんか?」




 ──考え得る限り、最低の回答が、来たああああああ!!!




「第一何よりも、『潜水艦型擬人化少女』を人魚にするなんて、まさしく今世紀最高の画期的発想と申しても、過言では無いでしょう!」


 いや、過言だよ! 過言過ぎるよ!(二重強調)




「実際に開発に取り組まれた技術陣の皆様は、さぞかし大いに悩まれたことでしょう。何せ先達として、『スク水型潜水艦娘』という、誰もが認める『大正義的金字塔』が存在しているのですから。これを超えるなんて事実上不可能とも言えて、多大なる苦悩や失敗等の試行錯誤の連続だったかと思われます。とはいえ、まさかまともな技術力も無い、某大陸ゲームみたいに、『メカの潜水艦娘をメカの水中バイクに乗せる』などといった、馬鹿丸出しなことはできません。あそこの開発陣はパクる以外は、発想力というものが皆無なのでしょうか? まあ、歴史上近代戦においては、潜水艦どころかまともな海軍を有したことも無い、低技術後進国なのだから、これ以上責めるのも酷というものでしょうw ──しかし、現代日本においては、そういうわけには参りません。何と言っても、かつてはかの大日本帝国海軍を擁していた、世界有数の海洋国家なのですからね。艦船建造技術に関しても、世界でもトップクラスであるのは言うまでもなく、潜水艦についても、現行の海自における『そうりゅう』シリーズは、豪州等の海洋国からも垂涎の的となっており、特に最新艦の『おうりゅう』に至っては、機関部の電源として諸外国に先駆けて、リチウムイオン蓄電池を搭載することによって、抜群の航続性と静音ステルス性とを実現して、全世界の注目を集めており、当然その誉れ高き伝統や最先端の技術力を受け継ぐことになる、『潜水艦娘』の開発に当たっては、けして下手を打つわけには参りません。──そこで、開発スタッフは、大胆なる『発想の転換』を行うことにしたのです。「……あれ、別に軍艦擬人化少女だからって、ゲーム脳的な『萌え』に、こだわる必要は無いんじゃね?』と」




「──駄目じゃん! ここに来ていきなり『萌え』そのものを否定するなんて、完全に本末転倒的に目的にを見失って、迷走しているじゃん⁉」




「いえいえ、ちゃんと『コロンブスの卵』そのままの、大英断だったのですよ?」


「……ああ、まあ、人類の『最後の切り札』を、萌えに基づいて建造しようとした、アホな考えを改めるわけだから、英断といえば英断だな」


「え? 何をおっしゃっているのですか? 一番のキモである『萌え』を、あきらめたりはしませんよ?」


「何で兵器の開発の一番のキモが、『萌え』なんだよ⁉ だったら、何が『大英断』と言うんだよ⁉」




「──萌えの『方向性』の、違いです」




「……『方向性の違い』って、何を急に、どこかの解散寸前のバンドのメンバーみたいなことを、語り始めてんの⁉」


「それでは、お伺いしますけど、提督アドミラルは『潜水艦』のメタファとしては、どういったものを思い浮かべますか?」


「え、メタファ──すなわち、隠喩ということは、『擬人化』に限定しないわけか?」


「ええ、潜水艦と聞いて、すぐに頭に浮かぶイメージで、オケ(OK)です」


 う〜ん、確かに召喚術士である僕は、これまで手に入れた様々な『情報』から、『あちらの世界』の潜水艦なるものが、どういったものかは知っているものの……。


「パッと、浮かぶのは、『クジラ』かなあ」


「おお、いい線行ってますね。実は旧帝国海軍において、『潜水母艦』として使われていた軍艦には、『たいげい』と名前が付けられていたくらい、『潜水艦=クジラ』のイメージは、軍部においても一般的だったようです。──あと、他には?」


「え、他にはって………ああ、潜水艦て、クジラに比べたらかなり細長く見えるから、むしろ『イルカ』のほうが、しっくりくるかもな」




「ナイスです! さすがは、私が見込んだ提督アドミラル! これにて『スクール水着萌え検定』、合格です!」




「──貴様、はかったな⁉」




 こいつ、どうして僕をこうも、『スク水萌え』仲間にしようとしやがるんだ⁉












 ……まさか、散々僕を洗脳して、すっかり『スク水教』に入信させてから、自分自身もスク水を着て、迫ってくる気じゃないだろうな?




 おいおい、ほんとに人のことを、社会的に殺す気かよ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ