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第161話、将棋ラノベで、ロリときたら、次はおねショタかヤンデレだよね♡(その26)

「──いや、ちょっと待って! 『今回はテストケースのようなもの』ってのは、どういう意味なんですか⁉」




「ええ、できましたらこのまま、この『将棋ラノベ』シリーズの中で、私自身もレギュラーキャラとして、『わたくし、悪役令嬢ですの!』の【現代編】も同時に進行していくのも、一つの案だと思いまして♡」




 なっ⁉


「一つの作品の中で、別の作品も同時に進行していくですって? ──とはいえ、そっちは一応、『伝奇ファンタジー』なんでしょう? 作風がまったく違うではありませんか⁉」


「いっそのこと、私もこの()の巫女姫としての予知能力を駆使することによって、女流棋士かプロ棋士になり、皆様と『将棋ラノベ』的ストーリーを展開しつつ、私個人のバックグラウンドを掘り下げるといったていで、『わたくし、悪役令嬢ですの!』【現代編】を同時進行させるといった形であれば、それほど不自然ではないのでは?」


 ──うえっ、この人、(たち)の悪いことに自覚的に、『庇を貸して母屋を取られる』を、地で行こうとしていやがる⁉


 お嬢様のあまりに自分本位な言いように、開いた口が塞がらずに呆気にとられていれば、何ともう一人のお嬢様が、いきなりまくし立て始めたのであった。




「──ちょっと、何を勝手なことをおっしゃっているのですか? この作品にヒロインは、わたくし一人で十分でございます! 他の作品のヒロインさんは、いつまでもちんたらと対局なんてしておられないで、とっととご自分の作品にお帰りください。これからわたくしとヒットシー王子は、しっぽりと『入浴タイム』を楽しむ予定ですので」




 ………………………………ほへ?


扶桑アンラッキー桜花・ロケット! 何ですか一体、その入浴タイムとやらは⁉」


 とても聞き捨てならない、あまりに意味深な台詞の登場に、慌てふためいて問いただす、僕こと、きんだいちゅうショウ奨励会三段であった。


「何をおっしゃるのです、これは『DS(男子小学生)の兄弟子』と『JK(女子高生)の妹弟子』との、初顔合わせにおける、至極当然の『儀式』ではありませんか?」


「至極当然の儀式って、ほとんど初対面の歳の差カップルが、一緒にお風呂に入ることがですかあ⁉」




「ええ、ちゃんと『りゅうおうの○しごと!』にも、載っていましたし」




 ──って、おい!


 いくらリスペクトの対象作品だからって、そんなところまで見習う必要は無いだろうが⁉


「ぐふふふふ、王子のお身体は、ちゃんとしっかり隅々まで、洗って差し上げますからねえ。──この天然マシュマロスポンジの両胸を使って、文字通りの『ボディ・ウォッシング』で♡」


「──ぶっ⁉」


 思わず振り返れば、いかにもこれ見よがしに胸元を強調するように腕を組み、こちらへとつやっぽい流し目をくれる、『年上の妹弟子』。




 まるで獲物を前にした肉食獣であるかのように、舌なめずりを繰り返す、鮮血のごとき深紅の唇。




「──いやいやいや、何言ってくれちゃっているの⁉ この御時世、そんなことが許されるわけがないでしょうが? 僕たち二人共、未成年なんですよ⁉」


「今やわたくしたちは、こくじょうりゅうおうの内弟子同士であり、言わば『家族』も同然なのでございます! 実の兄妹と言っても過言では無い二人が、一緒にお風呂に入って、何が問題だとおっしゃるのです?」


「問題だよ、問題だらけだよ⁉ しかもあくまでも僕が『兄』で、自分のほうは『妹』なんだ? 一体どういった『プレイ』なんだよ⁉ ──そこの巫女姫様も、面白そうに眺めていないで、何とか言ってくださいよ⁉」


「あら、私も混ぜていただけるのですか? だったら後学のために、私も一緒に混浴させてもらおうかしら?」


 ──ちょっ、あなたまで、何言ってくれちゃいますの⁉


「……まさかあなたまで、王子のことを狙っているのでは、ないでしょうね?」


「うふふふふ、ご安心ください、扶桑アンラッキー桜花・ロケットさん。私はあくまでも、見学に徹しさせていただきますので。──話によると、人目に晒されながらのプレイも、非常に燃えるそうですよ?」


「ほう、それは、一考の余地がありますわね?」


「──無いよ! 何を乗せられているの? そもそもあなたたちなんかと、一緒にお風呂に入ったりしませんからね⁉」


「……扶桑アンラッキー桜花・ロケットさん?」


「ええ、いざとなれば、力尽くでも……ッ」


「おいっ、あんたら本当に、いいところのお嬢様なの⁉」


 そのように僕らが馬鹿げたやりとりを行っていた、まさにその時、




「──いい加減にして!」




 即席対局場である、十二畳の和室に響き渡る、悲鳴のごとき叫び声。




「……アユミ、ちゃん」




 そうそれは、将棋専用ソフトの擬人化ヒロインでありながら、ほとんど素人同然の人間の女の子相手に窮地に追い込まれてしまった、哀れなるアンドロイド少女によるものであった。

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