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第160話、将棋ラノベで、ロリときたら、次はおねショタかヤンデレだよね♡(その25)

「──いや、むちゃくちゃ雰囲気に浸っておられるところ、大変申し訳ないんですが、ちょっと待ってくださいよ⁉」




 長々と続いた、予知能力を有するとも言われる『()の巫女姫』である、明石あかしつきよみ嬢の、驚愕の身の上話を聞き終えたその時、僕は堪りかねて、場の空気をぶち壊しにすることも厭わずに、そう叫んだ。




「あら、ヒットシー王子さん、どうなさったのですか?」


「どうしたも、こうしたも、ないよ!」


 この期に及んでとぼけようとする、()()()()()()()()()に向かって、僕は言い放つ!




「そういうのは、ご自分の作品のほうでやってくださいって、言っているんですよ! しかもそれって、『わたくし、悪役令嬢ですの!』の【現代編】における、ものすごく重要な裏設定でしょうが⁉」




 ──そうなのである。


 いかにも場の雰囲気に流されそうになったものの、キャラクターの背景設定としては十分に頷ける内容だったとはいえ、考えてみれば本作のストーリー展開とは、まったくと言っていいほど関係の無い話ばかりだったのだ。


 当然たった今僕自身が言ったように、むしろ作者の別作品である『わたくし、悪役令嬢ですの!』において、【現代編】を新たに設けたりなぞして、そこでしっかりと心置きなく語っていくべきであろう。




「……ああ、うん、ごもっともなご意見とは思うんですけどねえ、それがそう簡単には行かないのですよ」




「は?」


 僕の至極当然な『ツッコミ』に対して、すごく申し訳なさそうな顔をしながらも、煮え切らない言葉を返してくる、(己の姉から奪い取ったと言う)銀髪金目の巫女姫さん。


「簡単には行かないって、どうしてです?」


 ……僕はただ単に、将棋の対局の真っ最中に、むちゃくちゃ重い身の上話なんかをするんじゃないと、あくまでも常識的なことしか言ってないんですけど?




「──いえね、本作の作者だって、これまで『わたくし、悪役令嬢ですの!』の【現代編】についても、一刻も早く立ち上げようとはしていたんだけど、実際にやろうと思うと、いろいろと解決すべき問題が山積していたのですよ。まず最初期の計画案においては、現行の【異世界編】と新規の【現代編】とを、別々のサイトで並行して公開していく予定だったところ、それがあまりにも手間暇かかりそうなので、【異世界編】内に【現代編】を(番外編的に)組み込むように方針を転換して、何回か試行してみたものの、あまりしっくりとこなかったのです。それというのも、本編である【異世界編】が予想外に好調で、【現代編】に手が回らないというか、改めて考えてみると、【現代編】なんて、それほど『ネタ』が存在せず、語るべき内容もそれほど無いから、本腰を入れて『独立した作品』にする必要は無いんじゃないかと思い直して、結局『裏設定』的な扱いに落ち着いてしまったという次第なのですよ」




 ──はあああああああああああああああああああ⁉


「ちょっと、それってあなた自身の事情では無く、作者のほうの都合でしょうが⁉ 何をメタ的なことを言っているのですか!」


「とはいえ、このことが理由で、現在私たち【現代編】のメンバーが困っているのも、事実ですので」


「──うっ」


 た、確かに、そうだろうけど……。


 くっ、すべてはあのアホ作者の、『計画性の無さ』が悪いんだ!




「──それでですねえ、いっそのこと【現代編】を、『わたくし、悪役令嬢ですの!』本編から切り離して、この『なろうの女神が支配する』における、短編連作集の一シリーズとして、アイディアを思いつくごとに適宜公開していくといった形でもいいかなって思って、今回はその『テストケース』のようなものでもあるのですよ」




 ………………………………は?


「『なろうの女神が支配する』内の、一シリーズ化するって、あなたはあくまでも、『わたくし、悪役令嬢ですの!』の【現代編】の、メインヒロインでしょうが⁉」


 あまりにもとんでもないことを面と向かって言われて、思わず食ってかかってみたものの、目の前の旧家のお嬢様の微笑みは、微塵も揺らぐことは無かった。




「別に構わないではないですか、この『なろうの女神が支配する』は、『何でもアリ』こそを標榜している短編連作集なのだから、別の作品のスピンオフが少々混ざったところで、それほど違和感は無いのではありませんか?」




 ──むっ、確かに。


 そもそも本シリーズ自体が、異世界を舞台をした作品の【現代編】みたいなものなんだから、まるっきり他人事というわけでもないんだし。




 そのように彼女の言葉には、納得せざるを得ない点も、あることにはあったものの、その一方で、どうしても聞き捨てならないものでもあったのだ。

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