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第148話、将棋ラノベで、ロリときたら、次はおねショタかヤンデレだよね♡(その16)

 ……僕たちが現時点において、『誰かが見ている夢の中の存在』である可能性は、けして否定できないし、極論すれば、この世界が現実であるか夢であるかは、半々の可能性(フィフティフィフティ)なのであって、実はマクロレベルの人間も、ミクロレベルの量子同様に、常に『形ある現実世界の自分』と『形なき夢の世界の自分』との、重ね合わせ状態にあるだって⁉




「──では師匠、僕たち人間も量子みたいに、いつでも集合的無意識とアクセスできるとでも、言うおつもりなのですか⁉」




 すげえ、だとしたらこれまで何度も言われたように、僕たち普通の人間でも、SF小説やラノベやWeb小説なんかに登場してくるような、異能の力を、ほぼすべて実現可能になるじゃないか⁉


 そのように俄然意気込み始める僕こと、奨励会三段のDS(男子小学生)きんだいちゅうショウに対して、苦笑交じりにつれない台詞を返してくる、現役(りゅう)おうのお師匠様であった。




「ははは、残念ながら、この理論に則るとあくまでも()()()()()()、集合的無意識とアクセスすることもけして()()()()()()()という話に過ぎないのだよ。何せ我々が現在、夢の世界の中にいることについても、あくまでも可能性の上での話でしかないのだからね。よって我々普通の人間が集合的無意識にアクセスできるとしたら、やはりこれまで述べてきたように、『天才的な閃き』という、あくまでも『偶然』や『奇跡』に拠るしかないのさ」


 ……なあんだ、つまり普通の人間だって、集合的無意識とアクセスできる可能性は、()()()()()()()()が、そもそもミクロレベルの量子同様に、『形なき存在』である夢の世界の中にいる確率が、ほとんど0に近いように、集合的無意識とアクセスする可能性も、文字通り『奇跡』的な、『あってなきのごとし』確率に過ぎないってことか。


「ええー、だったら何でわざわざ、人間も量子同様に、集合的無意識とアクセスできることを、事細かに説明なさったんですかあ?」




「そりゃあもちろん、同じ実体的な存在とはいえ、私たちのような『普通の人間』とは違って、『なろうの女神』のようにまさしく神様同様の異能の力を誇る、Web小説等でお馴染みの異世界転生を司っている『女神』に代表される、いわゆる『夢の主体の代行者エージェント』たちの、自意識的な集合的無意識へのアクセスの仕組み(システム)を明らかにするためだよ。──何せ彼女たちのやり方に則りさえすれば、何と私たちのような『普通の人間』でも、集合的無意識とアクセスできるようになるのだからな」




「ええっ、やはり僕たちごく普通の人間にも、集合的無意識にアクセスできる方法があるのですか? 一体どうやって⁉」


「だから言っているではないか? 夢の中にいるような状態になればいいのだよ」


「夢の中にいるような状態って………そりゃあ、本当に夢の中にいる時ならともかく、現在のようにまず間違いなく覚醒状態にいる場合は、どうすればいいのです?」


「そういった場合は、『夢の主体の代行者エージェント』たちの力を借りればいいのさ」


「『夢の主体の代行者エージェント』たちの、力を借りろって……」


「一番わかりやすい例を挙げると、『半睡眠状態』──いわゆる、『白昼夢状態』にしてもらえばいいんだよ」


「はあ?」




「異世界系のWeb小説においても、大体そうだろうが? 女神様が主人公を異世界転生させたりチートスキルを与えたりするような、超常的シーンにおいては、決まってこの世のものとは思えない異様なる空間において、ゆめうつつの状態──すなわち、白昼夢のような状況で行われるじゃないか?」




 ──‼


「そ、そうだ、そうだった! 異世界転生を実行したり、すでに異世界人として暮らしていていきなり前世の記憶に目覚めるシーンにおいて、女神様が登場してくる場合って、大概夢かうつつか定かではない状況というか、そのものズバリの夢の中だったりするよな!」


「なぜなら先ほども言ったように、夢の中でこそ、我々のような普通の人間も、集合的無意識とアクセスできるようになるからであり、それに何よりも、集合的無意識そのものが、『夢の主体』が見ている、多元的な夢の集合体みたいなものだからだよ」


「本作においても、『なろうの女神』がけして現実的空間に現れることは無く、夢そのものや夢現の空間やインターネットという『電脳的な夢の世界』にしか姿を現さなかったのは、自分自身やただの人間でしか無い僕たちを、集合的無意識にアクセスさせて、超常的現象を起こさせるためだったのか……」


「夢現の状況さえ構築できるのなら、別に『夢の主体の代行者エージェント』自身も、普通にこの世界において実体を有していても構わないんだぞ? 例えば我が国(のオタク界)を代表する異能キャラである、『巫女さん』なんかは、自身をトランス化させたり、普通の人間を白昼夢状態にすることによって、集合的無意識とのアクセスを果たして、様々な超常現象を実現しているのだからな」


 な、何と、ラノベやWeb小説における大人気キャラである『巫女さん』の異能の力は、そんな至極論理的な仕組みで実現されていたのか⁉


 ……うん、巫女さんと言えば神懸かりだし、神懸かりと言えばトランス化だから、非常に理に適っているぞ!


 そのように、納得しきりの僕を尻目に、


 ──更なる驚愕の、爆弾発言を投下してくる、お師匠様であった。




「そして、そのような偶然的あるいは神秘的であるはずの、集合的無意識とのアクセスを、科学の力によって,まどろっこしい『半睡眠化』なぞ行う必要も無く、真に理想的に実現したのが、他ならぬ我が新たなる弟子である、自律型将棋専用アンドロイド、JSA()ノ001号──通称、『アユミちゃん』なのだよ」




 ………………………へ?


「な、何ですか、アユミちゃんが、集合的無意識とのアクセスを、本来絶対に必要なはずの半睡眠化も必要とせずに、科学的に実現したって?」




「おいおい、忘れてもらっては困るよ、彼女にはれっきとした量子コンピュータが搭載されているんだよ? ──つまり、我々のような普通の人間とは違ってデフォルトで量子同様に、『ほんの一瞬後の未来の自分自身の無限の可能性』と重ね合わせ状態にあるのだからして、常に集合的無意識とアクセス状態にあるようなもので、いついかなる時でも超常の力を──特に、ラノベやWeb小説等の『巫女さん』キャラなんかとは比べものにもならないまでに、正確無比な完全なる『未来予測』を、実現できるってわけなんだよ」

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