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エミちゃんを笑わせ隊オーデションを開催し隊

「エミおはよう」


「あぁ、皆口さんおはよう」


はぁ~ん、皆口さんが今日もとびっきりの笑顔で私に話掛けてくれた。これだけで私は大満足だ。もう家に帰ろうかしら。


「もうだから陽子で良いって」


「いや、まだ慣れなくって……」


下の名前で呼ぶのは入学直後から勧められているが、なかなか照れ臭くて未だに呼べてない。友実や森羅はすぐ呼べたんだけどなぁ、この違いは……あぁ嫌われたくない度の違いか。


「所でいつも二人組は?今日は一緒じゃないの?」


「何か今日は先に行くって。何かやる事があるみたい」


どうせまた私を笑わす為に何か仕掛けてるのだろう。私が恥かくような事じゃなきゃ良いけど。


「すいませ~ん、興味がある方は参加お願いしま~す」


「お願いします」


「エミ、あれ街村さんと友沢さんじゃない?ビラ配ってるけど、何のビラだろう?」


「さ、さぁ」


ビラ?そんな物作ってるなんて一言も聞いてない。一体何だろう?


「フフッ、エミちゃんを笑わせ隊オーディション開催だって。エミちゃんって誰よ」


「エミちゃんを笑わせ隊オーディション?」


あっやばい。これは今私もの凄く恥をかいてる。今すぐアイツらを止めなくちゃ、黒歴史が作られてしまう。


「エミ!」


「あっ、エミちゃん!ヤバい森羅、エミちゃんが鬼の形相でこっちへ向かって来てる。早急に撤収や!ってもう先に森羅逃げてるや~ん」


「あんた達、待ちなさい!」


「森羅置いて行かないで~」


「友実すまない、君の事は3ヶ月ぐらいは忘れない」


「待てえええええ!」


「エミちゃんごめ~ん。許して~」



x x x



「何でこんなしょ~もない事やろうとしてるの?」


「そりゃお餅のアンでエミちゃんに笑って貰う為だよ~」


「です」


まさか外部から助っ人を引っ張ってこようとするとは。この子らもしかしたら思ってたよりも侮れないのかもしれない。


「エミちゃんを笑わせ隊オーディションって……。私を笑わせたい人なんてあんた達だけでしょ」


「いやいや、もしかしたらエミちゃんを笑わせたい人は、他にもたくさんいるかも知れないよ~」


「フン、あんた達どうせオーディションがやりたいだけでしょ」


「まぁはい。この前TVでオーディション番組を見てこれだ!と思いまして」


「私はやらないから!!」


「何で~、面白そうじゃ~ん」


「エミやろうよ」


「てか、エミちゃんほんとうは笑ってしまわないか心配なんじゃないの~クスクス」


「へいへい~ビビってんじゃないの~」


こいつら……。こういう時は相手にしないのが一番なんだろうが、そんな事は私のプライドが許さない。舐められたまま引き下がれらかっての、しかもこんなアホコンビに。


「分かった。そこ迄言うなら受けてたとうじゃない。やってやるわよ、くっだらないオーディションをね!」


「フフ、エミちゃん言ったね。後で後悔しても知らないんだから」


「エミが笑った顔を拝ませて貰うだわさ」


「ちょっと待ったー!」


「何奴!」


「そのオーディション、私も参加させて貰おうじゃない」


意気揚々と入ってきたのは私がよく知る人物だった。バレー部所属で誰にでも優しい皆口さんだ。ずっとドアの向こうで話を聞いていたのか、皆口さん案外暇なのね。


「皆口さんどうして?」


「わぁ、みなっちだ!」


「エミを一人にはさせないよ」


「ぬ~まさかのみなっち参戦かぁ、こりゃ熱いオーディションになりそうだゼ」


「街村さん、友沢さん、負けないよ。ねっ、エミ!」


「う、うん」


えっ、いや、あれ?これもしかして敵が増えてるんじゃ……。どうしよう、マジで今回は逃亡しよっかな。


「森羅、受ける側が二人だと物足りないから後一人には増やそうか~」


「アテはあるの?」


「まぁねぇ~フフ」



x x x



「何でウチがこんなの参加しなきゃいけないんだよ」


「いや、知らないけど……」


確かにどうして彼女がこんな所にいるのだろうか。友実に誘われたのかな?前に揉めたばっかの子なのに。それとこの子名前はなんだっけ?佐田さんだっけ?あれこの子が山根さんだっけか?まぁどっちでも良いか。今後もそんなに付き合いなさそうだし。


「佐田さん、山根さんは?」


佐田さんなんだ。皆口さんすぐに教えてくれてありがとう。後、好きです。


智美さとみはバイトがあるからって言って帰った」


「別に貴方も帰って良いと思うわよ、あの二人の事だからどうせしょーもない事しかしないだろうし」


「え……」


「だから別に帰っても……」


「いや、その、あの、別にウチは暇だから付き合っても良いかなって……。あんた達とも親睦を深めたいしさ。じ、実はウチこう見えてあんまり友達多くないんだ。だ、だからさ」


何そのリアクション可愛い。ヤンキーのくせに可愛い。これが世に言うギャップ萌えってヤツね。


「そうなんだ、じゃあ今日は三人で頑張りましょう!」


「そうね」


ギャップ萌えの可愛さに免じて今日は参加を許してあげよう。敵がまた増えちゃった感はあるけどね。なに、笑わなきゃ良いんでしょ。


「第57回エミちゃんを笑わせ隊オーディションに参加の三人さんお入り下さい」


森羅が教室から出てきた。何故か付け髭を着けているが、ツッコムのが面倒臭いのでスルーしとこう。


「行こう、二人とも気合いを入れて!」


「ああ」


「うん」


何の気合いを入れるのかさっぱりだったが、皆口さんの勇ましい顔を見ると余計な事は言わない方が良いと思った。


「椅子の前にどうぞ」


友実と森羅が何処から持って来たか、白い長いテーブルを前にして椅子に座っている。ちゃんとオーディションっぽくなってて私ちょっぴり感心。


「じゃあ、まずは自己紹介からお願いします」


「はい、あたし友沢森羅15歳で~す。よろしくルリンパ」


「何でお前が自己紹介してまんねん!」


「……」


教室は静寂に包まれた。開始からいきなりスベってくるなんてこいつらマジでか。一体何を考えてるのか読めなくなってきた。


「ゴホン。では、皆口さん自己紹介をお願いします」


「はい!私は皆口陽子と申します。本日は宜しくお願いしましゅ」


皆口さんが噛んだ。可愛い。抱きしめたい。


「では、続きまして佐田さん、ビートた◯し風でお願いします」


「ハッ?何でウチがビートたけしのモノマネなんか!」


「お願いします!」


「クッソ、分かったよ。ダンカ~ンおしぼり取って~。んだ、馬鹿野郎この野郎。コマネチ」


ヤバい似てなさ過ぎて逆に面白い。嫌がってた割にはノリノリだし、コマネチだけキレキレだし、佐田さん案外やるわね。こりゃ彼女にも気をつけないと。


「では、次はエミちゃんさん。キム◯ク風でお願いします」


「ちょ、待てよ~。お前、雨宮待てよ~」


「……」


スベった。物凄くスベった。何よ、キム◯クのモノマネなんてベタな事やらされたらそりゃスベるに決まってるじゃない。だから気にすんな、私。


「いやぁ~森羅さん。3人共良かったですね~」


「うむ、今回はレベルが高いかも知れませんね」


今のでかよ。今迄どんだけレベル低いオーディションやってたんだ。


「では、皆口さん。まずはここでへへへイをやってみて貰えますか?」


「なっ!」


へへへイ……じゃと……。あの有名変態芸人サヤエンドウの凄く恥ずかしいネタじゃないか。流石にそんな事を真面目な皆口さんが出来る訳が……。


「へへへイ!へへへイ!へへへイ!へイ!へへへイ!へへへイ!へへへイ!へ~イ!ジャカジャン」


「やるんかい!」


「いや、皆口さん素晴らしい」


「あたし感動した」


「どうもありがとうございます」


皆口さんとても満足している顔だ。どうやら思ったよりも良いへへへイが出来た様か。確かにとてもキレのある良いへへへイだったな。やはりこういうのは照れずに思い切ってやった方が良いのかも知れない。


「では、次は佐田さん。ピカキスのモノマネをお願いします」


「フン、その程度朝飯前だわ」


「お願いします」


「ピッカー!ピカピカ!ピッカピー!ピカピカ!ピー!」


ヤバい。佐田さんも可愛い。カイブツボールがあったら投げてるよ。


「ピカピカピー!ピカピカピー!」


「佐田さんありがとうございます。素晴らしかったです」


「アイラブユー」


皆口さんも佐田さんもかなり高評価な様か。こりゃ私も頑張らないといけないかな。なんとなくだけど負けたくないし。


「では、次はエミちゃんさん。女大工の初恋の歌をお願いします」


「なっ!」


「エミちゃんさんどうしました?もしかして無理ですか?」


「いえ、出来ます。やらせて下さい」


「では、お願いします」


やらねば。いきなり凄いのぶっ込むできたけど、やらなくちゃいけない。自分の為に歌うのだ、初恋をしている女大工の歌を。


「トントントントン~君の~胸に~トントン~抜けない様に~釘を差し込むわ~私の~」


「エミちゃんさんありがとうございました」


「あ、はい」


「とても良い歌声でしたね」


「アタイ好きだよ、ああいうの」


ちくしょう。友実と森羅に救われてしまった。まぁあのまま続けてたら大怪我は避けれなかっただろうが、敵に同情されたみたいで悔しい。


「では、次は三人同時にやって頂きます。森羅あれ持って来て」


「はいな」


次は三人同時にやるのか。私が足引っ張る様な事がなければ良いが……。


「友実、準備出来たよ」


森羅の前にはシュークリームが3つ並んでいる。これはまさか……。


「OK.じゃあ始めよう!エミちゃんさん達、まずはこの三つのシュークリームから各自一つ選んで下さい」


「はい」


「分かったよ」


「……」


これは絶対そうだ。バラエティでよく見る、一つだけカラシとかが入ってるヤツだ。友実と森羅め、えげつないの用意しやがった。


「エミちゃんさん早く」


「え、ええ」


見た目だけではどれか分からないな。出来れば私が当てたいのに。二人が当てれば笑ってしまうかも知れないし。


「これで良いわ」


「実はその三つシュークリームのどれかはクリームではなく、カラシが入っています。もしカラシを当てた人は私達に、当てた事をばれない様にして下さい。もしバレたら失格とします」


やはりそう来たか。シューカラシを食べてノーリアクションはかなり難しい。やはりここはノーリアクションに慣れてる私が当てたいな。


「三人共ご賞味お願いします」


「はい!」


「おう!」


「……」


んー……これは……甘いな。ヤバい外れを引いてしまった。二人共無事か!?


「ウチのは甘いな」


「う、うん。私のも……ブホッ!あ、甘くて……ゴホッゴホッ!美味しい……ウオェ……」


皆口さんバレバレじゃねぇか!これは友実達にバレてしまったかな。


「んぬ~一体誰がカラシを……」


「友実、きっと皆口さんのは演技だよ。騙されちゃダメ」


「分かった。カラシ入りを食べたのは……エミちゃんさんだ!」


「えっ、違うけど……」


「せ、正解は……私だよ……ブハッ」


「ガーン!」


「不覚」


二人共アホで皆口さん助かった。って、全然助かってないか。早く水を持って来てあげよう。


x x x


「じゃあ、次は最後の出題です。三人で即興コントお願いします。題名は侍。配役はそうですね~、皆口さんが正義の侍で、佐田さんとエミちゃんがチンピラ役でお願いします」


「三人とも刀を取りに来て下さい」


「はい」


「あぁ」


「……」


即興コントか。これも難題だが、三人でやれると少し心強い。私は難しい役ではないしね。皆口さんに合わせてれば大丈夫だろう。


「死ねえええええええ!ブシュー!」


「えええええ」


皆口さんがいきなり斬りかかってきた。演技とはいえ、いきなり斬りかかって来られるなんてちょっとショック。私嫌われてないよね?


「エミ倒れて!」


「あ、うん」


「貴様も死ねえええええええ」


「うぎゃあああああああ!ま、まさか酒屋の店主がお前だったとはぁ」


いや、どんな設定だ。佐田さんも斬られたか。これで終わりかな。結局段取りもへったくれもなかったわね。


「いや~、皆口さん迫力ある演技で大変良かったですよ~」


「ついでにお前も死ねええええええ!」


「ぎゃああああああああ!里松…フンドシ洗ってくれてありがとう」


最後の台詞がそれかい。皆口さん、友実まで斬りかかっとる。もう無茶苦茶だなぁ。


「そして最後はお前だあああああああ!」


「うわああああああああ!我が浮気されまくりの人生に一片の悔いなし」


いや、絶対悔いあるだろ。アホコンビと皆口さん、もはやオーディションとかどうでも良くなっとる。


「これにて一件落着」


「ありがとうございました~。いや~皆口さん素晴らしいです!ですです」


「枠に囚われない見事な展開だった」


「ど、どうもです」


これでオーディション終わりか、結果はどうなるのだろう。全体的に高評価だったけど……。


「では、今回のオーディションの結果を発表致します」


「結果は…………」


「全員不合格~~~!」


「そ、そんな……」


「クッソー!ウチの何がダメだったんだよ!」


え…そんなショック受ける事なの?笑わせ隊に入って得する事なんか一つもないのですけど。


「ありがとうございました」


「いや、惜しかったね。後、5万ポイントあれば可能性あったろうに」


溜め息をつきながら二人とも教室から出て行く。嘘つけ。あんたら始めから誰一人として合格させる気なかったろうに。


「二人ともゴメンね、こんなしょーもない事に付き合わせて」


「いや、良いよ。楽しかったし」


「ウチも」


「そっか、ありがとう。皆口さん、佐田さん」


「だから~エミ~」


「あぁ、ごめんなさい。陽子と……えっと」


美鈴みすず


「ごめんなさい。陽子と美鈴」


「うん。何かあったらまた頼ってね」


「ウチにもドンと来い」


オーディションには落ちた。でも、私は良いモノを手に入れたかも知れない。なんで、とりあえずあの二人には感謝しときますか。お礼は絶対に言わないけど。






エミちゃんを笑わせ隊 対戦成績0勝4敗


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