エミちゃんとデートし隊
「ねぇ、エミちゃん。ちょっとお願いがあるんだけど〜…」
「いやよ」
「まだ何も頼んでないじゃん!」
授業の合間の休み時間に友実がズカズカとやって来た。休み時間にわざわざ来るんじゃないわよ。あんたが来ると休めないでしょうに。私はあんたと違ってちゃんと授業聞いてるんだから、憩いの時間を邪魔しないで欲しい。
「何を頼まれようが嫌よ。あんたの頼み事なんてどうせろくなもんじゃないだろうしね〜」
「むむ…」
どうせまた私を笑わせる為にしょうもない事を考えてきたんでしょ。よくもまぁ飽きもせずに考えてくるなぁ、この子のその根性だけは認めてあげても良いかも知れないわ。
「エミちゃん、私とデートしよ❤︎」
「あんた話聞いてた?嫌って言ってるじゃない。ってか、なんで女のあんたとデートしなきゃいけないのよ。あんたとデートするぐらいならまだその辺のチワワとでもデートした方がマシよ」
「酷い!!!私よりチワワを選ぶなんて…シクシク…。せめてゴールデンレトリバーであって欲しかった…」
「何でゴールデンレトリバー…。まっ、何でもいいけど、とにかくあんたとデートなんか絶対に嫌だからね!」
「チェッ、せっかくネコネコアイランドのチケットが手に入ったから誘ってあげたのに…そこまで言うのならもういいや、森羅と行こう〜」
「ネコネコ…アイランド…にゃと…」
説明しましょう。ネコネコアイランドとは最近近くに出来た(近くと言ってもここから8駅向こう)ネコだらけの遊園地の事である。そこには沢山の種類のネコがおり、施設内ではネコと一緒に遊んだり、写真撮ったり出来るのだ。とにかくネコ好きにたまらない素敵な施設なのである。
「じゃ、エミちゃん邪魔したね。お土産はちゃんと買って来るから!バイチャ!」
「ちょっと待ちなさいよ!!!!再びちょっと待ちなさいよ!!!!」
「ん?な〜に?」
「べ、別に行ってやっても良いわよ」
「え〜?何処に〜?」
その顔は分かって言ってやがるな…。昔はあんなに可愛かったのに、ほんと憎たらしい奴になったわ。
「ネ、ネコネコアイランドに…」
「エミちゃんさっきデート断ったじゃん。急にどうしたの?」
「うるさい!気が変わったの!」
さっきから腹立つなコイツ。私が猫好きなのを知っていて誘って来やがった。こう言う時は引いた方が良いんだろうけど、条件がネコネコアイランドではそうはいかない。実はネコネコアイランドはチケット代がかなり高い、一般のJKでは手が届き難い程の価格だ。
それにああいう施設は一人で行き難い。想像してみて欲しい。大型レジャーランドでぼっちでネコと戯れてるJKを。何あの子寂しい!とか思われそうじゃない?よって、私は友実と二人でいけるこのチャンスを逃す訳にはいけないのだ。
「ん〜、しょうがにゃいなぁ。素直にネコにゃんに会いに行きたいって言えば良いのに〜」
「ごちゃごちゃ言ってないでとっととチケットをよこしなさい」
「分かった分かった。はい、チケット」
「ふん」
「じゃ、エミちゃん今週の日曜日、朝10時にいつもの駅前で待ってるから〜遅れないでね〜バイにゃ〜ん」
X X X
「やっほー!エミちゃん待った?」
「待ってない」
実はちょっと待っていた。昨日から楽しみすぎて居ても立っても居られずに、家を早く出てしまった。そのせいで友実を20分待つなんて…まぁこれは自業自得か。
「じゃ、早速これからデートだね!よろしくエミちゃん!」
「いや、デートじゃないし…ってかあんた何でそんな男の子みたいな格好してきてんのよ!?」
「ふふ〜ん、どうだいエミちゃん悪くないでしょ?」
友実の格好は下はズボン、上は半袖のパーカーで、男の子の様な格好をしている。何より一番驚いたのは肩まであった髪がバッサリ切られて、ショートカットに変わっていた事だ。
「あんたその髪型どうしたの!?」
「思い切って切っちゃいました」
「どうして切ったのかを聞いてんのよ!」
「いや〜こっちの方が男の子みたいで良いかなって…?ダメかな?」
「ダメではないけど…そもそも男の子みたいにする必要がどこにあんのよ」
「デートなんだからどっちが男の子っぽくした方が雰囲気出るじゃん」
「えー…」
わざわざその為だけに髪の毛を切って来たって言うの…。まぁでも友実の髪なんだから好きにすれば良いか、坊主であろうが、モヒカンであろうが、私がどうこう言う筋合いはないわね。
「ほら、エミちゃんそんな事はその辺に置いといて良いから早く行こうよ」
「う、うん」
「エミちゃんちょっと待って!…手は?」
「繋ぐわけないでしょ…」
「エミちゃん照れちゃって〜。でも僕はそう言う所が好きなのさっ!」
「馬鹿な事言ってないでとっとと行くわよ」
ヤバイな、友実が男装していつもよりもウザさが増してる。これらならママに土下座でもしてチケット代を貰って、森羅とでも行った方が良かったかも。
「エミちゃん歩くのが辛いならお姫様抱っこしてあげようか?」
「はぁ…やっぱり失敗したなぁ…」
X X X
「ようこそ、ドリームの都市へ!楽しんで行ってね!」
「こ、これがネコネコアイランド…」
入場してすぐに私達を迎えてくれたのはネコネコアイランドのマスコットキャラクター、ネッコーだった。三毛猫をモチーフにしたキャラで、眼が大きくてちょっと怖いが、ドジっ子キャラなので愛嬌があるキャラだ。因みに私はネッコーのグッズを集めるぐらい好きなので、彼を見た瞬間ここ数年で一番テンションが上がった。
「凄いね〜、エミちゃんほんとにここネコだらけじゃん」
「ネコネコネコネコネコネコ」
「ヤバイ、ネコ多過ぎてエミちゃんが壊れてる」
ネッコーの次に私達の目に飛び込んできたのは、ネコに埋め尽くされた遊園地だった。それはもうファンタジーの様な世界で、TVで見た事はあったものの現実はもっと凄かった。マジでネコ好きには夢の様な世界だわ。
「エミちゃんとりあえずあのキャットゴーランドに乗ってみよう!」
「ええ!」
「楽しみだなぁ〜」
「そう…ハッ!!!」
いけないいけない。ネコネコランドが楽し過ぎて表情が緩みそうになってる。ちゃんと気を引き締めないと…横にいるのは友実なんだしね。今日だってきっと何らかの計画は立ててきてる筈ッ!取り敢えず今日はあの子が勧めるものは避けとこう。
「友実、悪いけどキャットゴーランドは一人で乗って…」
「エミちゃ〜ん、キャットゴーランドは何とネッコーと一緒に乗れるんだって〜凄くない?」
「……」
X X X
「うわぁエミちゃんめっちゃ回ってるね〜!」
「え、ええ」
「ママ〜あのお姉ちゃん達もう大きいのに子供用の遊具に乗ってるよ」
「コラ、指差しちゃいけません!」
X X X
「エミちゃん楽しかったね!」
「ふん、まあまあだったわ」
正直クッソ楽しかったです。乗り物のデザインは可愛かったし、隣にはネッコーがいたし、何故か頭には子猫が乗ってたし、もう大満足でした。出来れば後10回ぐらいは乗りたいけど、時間もそれ程ないし、何より周りの視線がちょっと痛いからこれで終了にしときますか。
「よし、じゃあエミちゃん次はあれでどうじゃい!!!!」
「あれってあの観覧車?」
「うん」
「観覧車か…」
観覧車なら別に乗らなくても良いか。ここへ来てわざわざ猫から遠ざかる遊具に乗る意味が分かんないし、今度こそ友実の誘いには乗らないと決めてたしね。
「友実悪いけど観覧車には一人で…」
「エミちゃんなんと観覧車も猫と一緒に乗れるんだって〜ヤバくない?しかもマンチカンとだってさ!」
「なんやて!!!友実ダッシュで行くよ!!!」
「あっ!エミちゃん待ってよ〜」
X X X
「いや〜エミちゃん上から見るネコネコアイランドも素敵だね」
「そうね」
そんな事言って…どうせ観覧車乗って最中に森羅がいきなり出てきて、地上で私を笑わせに来たりするんでしょうよ。あんた達の行動なんてもう私には丸分かりよ。
「エミちゃんそのマンチカンめっちゃ懐いてるね」
「ええ。とってもお利口さんで良いネコだわ」
「エミちゃん僕も近くに行って良いかな?」
「…好きにしなさいよ」
「なら、そうするよ」
そういうと友実は私の横に座り、寄りかかってきた。ちょっと暑苦しかったから突き放そうかと思ったけど、友実の髪の毛の感触がマンチカン並に良かったから私は何も言えなかった。
X X X
「観覧車楽しかった!ねっ、エミちゃんねっ!」
「まぁまぁだったわ」
結局友実は観覧車に乗ってる最中笑わせに来る事は無かった。おかしい…いつもならガンガン攻めて来るのに今日は全然攻めてこない。森羅は一向に姿を現さないし、こやつ一体何を企んでいるのかしら…。
「次はエミちゃんあれなんてどうよ!」
「ジェットコースターか…」
ここのジェットコースターは乗り物の先端が猫の顔って所以外は至って普通のジェットコースターだ。もちろん途中で一回転はするが、ジェットコースター苦手な人でも乗れるレベルだと思う。
「別に構わないけど、あんたジェットコースター乗れんの?」
「乗れるわい!僕はジェットコースター乗る為に生まれてきたと言っても過言じゃないんだから!」
「いや、それは過言でしょ。てか、そんな使命を持たされて生まれてくるなんて嫌でしょ」
「そんなこと言ってエミちゃんびびってんじゃないの〜?へいへい〜!」
「びびってはないけど…」
ジェットコースターに乗ってる最中に笑かしにこられたら嫌なのよね。まぁでも我慢すれば良いだけの話か、それにあのジェットコースターちょっと乗ってみたかったし。理由はモチのロンで先端が猫の顔だからです。
「じゃあ行こう!!」
「しょうがないわね」
絶対に笑わない様に気を引き締めていこう。もう乗って間は無表情でも良いかも知んない、どうせ顔見るのなんて友実だけだろうしね。よし、そうしよう。
X X X
「2名様こちらへどうぞどうぞ〜」
「エミちゃんいよいよきたよ!しかも席一番前じゃん!テンション上がるわぁ」
「座席なんて別にどこでも良いわよ」
よっしゃああああ!一番前きたああああああ!猫の顔がバッチリ見える!こんなもんテンション上がりまくるわぁ、友実と一緒じゃなければ絶対にニヤニヤしまくってたな、私。
「はい、では出発しま〜す!ネコネコゴー!」
「ネコネコゴー!エミちゃんドキドキしてきたよ!」
「テンション高いわね」
外からだとそんなに怖いそうだと思ってたけど、乗ってみると案外怖いわ。ジェットコースターで一番前に乗るのは何気に初めてだし、やだ、私もちょっとドキドキしてきた。
「うおおおお!登っていくううう!そして高ああああい!」
「……無表情無表情」
「エミちゃん来るよ来るよ………きたああああああ!うわあああああああ!」
「……無表情無表情」
「きゃああああああ!意外とスピード出てるうううううん!」
「……無表情無表情」
X X X
「ありがとうございました。お出口はあちらになります」
「ふぅ…楽しかった〜!あっ、エミちゃんあそこで写真売ってるみたい!ちょっと買って来る!」
「え!?写真!?ま、まさか…」
そうだった!ジェットコースターは高い所から下る瞬間を撮影するヤツもあるんだった…完全に忘れてた。ヤバイな、私絶対に…。
X X X
「わははははは!エミちゃんめっちゃ無表情じゃん!何これ!途中で魂抜けちゃったの?」
「うるさい!たまたまよ!たまたまよ!」
誰のせいでそんな表情になったと思ってんのよ!ジェットコースターあんま楽しめなかったし、同乗してた人には写真のせいでクスクス笑われるし、こんな事になるなら乗らない方が良かったかもしれない。
「いやでもこれはこれで良いと思うよ」
「何が良いのよ、もしかして嫌味?」
「違うよ。ほら、こういうのは思い出に残るじゃん」
「黒歴史残っても嬉しくない」
出来れば即刻記憶を消し去りたいわ。帰ったらドライもんでも呼んで記憶消す道具でも貰おうかしらね。
「まぁ、取り敢えず2枚貰ったから持って帰って」
「いらな…」
いらない!と言いそうになったけど、友実が2枚も持ってると誰かにあげそうだから言わない事にした。なるべくこの写真は出回らないようにせねば、私の黒歴史が広まってしまう。
「やっぱり貰ってくわ」
「うん、どうぞ〜」
「で、次はどうするの?」
「うむ、次はあれに入る気満々だったのさ!」
友実が指をさした先にあったのは、割と大きな屋敷だった。
「あれって…ああ、あの化け猫屋敷ね」
ネコネコアイランドの遊具等は基本的に子供が楽しめるように作られている。しかし、この化け猫屋敷だけは例外だ。大人でも悲鳴を上げる程の怖さだともっぱら評判で、子供が入ったりなんかしたらトラウマ不可避らしい。
「ホラー好きとしてはあの化け猫屋敷は外せないっしょ!」
「う〜ん、私はあれはいいかな」
「えっ!?エミちゃん一緒に入ってくれないの!?もしかして怖いって、そんな訳ないか」
そう、そんな訳ない。普段から幽霊を見ている私がお化け屋敷に入って怖がる筈がない。では、何故入りたくないのか!それは純粋に楽しめないからである。驚かない、怖がらないではつまらないに決まってるし、脅かす側に気を使ってしまうので、私はお化け屋敷はなるべく入らないようにしている。
「うん、楽しめそうもないから友実一人で行ってきて。私は外で待ってるから」
「ダ〜メ、エミちゃんも一緒に入るの!今日はデートなんだから。それに僕を守ってくれないと困るよ」
「何で私があんたを守るのよ…男役があんたならあんたが私を守りなさいよ」
「えー…分かった、頑張る」
X X X
「こちらから御入場下さい!ニャー!」
「ぎゃー!もういきなりびっくりしたなぁ」
「いや、お姉さんがちょっとネコのモノマネしただけでしょ…。あんたそんなんでほんとに大丈夫なの?」
「大丈夫だよ〜、普段からホラー映画見て耐性出来てるから、こんなお化け屋敷一回もびっくりせずにいけ…きゃっ!?」
「……」
入り口ののれんが当たっただけでびびってんじゃあ期待出来ないわね。どうしようこのお化け屋敷もの凄く疲れそう。主に友実のリアクションで。
「さぁ、行くよ!エミちゃん!化け猫狩りじゃい!」
「セリフと表情が全然合ってないんだけど」
友実が今にでも吐きそうな顔してる。一体ホラー耐性はどこへ行ってしまったのか、やっぱこういうのって映画観ただけではダメなのかしらね。
「く、暗いね、エミちゃん」
「うん」
暗すぎて前が見えない…。さっさと出たいのにこれでは前に全然進めないな、一応提灯をスタッフから貰ったけど、灯が小さ過ぎてあんまり役に立たないのよね。まぁ、こういうのは明るくし過ぎても興醒めだからこれはしゃあないか。
「あっ、このふすまを開けるのか…うわー嫌だな〜」
「躊躇してないでとっとと開けなさいよ、先に進めないでしょ」
「うぅ…分かったよ…」
「ニャー!!!!!!ニャー!!!!!」
「うわあああああああああああああああああ!」
「あっ!化け猫だ!」
ふすまを開けて出て来たのは予想してた通りの人が演じた化け猫だった。まぁそうよね、ここでだだのおじさんとかが出て来たら私もびっくりするわ。
「ニャー!」
「……」
しかし、この化け猫びっくりするぐらい可愛く思えないわ…だって人がメイクしてタイツ着てるだけなんだもん。何かこう猫を冒涜されてるみたいでちょっと不愉快だわ。
「友実、よく見て。ただの人よ、人が演じてるだけ…」
「ブクブク…」
「あちゃー、泡吹いて気絶してる…」
X X X
「いやー全然余裕だったな〜。やっぱり化け猫なんか大した事ないっスよ」
「嘘つけ」
気絶したあんたを運び出しのがどれだけ大変だったと思ってんのよ。スタッフさんと化け猫にまで手伝って貰ったのよ、あんたが本当の彼氏だったらマイナス30ポイントぐらい減点してるわよ。
「それはそうとエミちゃん何か食べる?」
「あー、そうね。ソフトクリームでも貰おうかしら」
「分かった。買って来る」
お化け屋敷を出た私達は今現在フードコートにいる。もう乗りたい遊具には乗ったし、一息つこうと私から提案したのだ。友実もお化け屋敷でかなり参ってたしね。あー、自分で言うのもなんだが、エミちゃんほんと優しい子。
「エミちゃん買ってきたよ!」
「ありがと、いくらだった?」
「良いよ〜、アイスぐらい奢らせて」
「いいわよ、アイス代ぐらい払うわよ」
「いいって。ほら、普段エミちゃん家の冷蔵庫からアイスよく漁ってるからそのお返し」
「食べようと思ってたアイスがなかったのはあんたのせいだったのね…」
犯人はママかパパだと思って怒ってたのに、犯人はコイツだったのか。帰ったら二人に謝ろう。そして、友実家にアイス代を請求しよう。
「しっかし、エミちゃん今日は楽しかったね!」
「え、ええ。もう満足なの?まだ乗ってない遊具とかあるけど…」
「うん!満足だよ〜、エミちゃんはまだ乗り足りない?」
「いや、私も十分よ」
チェックすべき乗り物は全て乗ったしね。後はグッズショップに寄れれば今日のミッションは完了したと言えよう。
「そっか、それは良かったよ。エミちゃんまた何処かへ一緒にお出かけしようね〜」
「気が向いたらね」
「ダメ!気が向かなくても行くの!思い出たくさん作らなくちゃ!それにもうすぐ夏休みだしね、一緒に夏を満喫しようよ」
「夏ね…」
「そんでね、夏休みが終わったら次は文化祭!ここでエミちゃんを必ず笑わせて見せるから楽しみにしといて」
「そうね、楽しみにしとくわ。絶対に笑わないけど」
「後は修学旅行も行って〜卒業式もやって〜大学も行って〜。うん、まだまだ思い出たくさん作れそうだね!」
「……」
「エミちゃん?」
「友実、もう結構な時間よ。グッズショップに寄ってそろそろ帰りましょ」
「えっ!?まだ全然時間は大丈夫だけど…そうだね、エミちゃんがそう言うなら。それに乙女に合わしてあげるのが男子の優しさだもんね」
「何言ってんのよ、バカね。」
「へへ…で、エミちゃんグッズショップで何買うの?」
「ネッコーグッズたくさん!!!!!」
X X X
「ただいま〜」
そう言えば結局友実は笑わせにこなかったな、森羅も居なかったし、一体何だったのかしら。まっ、あの子の考えてる事なんて考えても無駄か。どうせただ単に一緒に遊びたかったとかそんな理由だろうしね。
「おかえり、ネコネコアイランドどうだったの?」
「うん、楽しかったよ。お土産も買ってきた」
近くにある施設のお土産を買うのはちょっと変な気もしたが、自分だけ楽しんで完結するのも気が引けたので、家族へのお土産を買って帰った。おかげで私のサイフすっからかんで今月ほんとにやばいな、バイトでもしようかしら。
「そう、良かったじゃない。友ちゃんに感謝ね」
「まぁね…」
「で、あんた友ちゃんに言ったの?今学期終わったら転校する話」
「ママ、その事なんだけどさ。せめて文化祭が終わるまで待ってくれないかな?どうしても今の高校の文化祭見ときたいんだ」
「んー…そうね、無理言ってるのは私達だもんね。分かったわ、転校は文化祭以降に出来るようにパパに話しとくわ」
「ありがとう、ママ」
転校まであまり時間はない。この僅かな時間に一体いくつの思い出が出来るのだろうか、そう思うと友実達に今すぐにでも会いたくなる。屈辱だけどね。
X X X
「あっもしもし森羅?うん、今日行ってきたよ〜。うんうん、森羅も来れば良かったのにぃ、えっ?あぁ猫アレルギーだから無理か。うん、そう、笑わせる事は出来なかったよ。でも楽しかったから今日は満足だよ。うん、次は三人で何処かへ行こうね、はいはい、じゃね〜おやすみ〜。ふぅ〜……あぁ夏休みと文化祭早く来ないかなぁ〜」
エミちゃんを笑わせ隊 対戦成績 0勝11敗




