影響
よろしくおねがいします。
△月 蝙蝠日(火曜日)
今度は無事に問題なくやれているようですね。
よかったよかった。・・・?なんで話が止まっているのでしょうか。
広間にいるほぼ全員がこちらを見ています。確かによく見える様に高い位置にいますが特に私から話すようなことはまだ無いのでさっさと続けてほしいのです。
「どうされましたか?」
「いえ、・・・貴女が此度の召喚にご助力くださった女神様でよろしいでしょうか。」
「ええ、そうです。」
何を今更。そもそも私以外にこんな事できるような神はこの世界には創っていません。
況してや分け身が創った有象無象では不可能です。
「この度はご助力いただきありがとうございます。」
「そうですか。」
この老人の言いたいことはわかりました。
勿論その様なことをする気は無いので王女をひと睨みしましょう。今のような時の為の王女です。
「ぴっ!お父・・・陛下!_*}*\^様は面倒を嫌います。どうか話をお戻しください。」
「むっ、・・・うむ。」
良々。これで話が続けられ・・・また彼は不思議な顔をしていますね。何が不満なのでしょう。
先ほどと同様に時間を止めました。
「何かございましたか?」
「あの先ほど王女様?が言っていた名前の様なものはもしかして女神様のお名前ですか?」
そう言えば最低限の知識を植えただけで名前は教えていませんでしたか。
王女は利害関係の為に教えましたが彼にも教えないと信は得られないでしょうね。いけません、忘れていました。
「すみません、改めまして私の名前は_*}*\^.{\^#_と申します。よろしくお願いいたします。」
「あっご丁寧にありがとうございます。自分は・・・ってそうではなく、その言語ですか?_*}*\^ってなんてどんな発音・・・は?」
あぁ、そこからでしたか。
もう既に植えれる情報は限界ぎりぎりですので仕方ない、口頭で説明しましょう。
「私に名前は圧縮型高度・・・要約すると直接私から聴くと喋れるようになる神の言語で創っています。アースガルドの時は、確か一度も名乗っていないですからその様に伝えられていないのですね。」
「なんとか自分の話しているようにこの世界の言語とかには直せないんですか?なんと言いますか、_*}*\^様の話をしているようでしていないような奇妙な感じがするんです。」
つまり私との距離感がつかめないと言うことでしょうか。この間購入した参考書にもなるべく送った人と添うようにとも書かれていますし、なんとかしましょう。
「そうですか。そうですねぇ・・・アイリス・ゼスタ。おそらく音を揃えるとこうなります。私の名前としてこの世界に刻みましょう。」
「わかりました。ありがとうございますアイリス様。」
しかし添うようにするなら様付けはどうなのでしょうか。信徒でしたらある程度の距離感を保ったほうがいい意味も含めて畏敬させる為に様付けですけれど。
「先ほどから気になっていましたが様付けは要りません。」
「いや、しかし。」
「口調ももっと砕けてください。」
「え、えぇー・・・。わかり、わかった。」
要望も簡単に通るようになりましたね。やはりここにいる脳の記憶を消してもどこかしらにバックアップが存在するようです。ここら辺はまだ私もよく分かっていないのですがもう少し参考書を読み進めておくことにしましょう。
元の位置に戻り時間を撒き戻して再生しなおす。冒頭の老人、いえ王でしたか。王が挨拶した辺りでいいでしょう。
「是も全てはアイリス様のお力に拠るもの。魔が立ち、神が堕ち、人が窮する時現れる。やはり予言は本物であった!」
・・・周りにいる人間が少し変わった気がします。
先ほどまで居た嫌疑の眼差しを向けているものが一人もおらずおまけにいなかった敬虔な信者が室内の人物の5割ほどを占めています。
私自身の名前を創世記から刻むだけで変化が起こっているのでしょうか。
まぁいいです。私の好まないこともよく分かっているようで先ほどの敬礼の後はつらつらと説明が続いていきます。
勇者にしか倒せないと予言されている魔族の王、魔王を討伐してきてほしい。
特に予言のようなものを残すことまではしていないので何処の情報なのか分かりませんが、参考書通りには進んでいるのでそのまま放置します。
「――その旅に同行させるものとして城下町に待たせている。そして、活躍を期待する貴君にささやかながら装備を我が王城の宝物庫から用意してある。持って行くといい。」
そこには兵士らしき者達が持ってきた木製の箱が二つ並べられていた。
ありがとうございました。