やり直し
よろしくおねがいします。
△月 ×日 (満月曜日)
今私は通知待ちが暇だったのであまりに人が劣勢すぎると過酷でしょうから少し強めな人を作っては適当に配置して遊んでいます。
すると3人ほど送ったところでそれほど時間を開けずに魔方陣に魔力を込めた通知が来たので異世界、呼びにくいので名前をつけましょう。最初に創った世界を"世界Ⅰ"にしたので新しく作ったほうは"世界Ⅱ"です。
世界Ⅱの人界の時間を止め、白の空間から勇者役を引き出し王城のもっとも豪華で広い魔方陣を置かせた部屋に転移します。
陣の中心に彼を寝かせたところで全体が見渡せる一段高くなっている大きな椅子の側に陣取り、時間の流れを戻しました。
それらしく魅せるためにわざわざ現魔法系統のどれにも属さないようにただ魔法陣を浮かばせ強く光るだけの魔法を創ったかいがあります。その場にいた皆一様に驚嘆の声をあげその場に跪く者もいます。ただの光なんですけど。
やがて光が晴れるとそこには先ほどまでいなかった彼がいます。
私の存在に懐疑的だった者達も一部はこれだけで改心したようです。全てが改心したわけではないのでわざわざ残ってよかったとも言えますね。
張り詰めた空気を裂くように金製の山状に尖った輪を頭に載せた初老の男性が声をあげます。
「おぉ、神託の通りであったか。」
「ここが・・・?」
「そう、ここが世界Ⅱのデルディゴ大陸、グランベール王国、その王城だ。世界Ⅰの勇者よ。」
「・・・は?」
何か異常を感じたようだったので彼以外の時間をとめて確認しましょう。
彼の元に飛び寄るとようやく彼も私に気がついたようです。
「あの、何かございましたか?」
「えっ!?さっきの女神様?」
「何かございましたか?」
「あー、あの。世界ⅠとかⅡって言うのは?」
学ぶことは素晴らしいことです。きっと彼は次からはすぐに答えてくれることでしょう。
「この世界が後から創りましたのでⅡ、貴方が元居た世界が最初に創ったのでⅠです。」
「いや、あのもっとこう。」
彼の世界では数字で順序をつけるのではなかったでしょうか。それならば。
「わかりました。世界AとBでよろしいでしょうか。」
「いやいや、ちゃんと名前はつけましょう。AならアースガルドとかBならブレスとか色々とあるじゃないですか。ただの記号だけでは味気ないですよ。」
呆れたように深くため息をついた後、意を決した顔で彼はそう提供してきました。
なるほど、それは面白くなりそうだ。
「では世界Ⅰはアースガルド、世界Ⅱをブレスと名付けます。今後もそのように生きてください。他にはございませんか?」
そう聞くと首を縦に振ったので彼の時間も止め記憶を消し、光が晴れたところまで時間を戻し、私も元の位置に戻ります。
「おぉ、神託の通りであったか。」
「ここが・・・?」
「そう、ここがブレスにおけるデルディゴ大陸、グランベール王国、その王城だ。アースガルドの勇者よ。」
ありがとうございました。
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もう一作のほうは明日辺りから再開できると思います。