表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/28

1 布団の中にて(※イラスト)

挿絵(By みてみん)

提供:コヤマケイスケ氏(https://www.pixiv.net/member.php?id=84317)

 ジェレマイア共和国ナイアガ自治州――そこに私の勤めている図書館はある。


 ナイアガ自治州は他州からみたら大きめの市ほどの規模しかなく、そこにある州立図書館も他州の市立図書館ほどの規模しかない。

 蔵書数は三十万冊ほど。そのうち魔導書は五万冊ほどで、開架に三万五千冊、閉架に一万五千冊ほどが所蔵されている。


 開架――利用者が触れられる場所に出ている魔導書は、読んでも精神に影響がない、いわゆるクラスF~Cの魔導書が中心になっている。今日こんにちの魔導技術を支える重要な資料である。


 閉架――従業員のみ立ち入れる書庫にある魔導書は、開架に出ているもので古くなったものや、精神に悪影響を及ぼす危険のあるクラスB以上の魔導書が中心に所蔵されている。

 内容も今じゃ古いものや捨て去られた技術がたいがいである。隔離され、貸し出しや閲覧の制限さえ設けられている。

 これは図書館法でも定められていて、取り扱いができるのは司書や魔導書取り扱いの資格を持つ者だけだ。


 危険度の高い魔導書は、常人は読むだけでも頭がおかしくなると言われている。著しく精神に異常をきたし、正気を失わせ、最悪何らかの形で死に至ることだってある。

 この図書館は、そんな魔導書が書庫に山ほど所蔵されている。


 あえて言おう。


 そんなもの新人に任せるかと。


 館長の決定で、すでに従業員達には情報が伝達された。

 圧倒的決定事項。


 私が魔導書担当になったのは、もはやゆるぎない事実となっている。

 どうすりゃいいのか、経験もノウハウもない私には全くわからない。


「…………」


 いきたくねー仕事いきたくねー。


 布団の中から出たくない。

 思えば、勤務初日からおかしかったのである。

 昨日が勤務初日で、二日目の今日、もう仕事行きたくなくなっているわけである。


 私は怠けようとする身体を鼓舞するが、しかしいつまで経っても上体は起き上がろうとしない。

 昨日繰り広げられた、げに恐ろしき出来事が思い起こされるのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ