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#60 離脱

#60 離脱


 昶Side


 身長10mのバクテリオファージが近づいて来る。

 あたしは慎重にグレネードランチャーの狙いをつける。この距離で外したら後が無い。

 何しろ巨大な魔導機兵を乗っ取り、破壊までする化け物だ。

 背中に冷や汗が流れる。


 あと20m。

 もう少し引きつけてその正二十面体の頭部に確実に命中させる!


『昶、下がってください!敵を排除します!』

 

 通信機から亜耶の声が耳に飛び込んできた。

 鋭い金属音が聞こえてくる。

 亜耶が操る魔導機兵「ミスティックシャドウⅡ」のエンジン音だ。

 戦闘機形態で低空をフライパスするとそのまま変形した。

 だがその形態はこれまでに見たことのない、いやある意味見覚えのある形態に変形した。

 それはボディと主翼は戦闘機のままでそこから二基のエンジンが脚部として下に向いている。そして主翼の下には二本の腕。

 ………………これはアレかな……。


「………それってガウォー……」

『マニューバギア形態ですっ!………そう言いたいのはわかりますがっ!』


 あたしのツッコミを慌てて遮るように亜耶の通信が入る。

 マニューバギアに変形したミスティックシャドウⅡは地表まで降下するとバクテリオファージへ突進する。

 ホバー走行で一気に接近したミスティックシャドウⅡはすれ違う瞬間にその主翼をわざとひっかけてバクテリオファージを転倒させると機首下部に装備されているバルカン砲を発砲した。

 ブロォォォーッ!というバルカン砲独特の音を立ててその弾丸はバクテリオファージを粉砕した。

 ここへ向かっているバクテリオファージはあともう一匹。

 すぐさま亜耶は機体を魔導機兵、つまり人型形態へ(ちなみにこちらの形態は「アサルトギア」、戦闘機形態は「エアロギア」と呼称するそうだ)変形させると回り込むように動いて剣で真っ二つに斬り倒してあたし達は事なきを得た。


『昶、この機体で離脱しますからラーシャ博士をこちらへ』

「ん、わかった」


 あたしがラーシャ博士を呼びに行っている間に亜耶はミスティックシャドウⅡを片膝を地面についた駐機姿勢にさせて待っていた。


「お待たせ、行こう亜耶」

「しかしいいのか?この機体が奴の迎撃に参加しなくても」

「残念ながらさっき「遺憾ながら現時点で部隊を後退させて戦力を立て直す」との通信が入りました」

「……………ま、正規軍部隊があのていたらくじゃ無理もないか、住民の避難はどうなったんだ涼月少佐?」

「そちらは大丈夫だそうです、住民全員が無事に避難したそうですから」

「不幸中の幸いだわね………他のバクテリオファージがまた来たら厄介よ、行こう亜耶」

「はい、ラーシャ博士はこちらの補助席に」


 ラーシャ博士が補助席でハーネスを装着するのを確認するとあたしは少し位なら揺れても大丈夫なように亜耶の座るパイロットシートの横で膝をついて背もたれに腕を回した。

 ミスティックシャドウⅡはマニューバギアに変形するとそのままVTOLモードで垂直離陸しキャンドルタウンの上空へと飛び立った。


「酷い有様だこれ………」

「例の大型魔導種一匹でこれですから」

「一端動きを止めて………いや、僅かずつだが海へ行こうとしているな」

「やはりあれですか博士、クラゲ要素があるからでしょうか?」


 亜耶がモニターに投影されているアスコモイド兼グレルを見ながら首を傾げる。


「可能性は大きいな、基本的にマナヴォルカンから浮上する魔導種はそのマナヴォルカンの置かれている環境の影響を受ける事が多い………今回はキャンドル付近の森林と海の両方から影響を受けた結果かもしれんが………現時点では断言はできんな、情報がまだ少なすぎる」


 眼下の風景を見ると陸軍のアレスや装輪戦車、自走砲の各部隊が後退していくのが見える。

 …………これは状況終了までかなり時間がかかりそうだ。


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