#38 駆逐艦「キャンドルタウン」突入
#38 駆逐艦「キャンドルタウン」突入
アトロポス艦橋
「まもなく駆逐艦「キャンドルタウン」が敵防御魔法圏内に到達します」
「副長、「アキレウス」の準備は?」
「先程発進し「キャンドルタウン」の後方についています」
「よし、「キャンドルタウン」に合わせて速度を上げるぞ全艦第三戦速!」
「「キャンドルタウン」、敵新型防御魔法圏内に入りました・・・・が、敵新型防御魔法は発動したものの出力が低い模様です」
「どうやら予想通りまだ向こうの魔力は回復していないようだな」
「今のうちに13号浮遊島の沿岸砲台を潰した方がよさそうですね」
「そうだな、13号浮遊島の沿岸砲台を紫電で破壊する、全艦砲撃戦用意!目標は「キャンドルタウン」突入予定の第一ドッキングポートだ」
「全艦隊、砲撃戦用意!目標は第一ドッキングポート」
爆薬を艦首に満載した「キャンドルタウン」はアトロポス艦隊の支援砲撃を受けながら前進を続けていた。
13号浮遊島から防衛用の空雷艇が数隻出撃してきたが艦砲射撃であっという間に撃沈された。
「艦長、ヴァイスカノーネのリトラ大尉から連絡です」
「読み上げてくれ」
「はい、セレーネを失ったものの若桜少佐が涼月少佐の奪還と彼女の精神介入の解除に成功したとの事です、涼月少佐が13号浮遊島の地理を覚えているとの事でミスティックシャドウとヴァイスカノーネで突入部隊の支援及び突入部隊との同行の許可を求めています」
「そうか、涼月少佐が戻って若桜少佐も一安心だろう、許可すると伝えてくれ」
「わかりました」
「間もなく「キャンドルタウン」がドッキングポートに突入します」
13号浮遊島司令室
「あいつらは何をするつもりなの・・・?、とにかくあの駆逐艦を迎撃して」
「わかりました、ミスティックシャドウを向かわせます・・・・ん?」
「今度はなに!」
「ミスティックシャドウの応答がありません」
「・・・・・役立たずが・・・・!」
『役立たずは貴女でしょう、コーネウス准将』
司令室のホログラフにミスティックシャドウのコクピットの亜耶が映った。
「涼月少佐、何やってるの!早くあの駆逐艦を迎撃・・・!」
『お断りします』
「命令を聞きなさい涼月少佐!!」
『お断りしますと今言いましたが理解出来ませんか?』
『あー、ごめんねえ間抜け准将』
亜耶の横からひょこっと昶が顔を出した。
「お前は・・・!」
『亜耶ならもう正気に戻ってるから何やっても無駄よ?』
「・・・・・・!」
昶はすうっと息を吸い込むと低い声で言った。
『これからみんなでお礼参りに行くから覚悟しとけよこの性悪女!!』
通信は昶の捨て台詞と同時に一歩的に切断された。
「どうしますか司令・・・・・?」
遠慮がちに訊く通信手にコルディアは怒鳴った。
「とにかく沿岸砲台や残っている空雷艇も魔導機兵も全部投入して対処!ここの守備部隊のアレスも全機出しなさい!!」
「しかしそれだけでは戦力不足です!」
「仕方ないわ、私もセンシングホークで出ます、大型ジェネレーターに陸戦隊を近づけないように部隊を動かして」
「わかりました」
亜耶Side
ミスティックシャドウのホログラフに1隻の駆逐艦が13号浮遊島の第一ドッキングポートに向かって突進していくのが見える。
さっき昶に聞いた爆薬を満載した無人操縦の駆逐艦「キャンドルタウン」だ。
防御用として13号浮遊島に配備されている沿岸砲台からの攻撃で満身創痍だが速力はそのままに突っ込んでいく。
一層と激しさを増す沿岸砲台からの絶え間ない砲撃の中を突進する「キャンドルタウン」はドッキングポート入口の空中魚雷防御網を突き破って突進し、ドッキングポートへの体当たりを遂行した。
あまりに勢い良く衝突した為に「キャンドルタウン」はゲートの上まで乗り上げ、更にドッキングポートに停泊している「プロメテウス」を中破させた。
そして・・・・・・「キャンドルタウン」はその艦内に満載した爆薬を起爆させ大爆発を起こした。
「おー・・・・・見事にドッキングポートの入り口をふっ飛ばしたわね」
『ほら、来たわよ「アキレウス」』
「さて、援護しつつ合流するわよ!・・・・・それにしても」
「?」
「このコクピット、壊れてるから隙間風が入ってきて寒い・・・」
「ロケットランチャーで壊したのは昶ですよ」
「・・・・・・・・・・・・・さ、援護に行こうか」
「・・・・・さらっと流しましたね」
『バカやってないで行くわよ、あいつら「アレス」を出してきたようだし』
「キャンドルタウン」が自爆したドッキングポートに突入する上陸用舟艇「アキレウス」を迎撃するために数機のアレスが出てきた。
「アレス」というのは陸軍が正式採用している陸戦用の魔導機兵である。その装備は105mmライフル砲や90mmアサルトライフルや対地ロケット弾ポッド、スモークディシチャージャー等多岐にわたる。
そして陸上戦闘での安定性を重視しているが故に重心の低い構造にするために「フェンリル」のような飛行可能な機体に比べてずんどうである。
「援護攻撃に入ります」
「うん」
上陸用舟艇「アキレウス」艦内
上陸用舟艇「アキレウス」は「キャンドルタウン」の側面を抜けてドック内に突入した。その操舵室は喧騒に包まれていた。
「アレスを確認しました!」
「対地ロケット砲斉射!近づけるな!」
『トパーズ1よりアキレウス、これより敵「アレス」を排除します』
「その声は!こっちに戻れたんですね亜耶姐さん!」
『御心配をおかけしました・・・もう大丈夫です』
『まあそういうわけだから安心して』
『トパーズ2、こちらも援護に入るわよ』
ミスティックシャドウが粒子ビットを飛ばして武装を潰してからその腕と足を斬りとばす。
更にその後方から接近をはかろうとしていた2機のアレスをヴァイスカノーネの90mmSMGと魔導粒子砲が撃ち抜き擱座する。
亜耶は「キャンドルタウン」が破壊したドッキングポートへと突入した「アキレウス」のそばにミスティックシャドウを脚部のエンジンを使用したホバー走行で接近すると一旦停めた。
同じようにヴァイスカノーネもホバー走行で隣に降りてくる。
昶と亜耶、リトラの3人は一緒にミスティックシャドウを降りるとアキレウスから降りてくる陸戦隊、カールス大尉に声をかけた。
「どうやら上手い事合流できましたな」
「大型の魔導ジェネレータの破壊はあたしも同行する、道順は亜耶に聞いてるからさ」
「助かります」
「私はミスティックシャドウでセンシングホークの破壊にあたります」
「あたしはヴァイスカノーネで援護を続ければいいかしら?」
「ん、リトラはこのまま援護をお願い」
「それはいいけどまだ厄介なのが残ってるわよ」
「昶、コーネウス准将は私が相手をしますから」
「お礼参りなら喜んで付き合いますぜ」
「ありがと、カールス大尉」
「さて、じゃあお礼参りに行くわよみんな!」
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