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43.エピローグ

『着信:吉川 優月』



その名を見つけたときの気持ちは…もう、説明の仕様がない。

震える指で、通話のボタンを押した。



「…もしもし?」


「もしもし。私」


「知ってるよ」


「だよね」


「今どこ?」


「…すぐ近く」


その言葉に辺りをぐるりと見渡す。

すぐ近く?

どこ?


「時々ね、見てたよ」


「え?」


俺の視線が、ある一点で固定される。

川の向こう、川を挟んだ向いの堤防にいる、白いワンピース。

あまり良くない目を凝らした。


俺は、幻を見ているんだろうか…。


その白いワンピースは、優月に違いない。

4年前とは違って、伸びた髪にパーマをかけてはいたけれど、彼女に違いない。

でも、良く見ようと思えば思うほど、その姿はかすんだ。

幻のような彼女は、おもむろに立ち上がって、手を振った。

最初は小さく。

それから、携帯を持っていないほうの手をぶんぶんと振って。


「大人っぽくなったね」


携帯からの優月の声に、俺は走り出した。

喉に詰まっている熱い塊にむせながら。

まるで時の流れのように留まらない、この川の流れの上にかかる橋の上を走って。

全力で。


「圭ちゃん」


彼女の口が動いたのが見えた。

微笑む彼女の顔も。





この手はきっと届かない。


出会った頃から、ずっとそう思っていた。


だけど、これからもずっとそうかどうかなんて、誰にも分からない。




だって、俺と優月の時間は再び交わりあって、そしてこの瞬間に、きっと何かが変わったのだから。





ほら、もうすぐ彼女に手が届く。







〜FIN〜







最後まで読んでいただきありがとうございました。

ここまで長い話を書き切ったのは初めてです。

読んでくださった方々の、感想などに励まされて、最後まで書くことができました。

本当にありがとうございます。


ところで、この終わり方に、すっきりしないという方もいらっしゃるかもしれません。

二人の今後については、ご想像にお任せしたいと思います。

こういった終わり方は、完全に個人的な趣味です(笑)

でもきっと、再び交じり合った二人の時間は、以前とは違った物になると思います。


やっと完結させることができたわけですが、まだまだ自分のスタイルを追求している最中ですので、「面白かった」「面白くなかった」「分かる気がする」「納得いかない」等、どんなことでもいいので、一言残していただければ励みになりますし、これからの参考にもなります。

是非、何か一言残してやって下さい。



2007.12.10

澪羽


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