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病弱な婚約者が幼馴染を優先して呼びつけます

作者: ぺいた
掲載日:2026/06/13

「またですか…」私は、伝令の従者に向かってためいきをついた。


先週に続いて、アラン様が体調を理由に私との約束をキャンセルした。

今日は朝からピクニックに行く予定だったのに…。

お弁当も用意したのに…。


アラン様との顔合わせの時は、とても元気そうだったし、体格も良かったし、体が弱そうには見えなかったけれど…。


「アラン様は、どこかお悪いのですか?」

と聞いてみると


「いえ、そういうわけでは…」

従者は目を泳がせながら

「あっでも、たまにあの、持病の頭痛が出ることがありまして。でもあの、1日で治るので、何もご心配はいらないのです」

と言う。


ものすごくうさんくさい。


まさか、仮病?

私と会いたくないとか?


向こうからの「たっての望み」で婚約したはずだったけど、実は違うのかしら…。


『疑問はすぐに解決するに限る』が信条の私なので、とっとと確かめに行くことにした。


「心配だからお見舞いに参ります」


「え!!!」

なぜかうろたえる従者。


「今から伺いますとお伝えください」


「えっいや、それは」


「何か問題でも?」


「あのその、今日は、マチルダ様が看病に来てくださっているので…」


私は眉をピクリと動かし

「マチルダ様?」

と聞き返した。


「は、はい、イカンセン子爵家のご令嬢で、アラン様の幼馴染なのです。アラン様の持病にも慣れていらっしゃるので、ご心配は無用だと思うのです」


「よけい心配になったわ」


「ええ~~~~~?!」


なんでそこで驚くんだ。バカなのかこの従者。


「そのマチルダって人。幼馴染とはいえ、婚約者のいる異性の看病にくるなんて、おかしいでしょう。下心があるとしか思えない」


「そ、それはないです。アラン様がお呼びになったので」


「アラン様が!?」


私の剣幕にびびったのか、従者がびびっと硬直する。


「そう、アラン様が呼びつけたの。体調が悪い時に、子爵家の令嬢を。それはどういうつもりか、はっきり問いたださないといけませんね。マチルダ様にもぜひ、お会いしてお話を伺いたいので、帰らないで

下さいと、伝えてくださいな」


「え、あの」


「私は侯爵家の人間ですわ。子爵家の小娘にバカにされる筋合いはないし、伯爵家のアラン様に浮気を許すつもりもない。自分のしたことの責任は、きっちり取ってもらわないと」


「や、あの、ちょっと待ってちょっと待ってクラウディア様」

自分がとてつもない失言をしたことに気づいたのか、従者はがくがく震えていたが


「早く伝えに行きなさい!」

と一喝したら、わたわたと早馬を走らせに行った。


私もすぐに馬車を用意させ、アラン様のお邸に向かった。


ほどなくアラン様のお邸に着いて、鼻息荒く案内を待っていると、


「バカじゃないのー! なんでそんなこと言ったのー! いやあああ、侯爵家に睨まれたら、うちなんかゴミムシよーー!」

「ほんとだよー! どうしてもっとうまく言い訳しなかったんだよ!浮気してると思われたらどうすんだよーー!」


と叫ぶ声が聞こえた。


思われるもなにも、浮気してたんでしょうに、なんて往生際の悪い。

そう思いながら、通された応接間に入ると、


アラン様と、マチルダ様と思しき令嬢が、ジャンピング土下座した。


「ごめんなさい!」

「申し訳ありません!」

2人して頭をこすりつけている。


「……いいから頭を上げて説明して。これはどういうことですの?」


アラン様がおそるおそる顔をあげて

「実は…」

と話し出した。


「二日酔いで…」


は?


「頭がガンガンして、これで馬車に乗ってピクニックは無理だと思って、断りを入れてしまったんです…本当にごめんなさい…」


は?


「どういう言い訳? 今日のキャンセルが二日酔いのせいだとしても、私という婚約者のいるあなたが、他の令嬢を呼ぶ必要はないわよね?」


あわててマチルダ様が頭をあげる。

「それはあの、私が、アラン様の二日酔いによくきく薬草茶の作り方を知ってるもので、二日酔いになるといつも呼び出されるんです…」


「……」


「ごめん! 本当にごめん! デートの約束を、二日酔いなんかで破ったら嫌われると思って、ごまかそうとして、ごめん!」


「……」


「アラン様! お酒を飲んだ理由もちゃんと言うのよ! デート前につぶれるほど飲む男なんて、最低なんだから!」


マチルダ様が叫んだ。


「え、え、だって」


「言え! ちゃんと言うのよ! クラウディア様とデートすると思ったら、うれしくてうれしくて、緊張して眠れなくて、眠れるまで飲もうとしたら飲み過ぎたって!」


え…


「わああああ言うなよ恥ずかしいいいいいいい」

「言わないほうがやばいんだってば! ちゃんと言え~~~~!」


マチルダ様は顔を上げて私を見ると、

「私はちゃんと言ったんです!『私がここに来たら、クラウディア様が不快に思うかもしれないから、薬草茶の作り方をクラウディア様に教えるから、クラウディア様に作ってもらいなさい』って!」


「なのに、『こんなみっともない姿をあのかたに見せられない』だの『クラウディア様が作ったものなんて、緊張で飲み込めるわけがない』だの言って! 結局こんなふうに誤解されて! ほんとバカ!」


「だって…」


しょんぼりするアラン様と、お母さんのようにぷりぷりするマチルダ様。


そっかあ。なんだ、そうだったのかあ。


「ほんとバカね…」


「ご、ごめんなさいクラウディア様、嫌いにならないで…」


土下座したまま、うるうると私をみるアラン様の姿に、つい、「かわいい」と思ってしまった。


なので「わかったわ。今日のところは信じてあげる」と言って2人を立たせ、

「薬草茶の作り方を教えてくれる?」

とマチルダ様にお願いした。

「幼馴染を優先する婚約者」に挑戦してみたんですけど、なんか違う。

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― 新着の感想 ―
そこから婚約破棄の破滅ドン!を見たいなぁと(鬼畜w
いやぁ...主従って似てるか真逆って良く言うが、良く似たポンコツ主従で誰もフォロー出来ないかと思ったが、ガッツリ暴露する幼馴染みのおかげで許されて良かったねアラン( ̄▽ ̄;)
おおむね情状酌量の余地のない醜態だけど奇跡的なことにこの醜態を"かわいい"と言ってくれる婚約者様だったのでセーフ。他人事なら確かにちょっとかわいい。 でもこの男は教育しなおした方がいいし従者は降格した…
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