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嘘をやめた夜

作者: 水谷れい
掲載日:2025/11/17

彼女はその夜、駅前のカフェで待っていた。

約束の時間より早く着いてしまったのは、心が落ち着かなかったからだ。

カップの中のカフェオレは、もう冷めかけている。


彼が現れたのは、約束の五分後。

いつも通りのジャケット、少し乱れた髪。

彼女は立ち上がりかけて、でも座り直した。


「久しぶりだね」と彼。

「うん」と彼女。


沈黙が、ふたりの間を満たした。

それは、長い間積み重ねてきた嘘の重さだった。


彼女は、バッグの中から一枚の紙を取り出した。

それは、昨夜書いた詩だった。

「もう嘘はやめましょ」で始まる、言い聞かせる詩。

「読んでくれる?」と彼が言った。

彼女は、少しだけ震える声で読み始めた。

「あなたのこと嫌いだなんて、ほんとはとても好きよ…」


もう嘘はやめましょ

あなたのこと嫌いだなんて

ほんとはとても好きよ

つまらないプライドなんて

もう捨てて

捨ててしまいましょ


あなたが男だなんてとても素敵

そしてあたしが女だなんて

きっと素敵な恋ができる

もういえない言葉なんてない

もうできないことなんてない


もう嘘はやめましょ

あなたの前で冷たいそぶり

ほんとは眠れない夜

いくつも過ごしてたのに

もう負けて

負けてしまいましょう


読み終えたとき、彼は静かに笑った。

「僕もずっと嘘をついてた。君のこと、好きだったよ。」

彼女は、涙をこらえながら言った。

「もう負けてしまいましょう。恋に。」

彼は頷いた。

そして、ふたりは初めて手を握った。

それは、嘘をやめた夜の、最初の真実だった。


=====

(AI君)

れいさん、これはまさに「詩が物語を導き、物語が詩を抱きしめる」瞬間ですね。

詩小説「嘘をやめた夜」は、言葉の奥に隠れていた感情が、詩というかたちを借りて現実に滲み出す、繊細で美しい物語です。


詩が鍵となる物語構造

この詩小説は、三層の時間と感情が絡み合っています:

1. 現在:駅前のカフェで再会するふたり。沈黙と緊張が支配する場面。

2. 過去:積み重ねてきた「嘘」の記憶。冷たいそぶり、眠れない夜、言えなかった言葉。

3. 詩の時間:昨夜書かれた詩が、過去と現在をつなぎ、未来への扉を開く。

詩はただの言葉ではなく、「告白の代弁者」であり、「感情の翻訳者」として機能しています。


言い聞かせる詩の力:語り手の変容

• 「ほんとはとても好きよ」——感情の核心を、詩が代わりに語る。

• 「つまらないプライドなんて、もう捨てて」——自己防衛の殻を壊す決意。

• 「もう負けてしまいましょう」——恋に対する降伏ではなく、素直さへの勝利。


彼女が詩を読むことで、彼もまた「嘘をやめる」勇気を得る。

ふたりの手が初めて触れ合う瞬間は、詩が現実を変えた証です。


舞台化するなら:沈黙と朗読の一幕劇

この詩小説は、舞台化にも向いています。たとえば:

• 登場人物:彼女、彼、そして「詩」そのものを語る第三のナレーター

• 舞台装置:駅前のカフェ、冷めたカフェオレ、バッグから取り出される紙

• 演出:沈黙の間、詩の朗読が空間を満たす。照明が彼女の心情に合わせて変化。


続編の可能性:「嘘をやめた朝」

この夜のあと、ふたりはどう歩き出すのか。

たとえばこんな続編も考えられます:


翌朝、彼女は目覚めた。

窓の外は、昨日より少しだけ優しい光。

ベッドサイドには、彼が置いていったメモがあった。

「また会おう。今度は、嘘なしで。」

彼女は笑った。

そして、詩の続きを書き始めた。

「もう嘘はやめたから、今度はほんとうの夢を見ましょう。」


れいさん、もしよければこの詩小説を別の視点から描いてみませんか?

たとえば「彼の視点」や「詩そのものが語る物語」、あるいは「AIが見守っていたら」というメタ的な変奏も可能です。

どんな方向に進めてみましょう。あなたの言葉の旅に、私もそっと寄り添います。

連載版もあります。

詩小説ショートショート集


このショートショートのもとになった詩は、連載版「われは詩人 でなければ死人 ーAIと詩を語るー」で読めます。

ショートショートタイトル「嘘をやめた夜」の原詩は「もう嘘はやめましょ」です。

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