08S.魔狼族の少女
「キャラバン隊」のアナキンは、久し振りに「顔馴染みの奴隷商人」の元を、訪れました。彼からの連絡に依り「魔狼族ウルフェイサ」の娘を、見に来ました。この魔狼族は、成獣に成ると、とても「強い個体」に、変わる為「最強形態」に、変われない、子供時代以外は「取り扱いの難しい獣魔人」でした。子供のときでも、自身の「最強形態」で有る「魔獣態」の姿を維持して、周囲を威嚇しました。それは、彼女が「猛犬系統の獣魔人」だったので「騒がしい存在」でした。
アナキンは「犬系統の獣魔人」の扱いが「上手」なので、凶暴でも問題が、有りませんでした。彼は、檻の外側から獣魔人を、見て居ました。それは黒い体毛に覆われて、耳の先端が尖って、上を向いて居ました。尻尾も長くて、だらりと垂れ下がって居ました。体格から見ても、それは間違い無く「ウルフェイサ」の子供でした。幼獣は、彼を認識すると「威嚇の低い唸り声」を、上げました。
アナキンは、両腕に防御用の小手を、装着しました。彼は、檻を開けて貰うと、中に入りました。そして左腕を出して、幼獣が噛み付くのを、待ちました。すると幼獣は、勢い良く、彼の左腕に、噛み付きました。すると彼は、それを左右に振ると、深く幼獣の牙が、腕に食い込むのを、待ちました。幼獣の牙が完全に、彼の腕に、食い込みました。噛まれた痛みは、小手の防御の御陰で、彼には届きませんでした。
すると彼は、右手を丸めると「特殊な拳骨」を、作りました。そしてそれで思い切り、幼獣の頭を、殴りました。彼は、幼獣の牙が、腕から離れるまで、思い切り何度も、何度も、殴り続けました。
すると幼獣は、殴られて時間が経つと「キャイン。キャイン。」と、鳴き声を上げると、彼の腕から、離れました。すると相当痛かった様で、頭を抱えながらグルグルと、のたうち回りました。のたうち回りながら、彼女は初めて「人間態」の姿に、変わりました。そこには「小さな全裸の女の子」が、頭を抱えて「痛い。痛い。」と、言いながら、鳴き声を上げました。彼女の頭には、数個のたん瘤が、出来て居ました。
彼女は、流暢な言葉で、何度も「何で殴ったのか。痛いじゃないか。」と、盛んに訴えました。それはアナキンに取っても、同じでした。「お前が、噛み付いたから、殴ってやったんだ。」と言うと、彼女はワァワァ泣き出しました。彼の拳骨は、言うことを聞かない子供には、とても有効な拳骨でした。彼は、それで何人もの「悪ガキ」を、制して来ました。今回も、それが効きました。それからその娘は、聞き分けの良い子供に、成りました。
「奴隷商人」も、鮮やかなアナキンの仕打ちを見て、彼も感動しました。娘の名前は「ジョアン」と、言いました。彼女は、群れから逸れてしまい、幸いにも親切な?奴隷商人に、早めに保護?されたようでした。その為、用心深い彼女は、始めから彼等を疑って、逆らって居たのです。
「奴隷商人」も、商売だったので、アナキンに値段を告げると彼も、値切ってから、その娘を買い取りました。彼女は、彼に買い取られることに成ると、盛んに嫌がって居ましたが、彼がまた、あの拳骨を作って、彼女に見せると、彼女は、諦めたようでした。彼女は、彼のものに成ると、何度も何度も、彼の顔を見て居ました。ジョアンは、自分のことを、殴り付けた大人の顔を、忘れないつもりで、見て居ました。
「ジョアンの容姿」は、まだ子供だったので、あどけない顔をした、美少女でした。目が子供のように大きくて、瞳の色は黒でした。魔獣態では、全身を黒毛で覆われた、子供の番犬の姿でした。しかし「人間態の姿」に成ると、肌色が白くて唇が赤くて、髪の色が茶色をした、人間の子供の姿に、成りました。
それからジョアンも「アナキンの拠点」で、暫く暮らすことに、成りました。それから彼は、顔馴染みで有る「インキュレス・ハマス」の元に、連絡を入れると、彼女のことも、買値の1.5倍で、買い取ってくれることに、成りました。こうしてジョアンも、以前の「虎の眼少女」のときと同じように、ハマスが「魔獣地帯」の同族の元へと、彼女を返してくれることに、成りました。
この「インキュレス・ハマス」は、特に「獣魔人の子供の保護」を、優先的に行って居る、淫魔でした。彼は「左側神の世界」を、支配して居る「魔神の命令」で、動いており、不幸にも悪い大人達に、捕まってしまった子供達を「助ける仕事」を、して居ました。その為、彼は何人ものアナキンのような、アウトロー達からも、情報を買い漁り、あらゆる手段を使って、子供達を守って居ました。
前回アナキンから引き取った「虎の眼少女・キメイラ」は、その後、彼女の同族が、多数存在した族長の元に、預けられました。彼女は「保留の眼」を持つ「フーガニオン」として、保護されました。その同族には、その眼を持つ者が他にも、たくさん居たので彼女も、そこで幸せに、暮らしました。しかし彼女は「新しい環境」に、馴染めなかったので、病気に成り、都会に返されて今は、アナキンに再び、買い取られて、彼等と一緒に、暮らしました。
「インキュレス・ハマス」は、比較的ダルタスの「魔獣地帯」に、生息する、獣魔人に対しては、太い人脈を持ちました。獣魔人の子供で、無くても保護は、するので、同じ時期に、手に入れた「リトリンのメイリア」も、そのとき頼めば、引き取って、貰えました。しかしアナキンは、彼女には「お宝の匂い」がしたので「彼女は、自分の手で育ててみよう」と、思いました。
メイリアは、利口なリトリンの娘だったので、身体は小さかったのですが、言うことを良く理解して、とても役立つ「綺麗な娘」へと、育ちました。その点アナキンは、彼女を得ることが、出来て「本当に良かった。」と、思いました。
また今、この世界では、何かの影響に依り、魔獣達の移動が、盛んに行われました。それは、魔獣達の不安による「恐怖心」から、各地で増発しました。その為これから「獣魔人の子供達」も、その影響に依り、逸れたりしながら、人身売買の手に、陥り「たくさんの浮浪児達が、生れるだろう」と、言われました。今のアナキンの仕事は「遺跡調査」の他には、この「奴隷少女達の保護」が、主な仕事内容に、成りました。
それから頃合いを見てからアナキンは、今でも良く利用して居る「ジルバ娼館通り」に「久し振りに出掛けてみよう。」と、思いました。彼は、何かの「お宝の匂い」を、感じて居ました。