04S.塔に捕らわれた娘 前編
「キャラバン隊」の隊長「アナキン・キャンベル」は「或る噂」を聞いて、此処まで来ました。彼が訪れた町には、噂が有りました。それは、この近くに、とても古くて一部瓦解した危険な「大きな塔」が、建って居ました。そして見える者には、その塔の「上階のバルコニー」から「夜な夜な〝美女の幽霊″が現れる」と、言うのです。その「美女の幽霊」は、特殊なものらしく「使い魔」にしか、見えない存在でした。
「アナキンのキャラバン隊」は、大きなワゴン車2台に分乗して、走って居ました。隊員は、アナキン以外は、人型をした屈強な「男型ゴーレムが3体」と、妖精のような「女型ゴーレムの1体」が、彼の所有するゴーレムで有り、この部隊の隊員でした。彼は、そのメンバーで「お宝探し」をしました。そして、この町に来ると、その噂を聞きました。彼は、優秀な「使い魔」でしたので、その「美女の幽霊」は、多分レアな「淫魔ドール」ではないかと、彼は密かに、目星を付けました。
それが正解ならば、それは中々の御宝でした。仮に、それが「淫魔ドール」で、有るならば「使い魔」の彼なら、それを「生きた人間」に、変えることが、出来ました。その存在自体が「かなりレア」で有り、稀に所有が、出来さえすれば、どんな男でもドールに、情愛さえ注ぎ込めば「極上の美女」に変わり、その思いに、答えてくれました。それは、若い男に取っては「至極の一品」でした。
しかし、その塔は「魔獣の住処」と、成りました。「凶暴な肉食獣達」が、多く住んで居て、迂闊に入ることが、出来ませんでした。またこの塔の階層が、それ程高く無く、或る意味「早い者勝ち」のような様相を、呈して居ました。「アナキン隊」は、戦闘に特化した「キャラバン隊」でした。彼も「豊富な戦闘訓練」を積み、隊員のゴーレム達も、シリコス製だったので「強固な鎧」に、身を固めて居ました。
そして彼等は、その塔の近くまで来ました。それは「古い遺跡」のような、建造物でした。床面積が広くて、20階建て位のものでした。そして最上階近くに「バルコニー」のようなものが、突き出て居ました。その場所に、夜な夜な「美女の幽霊」が、現れて「自分のことを、早くここから、連れ出して欲しい」と、訴えて居ました。
アナキンは、その日は、そこで野営をしました。その辺一帯は、夜空が綺麗で、夜に成ると「冷えた空気」が、肺に染み込み、頭がスッキリしました。そして夜中に成ると、そのバルコニーから、ピンク色をした薄い衣に、身を包んだ「絶世の美女」が、現れました。それは確かに、実体化して居ない「幽霊のような存在」でした。
「キャラバン隊」の「隊長アナキン」は、それを見ると一目で「淫魔ドールの核」で有ることが、分かりました。それの認識が、出来る「唯一の存在」が、ダルタスの「使い魔」でした。「淫魔の核」が、ドールに宿り、長い年数、放置されると、その一部が離脱して、周囲を徘徊して「異性を誘う行動」を、示すように、成りました。しかしそれは、本体から遠い場所には、出現することが出来ずに、その範囲内のみを、徘徊しました。
その為その「ドールの本体」は、その階の部屋の中に「隠されて居るもの」と、思われました。アナキンは、最後の確認が、取れました。この塔の中には、確実に「凄いお宝」と成る「淫魔ドール」が、隠されて居ました。それも古い年代のものでした。彼は、夜が明けたら、銃火器を装備して中に入り、魔獣を討伐しながら「目的の階」まで、行くことに決めました。そして彼は、眠りに就きました。
周囲が明るく成った頃、アナキンも目覚めました。自分のキャラバンには、1体だけ「仲間ゴーレム」を、置いてから彼は、塔を目指しました。彼が目指す場所は、18階でした。彼等が4階に昇ると、そこには「大型の肉食獣」が3体、巣くって居ました。彼は、それを見掛けると躊躇無く、銃の引き金を、引きました。そして3匹共、射殺しました。
それからアナキン達は、更に昇って行きました。すると8階にも「肉食獣」が3体、巣くって居ました。彼は、それも見掛けると躊躇無く、射殺しました。後は12階にも「大きな肉食獣」が、居ました。彼は、それも射殺すると、後は「小柄な肉食獣」が、数体徘徊しました。それも全部、殺処分しました。すると他は、見当たらなく、成りました。
アナキンは「目的の18階」に、到着しました。そこには生き物達が、生息した跡が、見られませんでした。多分、得体の知れない「淫魔ドールの核」の幻影が、彷徨って居る階でしたので「肉食獣」が警戒して、その場所を、避けて居ました。その為そこは、比較的「安全な階」でした。アナキンは警戒しながら、その階を全部、調べました。しかし怪しいものは、何も有りませんでした。
そして、あのバルコニーと、繋がって居る部屋を、見付けました。その部屋には、何かの石棺が、置かれました。「淫魔ドールは、多分その中だ」と、思われました。石棺の蓋は、ぴったりと閉まって居ました。これから、そこをこじ開けて、中のドールを、取り出すことに、成りました。アナキンは、場所が確認出来たので、その上の階も、調べることにしました。
19・20階も、肉食獣の侵入の無い綺麗な階でした。そこには「大きな金貨の袋」が、隠されて居ました。彼は、それを見付けると、回収しました。合計3袋が、見付かりました。とても良いお宝でした。後は、何も無かったので「淫魔ドール」の回収を、始めました。彼等は苦労して、石棺の蓋を開けました。するとそこには、古代の貴婦人の姿をした、古い人形が、横たわって居ました。
その人形は、既に腐敗して居たので、アナキンは直接、人形の胸の中に、自分の手を、差し入れました。そして「淫魔ドールの核」を、取り出しました。それは青白く輝く「ゴーレムのアニマス」のように、見えました。その核も、ゴーレムのものと同じで、身体が老朽化すると、他者のもので有っても「使い魔」が、取り出して、他の身体に、移し替えることが、出来ました。
それは丸々と太った「大きく輝くアニマス」でした。アナキンは、それを自分の体内に、一度収納すると、早速地上階に戻りました。彼は、自分の「キャラバン隊」に、戻ると早速、手に入れた金貨で「極上の〝シリコス製素体″を、手に入れよう」と、思いました。後は「淫魔ドールの核」を、それに移植すれば「現在風の美女」に、生まれ変わりました。それから、そのドールの真価が、発揮されるのです。
アナキンの次の目的は、自分好みの「美しい素体」を、手に入れて、それに「淫魔ドールの核」を、入れることでした。その日は既に「目的が達成」されたので、近くの宿屋に、一泊することにしました。キャラバンカーには、それぞれ「専属のゴーレム」達を乗せて、車の警備をさせました。今日の宿に泊まる者は、彼のみとしました。
ホテルに宿泊して、アナキンが就寝すると早速、昼間手に入れた「淫魔ドールの核」から、彼に接触が有りました。それは前の晩に、塔のバルコニーで見掛けた、ピンク色の薄い衣を、纏った「極上の美女」の姿で、現れました。その彼女が彼に、話し掛けました。
「私を、救い出してくれて、有難うございました。私は、あの人形に引き寄せられると、そのまま宿りました。そして長い年月、あの石棺の中に居ました。それは、取り出されることも無く、長い間放置されました。その為私は、毎晩あのような場所で、私を救い出してくれる殿方を、探して居ました。」
「そして今日やっと、石棺より出されることが、出来ました。本当に有難う御座いました。私は〝淫魔ドール″でしたが、自分の名前をすっかり、忘れてしまいました。ここで、新たなマスターと成られた貴方に、好きな名前を付けて貰いたくて、こうして、お願いに上がりました。どうか〝私の核″を、貴方の愛する素体に、入れて下さい。そうすれば、私は〝自分の生涯を掛けて″マスターを愛することを、誓います。」