アリアンロッド発展の章 第18階層編 第2話:血の鏡像
◆試練の始まり
セレスティアが氷柱の上から軽やかに舞い降りると、足元の雪が音もなく舞い上がった。
彼女の気配は圧倒的で、まるで空間そのものを支配しているかのようだ。
「真祖……か」オリビエが眉をひそめる。
「ただの吸血鬼ではないな。格が違う」
「来い」セレスティアが手を差し伸べる。
「ここを通る資格を、見せてみよ」
次の瞬間、彼女の姿が霧散し――アリアの背後に現れた。
「速い!」シルが目を見開く。
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◆戦闘
アリアは振り返りざまに入り身で受け流す。
鋭い爪が掠めた瞬間、アリアは冷静に動きを見極める。
「……爪の角度、殺意は抑えている。試すつもりか」
セレスティアは小さく笑った。
「見抜くか。面白い」
シルが横から飛び込み、ダブルスラッシュを放つ。
「斬り込む!」
しかし爪と爪で受け止められ、軽く弾き飛ばされる。
「力も速度も……段違い!」
矢の雨が降る。フェルナの《ホーミングショット》だ。
「必中の矢……なるほど、これは厄介だ」
セレスティアは霧となってかわすが、その目は愉しげに細められていた。
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◆分析と好感
戦いの最中、セレスティアの瞳が鋭く光る。
「……この剣士、重厚にして正確。
この短剣使いは野生の勘に長け(シル)。
矢使いは理と理論を重ねた知恵。
そして――」
彼女はアリアを見据える。
「“力で斬る”のではなく、“相手を止める”ための型……妙だ。血を奪う吸血鬼ではなく、血を守る者の剣。……興味深い」
その声音には、敵意よりも好奇心が混じり始めていた。
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◆ルーンの介入
仲間たちが息を切らしながら戦う中、ルーンが前へ出た。
「待って! 彼らは奪うために戦ってるんじゃない!
仲間と共に、みんなを生かすために剣を振るってるの!」
セレスティアは一瞬、赤い瞳を細めた。
「……生かすため、か」
アリアが刀を収め、静かに言葉を重ねる。
「この世界で血を流さずに済む道を探すのが、私たちの戦いだ。
敵としてではなく、仲間として歩めるなら――」
広間に沈黙が落ちる。吹雪さえも、凍りついたように止まった。
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◆決意の瞳
セレスティアはしばし目を閉じ、やがて嗤うように息を吐いた。
「……奇妙な者たちだ。
だが――“生かすための剣”……その響き、嫌いではない」
紅い瞳が柔らかく光り、仲間たちの姿を順に見渡す。
「よかろう。ここでの試練は合格としよう。
……この“夜の帝王”セレスティア、しばし汝らの歩みに付き合ってみたくなった」
アリアは深く頷いた。
「歓迎する。……アリアンロッドの新しい仲間として」
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こうして、アリアに似た銀髪の真祖ヴァンパイア――セレスティアは、
アリアンロッドにおける「夜の帝王」として迎え入れられることとなった。




