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女騎士の独り旅!  作者: 和泉發仙


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アリアンロッド発展の章 第17階層編 第3話:宝を護る影の主


 長い回廊を抜けた先にあった広間は、冷たい空気に支配されていた。

 中央には巨大な宝箱――だが、その周囲を覆う影が脈打つように揺らめいている。


「……出るな」アリアが静かに呟いた。


 次の瞬間、影が形を持ち、巨大な鎧姿の幻影騎士へと変貌する。

 黒き槍を携え、空虚な兜の奥から不気味な唸り声を上げた。



戦闘開始


「でっかい……!」とマキシが身を引く。

「幻影と実体が混ざってるわね」フェルナが冷静に分析した。

「気を抜いたら一撃でやられる」


 シルが双短剣を構え、笑う。

「面白ぇ! 幻でも槍でも、斬ってみせる!」


 アリアは一歩踏み出し、刀を抜く。

「……みんな、気をつけろ。合図は任せろ」



連携


 影騎士の槍が突き出される――だがアリアは半歩踏み込み、入り身投げの要領で槍の勢いを受け流す。

 槍ごと騎士の腕を崩すと、ヨハネスがすかさず剣を叩き込む。

「……ヒソヒソ……斬れる」


 鎧に亀裂が走るが、すぐに影が修復する。


「再生する……なら、畳み掛けるしかない!」オリビエが叫び、即座に前へ。

 ボロの剣ではなく借り物の長剣を振り抜き、影を切り払った。


 その隙を突き、フェルナが矢を放つ。

「《燕返し》!」

 矢が空中で反転し、影の背を貫いた。



若手の奮闘


 ヨーデルは両手を掲げ、水の奔流を作り出す。

「《ウォーターシュート》!」

 水が影の槍を押し流し、一瞬の隙を作る。


「ナイスだ、ヨーデル!」

 リマが盾を前に出し、カテリーナが後方で回復魔法を唱える。

「みんな、傷はすぐ治すから! 迷わないで!」


 マキシは息を呑みながらも剣を構えた。

「今度は俺の番だ!」

 駆け出し、剣を振り抜く。アリアがすかさず後ろから支え、動きを補正する。


「焦るな、マキシ。狙いを定めろ!」

「……ああっ!」


 刃が影の鎧に深々と食い込み、闇が弾け飛んだ。



決着


 広間が震える。影の騎士が最後の力を振り絞って槍を振り下ろす――。

 アリアは深呼吸し、静かに構えた。

「……終わりだ」


 呼吸を合わせ、四方投げの型で影騎士の腕を掴み、床に叩きつける。

 ヨハネスの魔剣がその瞬間を逃さず突き刺さった。


「……ヒソヒソ……沈め」


 影は絶叫を上げ、やがて霧散した。



大宝箱の中身


 静けさが戻り、中央の大宝箱がゆっくりと開いた。

 中には――

•光を放つ宝玉(中級の魔力増幅具)

•神銀製の装飾具

•そして古代の巻物(魔術の新たな知識が記されている)


「これは……!」フェルナが目を見開く。

「知識そのものが宝になるわ」


「武器の素材にもなるな!」とバロスが叫ぶ。

「鍛冶場がまた忙しくなるぜ!」



 アリアは刀を収め、仲間たちに微笑んだ。

「よくやった。……これでまた一歩、アリアンロッドは強くなる」


 皆の顔に、戦いを終えた安堵と誇りが浮かんでいた。


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