アリアンロッド発展の章 第十六階層編 第6話:悪魔と死霊
レッサーデーモンの群れ
宝物庫に満ちる熱気。
影兵と影犬の群れを退けた矢先、空間がねじれ、赤黒い魔法陣が浮かび上がった。
「出るぞ……!」シャルルが警告する。
魔法陣から現れたのは小柄だが異様に鋭い爪を持つ悪魔――レッサーデーモンだ。しかも一体ではない。数十体。
「ギィィィ……!」
次の瞬間、火球が雨のように放たれた。
「うわっ!?」「防ぎきれない!」
ハルトが叫び、アリアが盾代わりに飛び込む。オリビエも剣で炎を払い落とすが、連射の勢いは止まらない。
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フェルナの覚醒
「……押されてる。このままじゃ……!」
フェルナが弓を握り直した。矢に宿る魔力が震える。
(私は……ただのエルフじゃない。もう迷わない)
深呼吸。ハイエルフとして目覚めた魔力が矢に集束する。
「――【イグニートバースト】!」
放たれた矢は空中で炸裂し、無数の火花となって降り注ぐ。
火の雨は群れを直撃し、レッサーデーモンたちが断末魔を上げて消し飛んだ。
「な、なんだ今のは……!」ヨハネスが目を細める。
「……ファイアボールの上位……いや、それ以上だ」シャルルが唸る。
「フェルナ! よくやった!」アリアが笑みを見せる。
フェルナは肩で息をしつつも、瞳には確かな自信の光を宿していた。
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エリオットの支配
だが戦場は終わらない。残ったレッサーデーモンと影兵が入り乱れ、さらに奥から低い笑い声が響いた。
「フフ……まだ終わらん……」
姿を現したのは、朽ち果てたローブを纏う高位アンデッド――エルダーリッチだった。
「厄介なのが出たな」アリアが剣を握る。
エリオットが一歩前に出る。
「なら、俺の領分だ。――【恐怖フィアー】!」
黒い波動が広がり、レッサーデーモンの数体が硬直して震えだす。
続けて瘴気が立ち込める。
「腐れ落ちろ、【悪臭スティンク】!」
影兵たちが咳き込み、足並みが乱れる。
リッチが呪文を紡ぎかけた瞬間、エリオットの視線が突き刺さる。
「お前には……悪夢を。――【ナイトメア】!」
リッチがよろめき、幻覚に捕らわれ自ら召喚した影兵を攻撃しはじめた。
「最後は……これで止めだ。【呪いカース】!」
呪詛が騎士長級の影兵に絡みつき、防御が一気に低下する。
「ヒソヒソ……やりよるな」ヨハネスが短く呟いた。
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次なる強敵
だが、リッチは完全には倒れない。
むしろ魔力を吸い上げ、さらに巨大な影を呼び寄せようとしていた。
「まだ呼ぶ気か……!」
「油断は禁物だな」アリアが構え直す。
そして――祭壇の影が揺らぎ、漆黒の鎧をまとった騎士の姿が浮かび上がる。
「……影の騎士長……!」オリビエが息を呑む。
次なる最終戦が、いま幕を開ける。
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次回予告
第十六階層編 第7話:魔王殺しの魔剣
ヨハネスが伝説の魔剣を振るい、影の騎士長との決戦へ――!




