幕間 冬の交流 ― 年越し支度と雪遊び
年越しの支度
冬の半ば、魔境の広場は慌ただしくなっていた。
「帳簿の整理は僕がやるから! 皆は雪かき!」
ピピが声を張り上げ、子どもたちは笑いながら雪をどけていく。
バロスは薪を積み上げ、
「これで年越しの大焚き火は任せろ!」
と豪快に笑う。
獣人の商人も再び訪れ、毛皮や乾燥肉を運び込んでくれた。
「互いの冬を越すためだ。今度はそちらの蜂蜜を分けてくれ」
「もちろん!」とマリーヌが笑みを浮かべ、帳を交わす。
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雪遊び
子どもたちは広場の隅で大きな雪玉を転がしていた。
「もっと大きく!」
ヨーデルが先頭に立ち、マキシが力いっぱい押す。
「おい、これ以上でかくしたら転がせねぇぞ!」
シルは半ば呆れながらも、耳を揺らして雪合戦に加わる。
「ほら、狙いを定めて……飛燕投げ!」
放たれた雪玉がマキシに命中し、子どもたちの笑い声が広がった。
フェルナは少し離れた場所で雪に模様を描き、氷の花を咲かせて見せた。
「これも雪遊びよ」
子どもたちは歓声を上げ、そのまま雪の花園を駆け回った。
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交流の輪
リマは毛布を整え、子どもたちに温かい飲み物を配る。
「冷えたら無理はしないこと。遊びも支度の一部よ」
カテリーナは獣人たちに薬草の煮汁を教え、
「冬の病に効くから、村でも試してみて」
と丁寧に伝えていた。
シャルルは全てを帳面に記し、静かに呟いた。
「学びも遊びも交易も、すべては冬を越える力だ」
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年越しの焚き火
夜。広場に大きな焚き火が組まれた。
炎の周りに人も獣人もゴブリンも輪を作り、歌声を重ねる。
オリビエが剣を杖にして立ち上がり、朗々と告げた。
「冬は闇をもたらす。だが我らは共に灯を囲んでいる。
この火を胸に、新しい年を迎えよう!」
「はい!」と声が重なり、火精霊の笑い声がぱちぱちと炎に混じった。
こうしてアリアンロッドは、笑いと灯りに包まれたまま年を越す準備を整えていった。
(幕)




