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女騎士の独り旅!  作者: 和泉發仙


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呪われたホテル、真夜中の対峙


レンとミリアの身体を乗っ取った不気味な存在に、アリアは剣を構え、警戒を強めていた。部屋の隅にある『テレビ』からは、ノイズ混じりの不気味な声が聞こえ続け、恐怖と混乱が部屋中に充満する。


「レン!ミリア!私の声が聞こえるか!」


アリアは、二人に呼びかけるが、彼らは虚ろな目でアリアを見つめるだけだ。その瞳には、いつもの輝きはなく、まるで人形のようだった。

その時、アリアの隣でうなされていたガレンが、ゆっくりと目を開けた。彼は、まだ半分眠っているようだったが、部屋の異様な空気に、すぐに状況を察した。

「おい、アリア!こいつら、どうしたんだ!?」

ガレンは、そう叫び、ベッドから飛び起きた。彼は、レンとミリアの異様な姿を見て、驚きに目を見開く。


「分からない……!何かが、レンとミリアの身体を乗っ取っている!」


アリアは、そう答え、剣をしっかりと握りしめる。

レンとミリアは、ゆっくりと、アリアとガレンに近づいてくる。その動きは、まるで、奇妙な踊りを踊っているかのようだ。


「くそっ……!ガキどもに、手出しはさせねえ!」


ガレンは、そう叫び、レンとミリアの間に、立ちはだかった。しかし、彼は、レンとミリアを傷つけることができない。


「ガレン、待って!彼らを傷つけないで!」


アリアは、そう叫び、ガレンを制止した。

その時、ルナとボリス、リリス、そして雅彦くんが、異変に気づき、部屋に飛び込んできた。

「アリア!どうしたんだ、この騒ぎは!?」

ルナは、そう叫び、部屋の中の様子を見て、驚きに目を見開く。


「ルナ!ボリス!リリス!雅彦くん!レンとミリアが……!」


アリアは、そう言って、レンとミリアの異変を、みんなに伝えた。

ルナは、レンとミリアの様子を見て、すぐに、こう言った。


「これは……!『霊魂』か『幽霊』と呼ばれる存在ね!この世界の、魔術の一種かしら……!」


ルナは、そう言って、レンとミリアに向かって、魔法を放とうとする。

「ルナ、待って!魔法は、効かないかもしれない!」

アリアは、そう叫び、ルナを制止した。

「なぜですの、アリア!?」

ルナの問いに、アリアは、こう答えた。


「これは、ただの『霊魂』や『幽霊』ではない。これは、『もののけ』だ!ミサキさんが言っていた、『うらみ』や『かなしみ』の『こころ』から生まれた、『もののけ』だ!」


アリアの言葉に、ルナは、魔法を放つのを、ためらった。

その時、リリスが、静かに、こう言った。

「この部屋には、もう一つ、何か、いる。レンとミリアを操っている、本体が……」

リリスの言葉に、アリアたちは、周囲を見回した。しかし、部屋の中には、レンとミリア以外、誰もいない。

「どこにいるんだ、リリス!?」

ガレンが、そう尋ねる。


「……分からない。でも、確かに、感じる……。この部屋の、どこかから、強い『き』のようなものを……」


リリスは、そう言って、部屋の隅にある、『テレビ』を、じっと見つめた。

「『テレビ』……!?」

アリアは、リリスの視線の先を見て、ハッとした。

『テレビ』からは、ノイズ混じりの映像が流れ続け、その中から、不気味な声が聞こえてくる。

「ヒッヒッヒ……。ようこそ……。私の、家へ……」

「これか……!この『テレビ』が、本体か!?」

ガレンは、そう叫び、戦斧を構える。


「ガレン、待って!『テレビ』を壊しても、何も解決しないかもしれない!」


アリアは、そう叫び、ガレンを制止した。

その時、ボリスが、アリアに、こう話しかけた。


「アリア!ミサキさんが言っていたことを、思い出して!『もののけ』は、『うらみ』や『かなしみ』の『こころ』から生まれるんだ!なら、その『こころ』を、癒やしてあげることができれば……!」


ボリスの言葉に、アリアは、再び、ハッとした表情を浮かべた。


「そうか……!この『もののけ』は、この『ホテル』に、強い『うらみ』や『かなしみ』を、残しているんだ!なら、その『うらみ』や『かなしみ』を、解き放ってあげれば……!」


アリアは、そう言って、レンとミリアに向かって、ゆっくりと、近づいていく。

「アリア!危険だ!」

ガレンは、そう叫び、アリアを止めようとする。

しかし、アリアは、ガレンの言葉に、耳を貸さなかった。

アリアは、レンとミリアの前に立ち、彼らの顔を、優しく撫でた。

「レン、ミリア。大丈夫。私たちは、ここにいるわ。怖いことは、何もないわ」

アリアは、そう言って、優しく微笑んだ。

アリアの言葉に、レンとミリアの、虚ろだった瞳に、微かに、光が戻ってきた。彼らは、アリアの言葉に、何かを感じ取っているようだった。


「……アリア……」


レンが、掠れた声で、アリアの名を呼んだ。

その時、部屋の隅にある『テレビ』から、不気味な声が、さらに大きくなった。


「ヒッヒッヒ……!貴様ら……!私の、邪魔をするな……!」


『テレビ』の画面が、激しく点滅し、ノイズが部屋中に響き渡る。そのノイズは、まるで、アリアたちの心を、かき乱すかのように、不快な音を立てる。

「くそっ……!しつこい奴だ!」

ガレンは、そう叫び、戦斧で、『テレビ』を、叩き壊そうとする。

「ガレン、待って!」

アリアは、そう叫び、ガレンを制止した。

「アリア!どうするんだ!?」

ガレンの問いに、アリアは、こう答えた。


「この『もののけ』は、『テレビ』の中に、いるのではないわ。この『テレビ』は、ただの『道具』よ。この『もののけ』は、この『ホテル』そのものに、潜んでいるんだわ!」


アリアの言葉に、みんなは、驚きに目を見開く。

「この『ホテル』そのもの……!?」

ルナが、そう呟く。


「このホテルは、昔、人の『うらみ』や『かなしみ』が集まる場所だったんだわ。その『うらみ』や『かなしみ』が、この『ホテル』を、『もののけ』へと、変えてしまったんだ……!」


アリアは、そう言って、部屋の窓の外を、じっと見つめた。

夜空には、満月が輝き、その光が、部屋の中に、差し込んでいる。


「この『もののけ』を、解き放つためには、この『ホテル』に、光を与えなければならない!」


アリアは、そう叫び、窓を開けた。満月の光が、部屋の中に、降り注ぐ。

満月の光を浴びたレンとミリアの身体から、黒い靄のようなものが、ゆっくりと、消えていく。彼らの顔色も、元に戻り、虚ろだった瞳に、いつもの輝きが戻ってきた。


「アリア……?」


レンは、そう言って、アリアの名を呼んだ。


「レン!ミリア!良かった……!」


アリアは、そう言って、二人の身体を、強く抱きしめた。

その時、部屋の隅にある『テレビ』から、ノイズが消え、画面に、何かの文字が、映し出された。

「……ありがとう……。もう、大丈夫……」

文字が、そう語りかけると、画面は、真っ暗になった。

こうして、アリアと仲間たちは、ホテルに潜む『もののけ』を、解き放つことができた。




- ネクロマンサーの真価 -


『テレビ』の画面が真っ暗になり、部屋の異様な空気が消え去ると、アリアは安堵の息を吐いた。レンとミリアは、すっかり元の様子に戻り、アリアの腕の中で、安心したように眠っている。

「アリア、みんな、大丈夫かい?」

ボリスが、心配そうに、アリアたちに声をかける。

「ええ、ボリス。なんとか、ね」

アリアは、そう言って、ボリスに微笑んだ。

その時、エリオットが、ゆっくりと、部屋の中央へと歩み出た。彼の顔は、どこか疲れているようだったが、その目には、強い意志が宿っている。

「アリア、この『もののけ』は、ただの『うらみ』や『かなしみ』の集合体では、なかったよ」

エリオットの言葉に、アリアたちは、顔を見合わせる。

「どういうことだ、エリオット?」


ガレンが、そう尋ねる。


「僕の『まほう』……。死者の魂を操る『まほう』で、この『ホテル』の『き』を、感じてみたんだ。この『ホテル』には、たくさんの『ひと』の『うらみ』や『かなしみ』が、残っていた。それは、まるで、僕が、普段、呼び出す『ししゃ』の『たましい』と、同じようなものだった」


エリオットは、そう言って、静かに、目を閉じた。


「しかし、その『うらみ』や『かなしみ』は、特定の『たましい』に、結びついていなかった。それは、この『ホテル』という『ばしょ』に、染み付いた、『おもい』だったんだ」


エリオットの言葉に、ルナは、真剣な表情で、頷いた。


「なるほど……。それが、『もののけ』の、正体だったのね……」


ルナは、そう呟く。


「僕は、この『もののけ』の『こころ』に、触れてみたんだ。彼らは、ただ、『やすらぎ』を、求めていた。この『ホテル』に、閉じ込められた、『うらみ』や『かなしみ』を、解き放ってほしかったんだ」


エリオットは、そう言って、部屋の隅にある、『テレビ』を、じっと見つめた。


「だから、僕は、僕の『まほう』で、彼らの『こころ』を、『やすらぎ』へと、導いてあげたんだ。僕の『まほう』は、死者の魂を、操るだけじゃない。彼らの『おもい』を、理解し、彼らを、『やすらぎ』へと、導くこともできるんだ」


エリオットは、そう言って、アリアたちに、優しく微笑んだ。

アリアは、エリオットの言葉を聞き、彼の成長に、感動を覚えた。彼は、ただの『ネクロマンサー』ではなく、死者の『こころ』を、理解し、癒やすことができる、『まほうつかい』へと、成長していたのだ。


「エリオット……。ありがとう。君のおかげで、レンとミリアも、助かったわ」


アリアは、そう言って、エリオットの頭を、優しく撫でた。

「へへ。どういたしまして、アリア」


エリオットは、照れくさそうに、頭を掻いた。

その時、ミサキさんが、部屋に入ってきた。


「皆さん、どうしましたか?何か、あったのですか?」


ミサキさんの言葉に、アリアは、ホテルに潜む『もののけ』の正体と、エリオットの活躍で、それを鎮めることができたことを、ミサキさんに、話した。

ミサキさんは、アリアの話を聞き、驚きと、感動の表情を浮かべた。


「まさか……。この『ホテル』に、そんな『もののけ』が、潜んでいたなんて……。そして、皆さんが、それを、鎮めてくださったなんて……。本当に、ありがとうございます!」

ミサキさんは、そう言って、アリアたちに、深く頭を下げた。

「いいえ。私たちは、当然のことをしただけです。この『ホテル』も、これで、安らかに、眠れるでしょう」


アリアは、そう言って、優しく微笑んだ。

旅は続く、新たな光を求めて

夜が明け、太陽が昇る頃、アリアたちは、ホテルを後にした。ホテルの外観は、まだ、古びていたが、もう、あの時の、不気味な雰囲気は、消え去っていた。


「これで、この『ホテル』も、呪いから解放されたのね……」

ルナは、そう言って、ホテルを振り返った。


「ああ。もう、あの『もののけ』も、苦しむことはないだろう」


ガレンは、静かに頷いた。


「エリオット、君の『まほう』は、本当に、すごいね!」

レンが、エリオットに、そう言って、目を輝かせる。


「うん!エリオット、ありがとう!」


ミリアも、エリオットに、感謝の言葉を述べた。


「へへ。どういたしまして」


エリオットは、照れくさそうに、笑った。

ミサキさんは、アリアたちを、次の目的地へと、案内してくれた。彼らは、熊本での旅を続け、この地の歴史や文化、そして、人々の暮らしに、触れていく。

アリアたちは、この日本という異世界で、様々な経験を重ね、それぞれの『こころ』を、成長させていく。彼らの旅は、まだ始まったばかり。この日本という国で、彼らを待つのは、一体、どんな出会いと、どんな冒険なのだろうか。


次回、アリアたちは、熊本での旅をさらに深め、新たな発見と出会いを経験します。そして、ルナの興味を引く、日本の『妖怪』の地へと向かうかもしれません。



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