旅の始まり、新たな夢
雅彦との出会いから、数日が経った。彼の顔には、以前のような絶望の影はなく、少しずつだが、笑顔が増えてきていた。アリアと仲間たちは、そんな彼の様子を見て、安堵の気持ちを抱いていた。
その日の夕食後、みんなでリビングに集まり、テレビという名の魔法の箱を見ていた。テレビには、日本の美しい風景を巡る旅番組が映し出されている。北の雪深い山々から、南の透き通るような海まで、見たこともない絶景が次々と画面に現れた。
「アリア、見て!この『お城』、すごく大きいよ!」
レンが、テレビに映る古城を指差して、興奮したように叫ぶ。
「うん、レン。本当に、すごいお城だね」
アリアも、その壮大な姿に、目を奪われていた。故郷の王城にも劣らない、いや、それ以上に美しく、神秘的な雰囲気を醸し出している。
「おい、アリア!この、赤い『鳥居』ってのは、なんだ!?」
ガレンが、テレビに映る、赤い鳥居を見て、首を傾げる。
「あれは、『神社』という場所の入り口らしいわ。神様を祀っている場所だと、おばあちゃんが教えてくれたわ」
アリアが、そう答えると、ガレンは、興味深そうに、テレビを覗き込む。
その時、画面が切り替わり、日本の美しい海が映し出された。透き通るような青い海と、白い砂浜。
「うわぁ……!きれい……!」
ミリアが、感動したように、そう呟く。
「まるで、天国みたいだね……」
ルナも、その美しさに、心を奪われていた。
アリアは、テレビに映る、日本の様々な景色を見て、あることを、思いついた。
「ねえ、みんな。この日本という国を、もっと、見てみたくない?」
アリアの言葉に、みんなは、顔を見合わせる。
「え?どういうこと、アリア?」
エリオットが、そう尋ねる。
「私たち、せっかく、この世界に来たんだから、この国を、この目で見てみたいの。日本一周、っていう旅を、してみたいわ」
アリアの言葉に、レンとミリアは、目をキラキラと輝かせる。
「えー!日本一周!したい!したい!」
レンとミリアは、そう言って、アリアに抱きつく。
「日本一周か……。面白そうじゃないか!」
ガレンは、そう言って、拳を握りしめる。
「ふん。まあ、悪くないな」
リリスは、そう言って、ニヤリと笑った。
「旅か……。また、みんなと、旅ができるんだね……!」
ボリスは、そう言って、嬉しそうに、目を潤ませる。
「アリア、いい考えだわ!この世界の魔法や文化を、もっと知りたいわ!」
ルナも、アリアの言葉に、賛同する。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん、僕も、一緒に行きたい!」
雅彦が、そう言って、アリアたちの顔を見つめる。
雅彦の言葉に、アリアは、驚きに目を見開いた。
「雅彦くん……?」
「僕も、みんなと、一緒に、色々な景色を見てみたいんだ!」
雅彦は、そう言って、アリアたちに、そう訴える。
「雅彦くん……。ありがとう。もちろん、一緒に、行こう!」
アリアは、そう言って、雅彦の手を、強く握りしめた。
その時、おばあちゃんが、リビングに入ってきた。
「あらあら、みんな、楽しそうだね。何か、面白いことでも、あったのかい?」
おばあちゃんの言葉に、アリアは、こう話しかけた。
「おばあちゃん。私たち、この日本という国を、一周する旅に、出たいんです!」
アリアの言葉に、おばあちゃんは、少し驚いた表情を浮かべたが、すぐに、優しく微笑んだ。
「そうかい。それは、いい考えだね。せっかく、この国に来たんだから、色々な景色を見て、色々な人に出会って、色々なものを、食べてくるといい」
おばあちゃんの言葉に、アリアたちは、嬉しそうに、顔を見合わせた。
「でも、おばあちゃん。お金とか、どうするんだい?」
ガレンが、不安そうに、そう尋ねる。
「それは、心配しなくていいよ。私の、お知り合いに、旅行関係のお仕事をしている人がいるから、その人に、相談してみるさ」
おばあちゃんは、そう言って、携帯電話という名の、魔法の板を手に取った。
その日の夜、アリアたちは、日本一周の旅について、話し合った。
「僕は、この、細長い麺、『ラーメン』を、本場で、たくさん食べてみたい!」
レンが、そう言って、目を輝かせる。
「私は、この、『お寿司』というものを、食べてみたいわ!魚を生で食べるなんて、信じられない!」
ミリアも、そう言って、興奮気味に、話す。
「俺は、この国にある、剣術の流派を、見てみたい!俺の斧術と、どっちが強いか、勝負してみたいぜ!」
ガレンは、そう言って、拳を握りしめる。
「私は、この国の、美しい自然を、この目で、見てみたいわ。特に、北にある、雪深い山々に、興味があるわ」
リリスは、静かにそう呟いた。
「私は、この国の、魔法について、知りたいわ。この国の、魔法は、私たちの世界の魔法とは、全く違う。この違いを、探ってみたいわ」
ルナは、そう言って、目を輝かせる。
「僕は、この国の、歴史について、知りたいな。この国には、たくさんの、古い建物や、遺跡があるみたいだから」
ボリスは、そう言って、目を輝かせる。
「僕は、みんなと、一緒に、旅ができるのが、嬉しいな……」
雅彦は、そう言って、恥ずかしそうに、顔を赤らめた。
アリアは、そんな仲間たちの様子を見て、嬉しそうに、微笑む。
「みんな、ありがとう。この旅は、きっと、私たちにとって、大切な旅になるわ」
アリアは、そう言って、みんなの顔を、一人ひとり、見つめた。
こうして、女騎士アリアと仲間たちは、日本の田舎で、新たな旅の始まりを、迎えることになった。
この続きは、次回の物語で描かせていただきます。




