警察署での取り調べ
白と黒の鉄の箱から降ろされ、アリアたちは、薄暗い建物の中に連れて行かれた。そこは、様々な、奇妙な道具で溢れており、金属の扉や、壁には、無数の小さな窓がある。
「ここが、彼らの『牢獄』という場所なのか……?」
ガレンは、そう呟き、周囲を警戒する。
「まさか、私たちが、こんな場所に……」
ルナは、絶望的な表情を浮かべた。
アリアは、奇妙な椅子に座らされ、目の前に座った男に、何かを尋ねられた。しかし、男が話す言葉は、アリアには、全く理解できない。
「あなたの名前は?どこから来た?仲間は、どこだ?」
男は、そう言って、アリアの顔を、じっと見つめる。
「私は、アリア。この国の、王都を目指して、旅をしていました。あなたは、何者ですか?」
アリアは、そう答えるが、男は、首を横に振る。
「おいおい、日本語、英語、全然通じねえじゃねーかよ!!……困ったもんだ……」
男は、そう言って、頭を掻く。
その時、別の男が、アリアの前に、紙を差し出した。紙には、アリアの似顔絵が描かれており、その横には、奇妙な文字が書かれている。
「これ、お前か?何やってたんだ?」
男は、そう言って、アリアを指差す。
アリアは、紙に描かれた、自分の似顔絵を見て、驚きに目を見開いた。
「な、なぜ、私の姿が、こんなところに……?これも、彼らの魔法なのか……?」
アリアは、そう呟き、警戒心を強めた。
警察官たちは、アリアに、様々なことを尋ねるが、言葉が通じないため、取り調べは、一向に進まない。
「どうするんだ、こいつら……。日本語、全く、通じねえし、身分証明書も持ってねえ……」
「コスプレの連中だろ?何か、イベントでも、あったんじゃないのか?」
「いや、どう見ても、イベント帰りじゃねえだろ。この剣、本物みてえだし……」
警察官たちは、アリアたちのことを、怪しみ、困惑していた。
その時、一人の警察官が、アリアたちの様子を見て、あることを、思いついた。
「俺の、田舎に、知り合いがいるんだ。そこで、こいつらを、預かってもらって、面倒を見てもらっちゃ、どうだ?」
男は、そう言って、同僚に、そう提案する。
「はあ?なんで、そんなこと、しなきゃいけねえんだよ!?」
「いや、でも、このまま、ここにいても、何も進展しねえだろ。それに、こいつら、別に、悪い奴らじゃなさそうだろ?」
男は、そう言って、アリアたちの顔を、じっと見つめる。
アリアは、男たちの言葉が、理解できなかったが、彼らの、優しい眼差しに、何か、安心感を覚えた。
仲間との再会、そして未知なる乗り物
アリアは、取り調べを終え、奇妙な建物の中を、歩いていた。その時、アリアの耳に、聞き慣れた声が、聞こえてきた。
「アリア!どこだ、アリア!」
それは、ガレンの声だった。
獣人だったガレンは人間の男性になっていた???
コレは一体……!!!??
「ガレン!みんな!」
アリアは、そう叫び、声のする方へと、走り出した。
アリアがたどり着いた部屋には、ガレンとリリス、ボリスとルナ、そして、レンとミリアが、座っていた。
ルナも頭にあったツノ、背中の羽がなくなり、人間の少女になっていた。
「アリア!よかった、無事だったのね!」
ルナは、そう言って、アリアの身体を、強く抱きしめる。
「みんなも、無事で、よかったわ……」
アリアは、涙を流しながら、そう言った。
その時、先ほどの警察官が、部屋の中に入ってきた。
「よう。お前たち、よかったな。これから、俺の知り合いのところに、連れて行ってやるからな」
男は、そう言って、アリアたちに、そう告げる。
アリアたちは、男の言葉に、首を傾げる。
「え?どういうことだ?」
ガレンは、男に、そう尋ねる。
「まあ、いいから、ついて来いって。な?日本語、わかんねーか?」
男は、そう言って、アリアたちを、外へと、案内した。
外には、先ほど、アリアたちが乗せられた、赤い鉄の箱が、止まっていた。しかし、今回は、それに加えて、白い鉄の箱が、一台、止まっている。
「さあ、乗ってくれ」
男は、そう言って、白い鉄の箱の扉を、開けた。
アリアたちは、男の言葉に、従い、白い鉄の箱の中へと、乗り込んだ。
「うわぁ!なんだ、この椅子は!?」
レンは、奇妙な椅子に座り、驚きの声を上げる。
「本当に、不思議な乗り物だね……」
ミリアも、そう言って、椅子を、そっと撫でる。
「まあ、ゆっくりしていってくれ。これから、長い旅になるからな」
男は、そう言って、運転席に座った。
鉄の箱は、奇妙な音を立てて、走り出した。
「な、なんだ、この速さは……!?」
ガレンは、窓の外を流れる景色を見て、驚きに目を見開く。
「まるで、風のように、速いわ……」
リリスは、静かにそう呟いた。
「すごい……!すごいよ、アリア!」
レンとミリアは、窓の外の景色を見て、目を輝かせる。
アリアは、窓の外に広がる、奇妙な世界を、見つめていた。そこには、無数の、巨大な建物が、天を突き、夜空には、無数の光が、輝いている。
「本当に……。ここは、ユカが、住んでいた世界なのか……」
アリアは、そう呟き、感動に、胸を震わせる。
高速道路の夜景と、初めての食事
白い鉄の箱は、黒い、平らな道を、猛スピードで、走り続けた。その道には、アリアたちの乗っている鉄の箱と同じように、無数の、鉄の箱が、走っている。
「なんだ、この道は……。まるで、空を、飛んでいるかのようだ……」
ボリスは、そう言って、窓の外を見つめる。
「これも、彼らの魔法なのか……?」
ルナは、静かにそう呟いた。
その時、アリアたちの乗っている鉄の箱が、奇妙な建物の中に、入っていった。建物の中は、明るく、無数の人々が、行き交っている。
「ここが、『サービスエリア』だ。ここで、休憩を取るぞ」
男は、そう言って、アリアたちを、鉄の箱から、降ろした。
「わあ!なんだ、この場所は!」
レンとミリアは、建物の広さに、驚きの声を上げる。
「ここが、彼らの、『宿屋』なのか……?」
ガレンは、そう言って、周囲を警戒する。
男は、アリアたちを、奇妙な建物の中へと、案内した。建物の中には、様々な、食べ物が、並んでいる。
「腹減っただろ?なんか、好きなもん、食ってくれ」
男は、そう言って、アリアたちに、金を渡した。
アリアたちは、男の言葉に、首を傾げる。
「お金を、もらうのですか?食べ物を買うために?」
アリアは、そう尋ねるが、男は、首を横に振る。
「まあ、いいから、食ってくれ。俺が、奢ってやるから」
男は、そう言って、アリアたちに、お金を、押し付けた。
アリアたちは、男の言葉に、従い、食べ物を、選ぶことにした。
「なんだ、この、丸い、パンは……?」
ガレンは、奇妙な、丸いパンを見て、首を傾げる。
「これは、『ドーナツ』っていうんだ。美味しいぞ」
男は、そう言って、ガレンに、ドーナツを、渡した。
ガレンは、ドーナツを一口食べると、驚きに目を見開いた。
「な、なんだ、これは!?甘くて、美味しい……!」
ガレンは、そう言って、ドーナツを、あっという間に、平らげてしまった。
アリアは、奇妙な、白い、丸い食べ物を選んだ。それは、『おにぎり』というものだった。
アリアは、おにぎりを一口食べると、涙を流した。
「美味しい……!こんなに美味しい、食べ物、初めて食べたわ……」
アリアは、そう言って、おにぎりを、大切に食べた。
こうして、アリアと仲間たちは、初めての、日本の食事を、楽しんだ。
その後、彼らは、再び、白い鉄の箱に乗り込み、田舎へと向かう旅を、続けた。
彼らを待つ、日本の田舎で、一体、何が起こるのだろうか。




