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テーマ詩集:世界

あたしの天地創造いちにちめ

作者: 歌川 詩季

 まずはこれ!

 あたしが神さまになって 天地創造いちにちめ

 責任重大だぞって はりきったあたしは

「まずは猫()れ」って

 なんにもない世界に ありとあらゆる猫を降らせた


 ヤマネコからネコマタまで

 それはもう ありとあらゆる猫が降ってくるなんて

 このうえなく すてきな光景だったけど

 あたしは まず

 さいしょに猫を降らせちゃったもんだから

 このなんにもない世界で

 着地する地面もない猫たちは

 まだ暗闇すらなくて 奈落でもない

 だけどきっと したのほうへ あたしの目のまえを

 どこまでも どこまでも おちていった


 ウミネコくらいは

 飛んで助かるかなって 思ってたけど

 この世界には まだ空もないから

 ほんとはソラネコなウミネコたちも

 空がないんじゃ 飛べやしないって

 やっぱりあたしの目のまえを

 どこまでも どこまでも おちていった



 やばい! このままじゃ 猫たちが燃えあがって

 この世界 さいしょの流星群になってしまう

 あたしはあわてて でっかいハンモックをつくって

 猫たちをぜんぶうけとめてあげたけど

 ハンモックをひっかけるところまでは

 まだ つくってなかったんで

 猫たちの重さにたえきれなくなったハンモックは

 うけとめた猫たちごと やっぱりあたしの目のまえを

 どこまでも どこまでも おちていった



 ここで

 神さまになったあたしは

 ひとつ だいじなことを学んだんだ


 そっか

 たいせつなものを たいせつにするためには

 たいせつなものだけ あってもだめで

 たいせつなものを たいせつにするための

 いろんなものが なきゃいけないんだね


 それに気づいたあたしは

 おいしい猫缶と ふわふわのクッションと

 うにゃうにゃのねこじゃらしを たくさん用意して

 爪とぎ板があちこちについた

 でっかい 猫用アスレチックを建てといた


 これで足りるかな?

 まだきっと なんか足りないな

 なにが足りないのかまでは ちょっとわかんないけど

 足りないのだけはわかる


 はやく準備しなくちゃ!

 こうしているあいだにも 猫たちは

 どこまでも どこまでも おちている


 あせりそうになった 神さまのあたしだけど

 ひとつ 深呼吸


 だいじょうぶ

 猫たちがゆっくりおちるように

 ハンモックにはパラシュートをつけといたし

 かんがえてみたら まだこの世界には

 炎も 星空さえもないんだよ それなら

 猫たちが燃えあがって 流星群になる心配もない



 だから 猫たち! もうちょっと待っててね

 ぜったい あんたたちをむかえにいくから

 なんの準備もなしに

「まずは猫()れ」しちゃったあたしは

 だめな神さまだけれど

 たいせつなものを たいせつにするためには

 いろんなものが なきゃいけないってことを

 ちゃんと 学べたからさ

 それだけでも あたしは

 神さまになってよかったって思ってる


 だから 猫たち! もうちょっと待っててね

 さいしょにあんたたちがうまれた この世界で

 あたしは あんたたちを たいせつにできる

 そんな 天地創造を成し遂げてみせるよ



 ひとつ学んで ひとつ賢くなったあたしは

 きっと すばらしい神さまになることだろうって

 このとき あたしは確信したし


 猫たちも たぶん (うなず)いてくれることだろうと思う

 私も、同じことやりそう(汗)

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― 新着の感想 ―
[良い点] すごい!! いろいろすごいです。 あたし、すごいです。 [一言] 思わず、猫たちを救う方法考えこんでしまいました。 順番も気をつけないと、とか。 ありがとうございました。
[気になる点] 大切にするものは大切にするには様々なものが必要とはまさにその通りですね。 大事なことを学びました。
[良い点] たいせつなものを たいせつにするためには たいせつなものだけ あってもだめで たいせつなものを たいせつにするための いろんなものが なきゃいけないんだね というところが、胸に響きました…
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