表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

なろうラジオ大賞4

天才だけどHPが1しかない賢者

掲載日:2022/12/18

 これはとある勇者と仲間たちの物語。


 彼の仲間には賢者がいた。

 古今東西に存在するどんな流派の魔法も使いこなす天才であった。


 大量の魔物が押し寄せてきた時も、範囲攻撃の強力な魔法で全て殲滅。

 まさに最強であった。


 でもそんな賢者には問題が一つ。

 HPが1しかないのだ。


「おはよーぁっ! いたっ!」


 寝ぼけて箪笥の角に小指をぶつける賢者。

 ――死亡。


「この料理おいしーね! あっ、痛い!」


 食べていた魚の骨がのどに刺さる。

 ――死亡。


「なんだか雨がふりそ……つめたっ!」


 急に冷たい雨が額に落ちて――死亡。


「やべぇ……深酒した……頭がいた……死ぬ」


 二日酔いで死亡。


「お腹空いたなぁ、死ぬ」


 空腹で死亡。


「寂しい、死ぬ」


 寂しくて死亡。



 死亡、死亡、死亡。


 死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ。


 死――――



「うがああああああああああああああああ!」


 あまりの死にっぷりに勇者のメンタルが限界に達した。


「もうこんな奴と一緒に旅するの嫌だアアアアアアアアア!」

「旅なんてしてないだろ。

 死体を運んでるだけだぞ」


 仲間の戦士が言った。


「嫌なら墓場に埋めて放置しようぜ。

 代わりの魔法使いをパーティーに入れればいいだろ」

「うーん……でもぉ」


 勇者が悩んでいるのには理由があった。


 賢者ほどの力を持った魔法の使い手は他にいない。

 なんなら、世界最強と言ってもいいだろう。


 正直、手放すのは惜しい。


「よし、いいことを思いついたぞ」


 棺桶を見つめる勇者。

 妙案が思い浮かんだのだ。








「くくく……よく来た――おい」


 勇者たちが目の前に現れるなり、困惑した表情を浮かべる魔王。


「どうした?」

「その……卒業写真の集合写真に写れなかった人みたいに、

 お前たちの後ろに浮かんでいる人の顔はなんだ⁉」

「これは賢者だ」


 勇者は真顔で答える。


「は? 賢者?」

「コイツHPゼロだから、

 魔王城なんて過酷な環境に耐えられるはずないし。

 だからリモートでの参加になった」

「そうか」


 魔法で空間に穴を開けて、離れた場所から戦いに参加しているのだ。

 すごい。


「くくく、覚悟しろ魔王!」

「ああんっ!」


 変な声を出す賢者。


「なんだ⁉ どうした⁉」

「猫が膝の上にのってきて……ああっ!

 こんな状況で甘噛みしないで!

 ――あっ」


 猫に甘噛みされて死!


「…………」

「……で、どうすんの?」


 魔王に尋ねられ、勇者は気まずそうに答える。


「また今度、出直してきます」

「逃がすはずないだろ、いい加減にしろ」


 だいまおうからは、にげられない!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 最後までポンコツな賢者でした。面白かったです。 [一言] 読ませて頂き有難うございました。
[一言] リモート賢者という発想は無かったです! あまがみ強しww
[良い点] 賢者〜!! まさかの猫の甘噛で!? リモート参加に卒業写真の例え、面白かったです(≧▽≦)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ