事件
「「おーい!!亜美ちゃーん!!!!」」
私を呼ぶ大人たちの声。
時刻は20時を回った頃だろうか?
小学三年生の女の子が居なくなったものだから
団地組だけじゃなく村総出で私のことを探している。
赤いランプがチカチカしているのが見える。
(パトカーだ...)
警察までもが私のことを探していたのに気付き
私は息を潜めて神社の本殿の下で身を隠していた。
-数時間前-
学校が終わり家に帰るといつものように
母が用意してくれていたおやつを食べる。
自営業で家の一部を仕事場にしていた我が家だが
両親は外に出ていることが多く、夕方まではパートさん達しか居ない。
パートに来ている人達の中には同じ村に住んでいる奥さんや
母の友人などが居て私や弟のことを可愛がってくれていた。
パートさん達はよく私にお菓子をくれた。
ご飯よりお菓子が好きだった私は
よくお菓子ばかり食べていたので晩ご飯が食べれなくなる、と母に1日分のおやつを制限されていた。
日頃から団地の人やパートさんからなにか貰ったら
お母さんに伝えてと言われていたのだが
決められた量以上のお菓子は食べさせて貰えないため
少しずつ貰ったことを黙って食べるようになった。
その度にバレて怒られていたのに懲りない私。
その上、貰ってないと嘘をつきまたバレて怒られる。
そしてある日、母が激怒して
私を家から追い出したのだった。