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愛しい君を僕の手で閉じ込める。

作者: 七瀬







私は、“籠の鳥”になってしまった。

ある男が、私を拉致して男の家に閉じ込めてしまったからだ。




・・・ある日のこと。

私は、彼と喧嘩して彼の家を飛び出した。

私を心配して、彼が私を追ってきてくれると思ったが追って来ない。

その代り、黒い乗用車の車がゆっくりと私の後を着けている。

私は、その車に気づいて直ぐに走って逃げようとしたが。

運転席から男が出てきて、私を捕まえてトランクに放り込んだ。

車は私を乗せて、1時間ほど走った所で止まった。

運転席から男が出てきて、私にこう言う。



『今日からここが、お前の家だ!』

『・・・・・・』





そこは、人気のない廃墟だった。

私が大きな声を出して、助けを呼んでも誰の耳にも届かない場所。

男は、私にビンタして黙らせた。



『うるさい! どんなにお前が助けを呼んでも誰も助けに来るもんか!

ここは、誰も来ない廃墟なんだ!』

『・・・・・・』

『お前は、一生! ここで暮らすんだ!』

『・・・お、お願い助けて! 何でも言う事を聞くから! だから、

ねえ? お願い、助けて!』

『ダメだ! お前は、ずっとここに居るんだ!』

『・・・・・・』





 *




・・・その頃。

私を心配した彼が、必死で私を探し回ってくれていた。

私の携帯に、何度も彼から電話があった。




『ミナ、悪かったよ! 俺が悪かった。 だから帰って来てくれ。』

『なんで? 電話に出ないんだよ。まだ、怒ってるのか? 何度で

も謝るから、早く! 帰ってこい。』

『・・・ミナ、どうしたんだよ! 何か事件に巻き込まれたのか?』

『・・・おい、ミナ、返事をしろよ!』




彼からの留守電が、何度も入っている。

男は、既に私が携帯を持っている事を知って彼からの留守電を聞いていた。



・・・そして、この廃墟に来て3日後。

男が私の携帯電話から、嘘のLINEを一斉に送った。




『よし! これでいい!』

『・・・・・・』

『お前も、俺がどんな内容の文章を作ったのか見たいだろう。』

『えぇ!?』

『教えてやるよ、これが! 俺が作った内容の文章だ!』

『・・・・・・』




【ごめん連絡できなくて、私ね! やりたい事ができたの!

だから、当分の間は私を探さないで! 帰ったら連絡するから

私のワガママを許してください。】





 *




男の作った文章を私の彼にも送ると? 納得したのか。

あれから、LINEや留守電にメッセージが入ってくる

事はなくなった。

用済みになった私の携帯を男が靴で踏みつけて壊した。




その後、男は3食の食事を私に与えてくれた。

粗末な食事でも、食べられないよりはマシだ。

私は、一生! ここで監禁されるのかと思うと吐き気がした。

廃墟になったこの場所は? 確かに、あの男が言ったように

人が来ないような場所だ。

あちこち錆びれて、雑草が私の背よりも高く伸びていた。

もし? この辺を人が通ったとしても、誰もこの中に人が居る

とは思わないだろう。

私は、絶望に押しつぶされそうだった。

ほんの僅かな望みもないのか?

そんな時だった、パトカーのサイレンの音が遠くから聞こえる。

男は、私の口にガムテープを張り付けた。



『とにかく、静かにしろ! パトカーが通り過ぎるまで話すな!』

『・・・・・・』






でも、数台のパトカーは、この廃墟付近で止まったらしい。

【どうして?】と私が思っていると、、、。

男が、私を人質にパトカーがいる所まで出て行った。



『その女性を解放しろ!』

『・・・何故? この場所が分かった!』

『携帯だよ! 彼女の携帯にGPS位置情報が出たからだ!』

『・・・あの携帯か? でも、オレが壊したはずだが、』

『それでも、彼女の携帯のGPSは動いていたんだよ。』

『・・・そ、そんな、』

『彼女を離せ! お前の要望は聞く!』

『“オレの要望?” オレは静かにこの女と一生! ココで

暮らしたいだけだ!』

『彼女は、それを望んでいない!』

『何故? お前たち警察が分かるんだ!』

『彼女には、愛する彼がいるからだ!』

『“彼?”』

『彼女の彼が、警察にここに彼女がいる情報をくれたんだよ』

『コイツは、もうその男の事を好きでも何でもないと言ってるんだ!』

『“嘘よ” 全部、嘘に決まってるでしょ!』

『・・・えぇ!?』

『彼女を離せ! 大丈夫、無事に貴女を助けますよ。』

『・・・ははい。』





一人の警官が、男の隙を見て! 銃を男に向けて発砲した。



【バーン】



『男を確保しろ!』

【ハイ!】








・・・私は、無事に助かった。

私が、助かったのは? 【彼のおかげだ】警察のおかげだ。

私の両親や兄も心配してくれていた。

私は、泣きながら彼に抱きついた。



『・・・良かった、無事で。』

『ううん。』





 *




捕まった男は? 私の事を何でも知っていた。

何処かで、私を見つけて勝手に好きになったらしい。

男の部屋には、私の写真がたくさん貼られていたらしい。

まさかね? 【アノ男は、私のストーカー】だったなんてね。





最後までお読みいただきありがとうございます。

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