第四十一話 ここで
一夜明け、朝食をとってゆっくりと過ごした後、俺達は闘技場へ。
「おー、これだけ広ければ少々のことでは壊れないな」
「そうなんですよ。闘技場って広ければ広いほどいいと思うんですよ。持論ですが」
「ふむふむ」
(おい、彼女がゴッドハンドって話だ)
(あんな可愛らしい子が? 嘘だろ)
朝だけど結構人がいるな。見せつけるには丁度いいか。
空いてる場所に移動。俺とミラ、ファーンとエマプラス聖獣がそれぞれ対戦。
「始めようか」
「はい」
試合開始。
「魔法拳、雷光走法。からの土円掌底」
一気に距離を詰め、手の周りに土を固め面積が広くなった状態で掌底を放つ。なるほど、攻防一体の攻撃だ、マッハジャブ対策かな。反対の手は防御に徹している、スティンガー警戒か。
俺は掌底をかわし懐へ。
(さすがタイカンさん、しかし近づきすぎ、そこからでは高威力の打撃技を放て無いはず、となると次は投げ技か)
ムエタイを教えてもらった師匠の言葉を思い出していた。
「キス出来るくらいの距離からでも放てる必殺技、それが肘だ」
彼女にアッパー気味の肘を放つ。彼女は驚いた顔をしたがすぐ反応、手で受けながら後方へ飛ぶ。衝撃を殺した感じだ。腕を上げたな。
「ふぅ、そうか、肘か」
「なかなかそこまで接近する機会はないがな」
その後30分ほど戦った。
(おい、あそこの戦いやべーな)
(ああ、ゴッドハンドてのは本当のようだな)
よしよし、狙い通り。戦いながらヒソヒソ話しを拾いながら一人納得していた。
(つーか、あの男、終始押してねえか?)
(もしや、ゴッドハンド以上か?)
あ、そっちは狙ってない。よし、一演技するか。戦いながら接近したときに、俺がわざと「負ける」ことをミラに伝えた。
(了解しました)
「魔法拳、跳ね雷蹴り」
中段蹴りと見せかけて途中軌道が変わってハイキックになる蹴りか。
「グワッ!」
彼女の攻撃をくらい、派手に吹き飛ぶ俺。
(いや、やっぱゴッドハンドのほうが強いか)
(ぽいな)
誘導成功かな。
「ここまでにしましょう」
「この後どうしようかな」
「街の外をまわってみようか。新鮮な草や虫がいるところを探しておこう」
「それもそうね」
闘技場から出る。街からも出て散歩をする。
「いい感じに草がもっさり生えてるところがありましたね」
「虫もいっぱいいそうだな」
「フォス! ムシャムシャ」
「たまにここへ連れてきてやろう」
家に帰って昼食。
「いい汗かいてご飯が美味しい」
「ホントね」
「フフフ」
「どうしたエマ?」
「いや、いろいろあったなと」
「そうか」
確かに色々あったな。
「これからもよろしくね、タイカン」
「ああ」
俺は満面の笑みを彼女に返した。




