第三十八話 革命
民衆が集まる広場。兵達が王にすり替わった俺を捕らえ、ここへ連れてきていた。
そこにはギロチンが置かれている。
「皆さん! これからは新しい時代が始まります! そのため今こそ因縁を断ち切るときです!」
ギロチンの刃が徐々に上へあがっていく。
「そうだ!」
「古い態勢は破壊せよ!」
「これより清めた水の中に王を入れ体と魂を洗浄する!」
王子がギロチン前に作られたプールに俺を突き落とす。
「ひっ! ザブン」
「バッシャバッシャ!」
プールの中で溺れているように暴れる俺。
ここで転送魔法発動。首から下は全裸にし、魔法陣を首元まで通す。首元の魔法陣は首くらいのサイズまで小さくする。そしてファーンが俺の頭を用意してあった人形に乗せた。
(よし、うまくいった)
「バッシャーン」
兵達は俺を引き上げた。
「清めは終わった! いよいよだ!」
ダランと力を失ったように見える俺を無理やりギロチン台へ。
「いいぞー!」
「やれー!」
「ひっやめ、やめてくれー!」
叫び散らす俺。
「さらば、王よ!」
ギロチンをくくりつけてあった紐を剣で切る王子。瞬間ギロチンが落ち俺の首は飛んだ。
「これからは私、エズラが王となって皆さんを導きます!」
「うおーー!!」
「エズラ王!」
「新王エズラ!」
首が落ちた先は部屋のようになっていて、ミラとファーンがそこでスタンバっていた。
「体をこちらへ持ってきました」
「ありがとう」
「うまくいったようですね」
「先程まで話をしていた人間の首が切断され、下に落ちたんだ。裏を知らない人が見たら王は死んだと思うだろうね」
「ああ、我ながら迫真の演技だったと思う」
やはりやられ役の血が濃いのだろうか。前に300人の精鋭を倒したときよりも充実感を感じていた。ごめんね母さん!
「王様はどこに?」
「すでに国外だとか」
「なるほど」
「王様は非常に喜んでいたって話だ。やっと楽になるってね。早く殺してでも楽にしてもらいたかったとも言っていたらしい」
「自分でも向かないとは感じていたんだろうな」
「責任は感じていたが力が足りなかったってところかな」
「国を治めるのは大変なんですね」
「だな」
着替えてキャンプ場へ。次の日情報屋が報酬を持ってキャンプ場へ。
「おう、待たせたな。こいつが報酬だ」
「こんなに貰えるのか」
「王子はホント悩んでいたんだ。身代わりも考えていたんだけどそれはやはりできない、と王殺しは難航していたんだと。そういった分もいれたんじゃないかな」
「そっか」
「じゃあよ」
情報屋は手を振って帰っていった。
それから一週間後、検問所に到着。そこを抜け更に一週間、いつもの情報収集。街のギルドへ。
「ここいらは平和なもんだ」
特に問題なさそうだな。後はと、ちらっと依頼掲示板でも見るか。
「ふむふむ。掲示板もいたってへい‥‥」
見覚えのある名前を見かけた。
「ま、まさか‥‥」
前にエマから貰ったメモを見て確認。
「間違いない。エマおいしい肉ランキング第7位、『サートゥンキラー』だ」
一旦深呼吸。それでも震える手でサートゥンキラー討伐の依頼書を受付へ。
「え、あ、はい」
「あ、申し訳ないんですが、ランクが足りていません」
むぐっ、仕方ない。情報屋だ。探しだし話を聞く。
「いいぜ。ただ結構人気なんだ、ちょいと値が張るよ」
「かまわん」
言い値を出し情報を聞いてすぐに現場へ直行。
大きな豚のような見た目の魔獣がそこに居た。こいつだな。
即倒しキャンプ場へ持っていった。
「エマ、いい肉をゲットしたぞ」
「いいわね、サートゥンキラー。美味しいわよ」
「そ、そうか」
コイツもなかなかデカイ。ランページのときと同じように干し肉と燻製を作ることにした。
そしてその日の夕方。
「出来たわよ」
これはトンカツだな。それにしてもいい匂いだ。
「はい、タイカン」
「ありがとう」
来たか。いやしかし落ち着け。期待しすぎたってのはたまにある。エマのことは信用しているが個人差というものはある。そう、期待しすぎて微妙だった時、微妙そうな顔をして食べるのは避けたい。そうだ、とにかく落ち着いて冷静に。
「サクっ」
うまーーーい! 解説不能!!
「(NEW WORLD RECORD!)パクパクゴックン」
その後は無言でトンカツを5枚ほど平らげた。
次の日の夕食。
「ほら、タイカンが前に言っていたカツ麺よ」
「いいね、これうまかったんだ」
今回はさらにエマランク7位の肉。まあ、うまいだろうな。
「ふむ、パクリ、サクッ」
「(NEW WORLD RECORD!)こ、これは!?」
ば、馬鹿な。卵で閉じる時どうしてもカツの衣はヘタってしまうはず。これは一体。
「卵部分を後乗せにしてみたのよ。そうすればサックリ感も楽しめるでしょ?」
「(NEW REVOLUTION!)うまい!」
その後は無言でカツ麺を7杯食べた。




