第三十七話 王様役
3日後、検問所に到着。特に問題なく通過。それから4日後、いつものように近くにある街で情報収集をすることに。今回は俺一人。
街に到着。お城があるな、となるとここは王都か。それにしても寂れている。人は住んでいるが壊れかけの家が多い。痩せた子供が多く、浮浪者が結構いる。
「昔は栄えていたとかそんな感じなのかな?」
とりあえずギルドで情報を聞くことにした。
「どうだ、寂れていただろう? 王の政治が悪いからさ」
「王ですか」
「何かをやろうとすれば失敗し浪費癖もある王でね。国民は困っているわけさ」
「ただ希望がないわけじゃない。王子がいてね。エズラ王子っていうんだけど」
「そのエズラ王子がもうじき王殺しをしてくれるんじゃないかと皆期待しているところさ」
「王殺しですか」
「そうだ。王子は優秀な人間って話だ」
うーん。穏やかじゃないな。トラブルが起きそうだしもう少し情報が欲しいところか。
情報屋を探しだし話を聞いた。
「ああ、近く決行予定だったが、王子が迷ってしまったようでね」
「自分の父親だからか」
「そうだ。王子から見ればむしろよい父だったらしい。しかし国民感情はギロチンで首を吹っ飛ばすくらいしないと収まらないだろうな」
「政治の失敗で国の疲弊はとんでもないことになっているからな。街を見たろ?」
「ああ」
「しっかし悪人てわけじゃない。ただただ王に向かなかった王」
「憎いくらいの悪人ならむしろ楽だったわけだ」
「そんなこんなでなかなか手を出せずにいるのさ」
「なるほど」
ふとジロジロと俺を見始める情報屋。
「その変わった武器、アンタもしかしてチンピラ屋の?」
「こんなところまで伝わっているのか」
日本刀の情報まで乗っかってるじゃねーか。
「はっはっは、情報屋を舐めちゃいけないよ、ってそうだ」
情報屋は俺に指を差してきた。
「ピーンと思いついた。王役、やってみないか?」
「王役? そうか」
「いや、ダメか。首チョンパくらいしないと国民が納得しないからな。アンタのクビをとるわけにはいかないし」
「それなら考えがある」
「後王様は髭生やしてる?」
「立派な髭をお持ちだ」
「OK、任せてくれていいぞ」
「本当か? じゃあちっと話をしてくる。結構時間がかかるけど悪いがしばらくギルドで待っていてくれ」
「今から一時間くらい離れていてもいいかな?」
「そのくらいなら構わない」
「わかった」
一旦エマ達のところへ。彼女達に説明する。
「ということがあってな」
「ふんふん」
「これまた厄介ね」
「今日は帰ってこれないかも」
「了解」
「それではまた行ってくる」
再度ギルドへ。
ギルドで待つこと3時間。情報屋がギルドへ。
「ちょっと料理屋さんまで着いてきてくれ。そこにおえらいさんが来ている」
「わかった」
情報屋のうしろについて歩き料理屋へ。
(奥の隠し扉の中の部屋にいる)
なかなか厳重だな。
隠し扉を開けその先の小さな部屋へ。
「お待たせしました。エズラ王子に大臣のジェレナさん」
「旅の冒険者、タイカンです」
おおう、厳重なわけだ。
「はじめまして、エズラです」
「大臣のジェレナだ」
「では、早速その処刑法の詳細を教える」
大臣が予定している処刑の流れを説明した。
「こんな感じで進めるのだが、どうだ?」
「大丈夫、問題ありません」
「しかし、首を飛ばすとなると。チンピラ屋の件は聞いているから身代わりとしては最適だと思うが」
「特殊な方法で首が飛びます。ご安心ください。ちょっとしたユニーク魔法持ちでして。あまり人に見せたくないので王子様だけにお教えします」
小さくちぎった紙に転送魔法と書き、王子だけに見えるように手で隠しながら見せた。
「なるほど」
「実際見ます?」
「できれば、念の為に」
これまた二人からは死角の位置で転送魔法陣を出した。そこで手を出し入れする。
「ふむ、わかりました。タイカンさんにお任せします」
「王子に従います。タイカン殿、よろしく頼む」
「はい」
その後、細かな打ち合わせをする。
「では一週間後に」
「わかりました」
キャンプ場に戻り、ミラとファーンに事情を説明し手伝ってもらうことに。
「わかりました、手伝います」
そしていよいよ当日。さて、王になるわけだが、変相は簡単。つけ髭に肌を少しカサつかせるメイクで終了。
もし髭が生えてなかったら面倒だったが。
「うおー!」
「エズラ王子!」
「やっとわかってくれたか!」




