第三十二話 陰謀
それから一ヶ月。
「じゃあ王都アリューガへ行ってくる」
「いってきます」
「いってらっしゃい」
エマから離れて王都へ向かった。
途中、少し小高くなっているところで街の全景が見渡せた。
「わ~、大きな街ですね」
「今まで見た中では一番大きな街だな」
街道も大きい。馬車の行き来が盛んだ。
「通っていいぞ」
衛兵にギルドカードを見せ街の中へ。
「賑わってますね、お店がたくさんあります」
「すごいね、お祭りかな?」
街を様子を見て回りながらギルドへ。
「ハハハ、それは市場だよ」
例のごとく話しやすそうな冒険者に話を聞いた。
「この街には国中から人々や商人が来て市場で商売するのさ」
「なるほど」
「いっぱいお店があるからゆっくりまわりたいですね」
(出来ればエマさんとも一緒に)
(そうだな)
「後は、ファーンさんの家に寄るんでしたね」
「ふむ」
「アミマ家ってどこにあります?」
「ここから北東、鉱山区に入る前くらいの場所にあるんだけど、えーっと」
何やら言いにくそうに言葉を濁す冒険者。
「何かあったんですか?」
「当主が急死してな。今色々と忙しい、ぶっちゃけ揉めているところだ。次のアルティメットマスターに誰がなるかでな」
「大変そうですね、情報ありがとうございました」
俺達はギルドから出た。
「どうします?」
「とりあえずアミマ家へ行ってみよう」
鉱山区手前に立派な屋敷があるのを発見。
「ここかな」
大きな門の前に立つ門番に話しかけた。
「すみません。旅の者なんですが、ファーンさんが王都へ来たら寄っていってくれと言ってくれたのでお言葉に甘えて来ました。ファーンさんいらっしゃいますか?」
「ファーン様の知り合いの方ですか」
「はい」
「申し訳ありませんが現状色々込み入ってまして、今は誰も通すなと言われております。また後ほどお伺いしていただけると」
「そうですか、わかりました」
アミマ家から離れた。
「ん~、心配ですね」
「会えないってのはな。まあ、我々は初めて来るから怪しいと言えば怪しいから門前払いでもしかたないかもしれないが」
「そうだな、情報屋に聞いてみよう」
情報屋をみつけ話をした。
「アミマ家の事情? ふーむ、それはちと高いぜ」
「構わん、言い値を出そう」
「おう、金払いのいいやつは好きだぜ。1グワーもまけないけどな」
グワーはお金の単位。
ビタ一文まけないぜってやつだな。いやいやそんなことより情報を。
「今揉めてるのは知ってるな?」
「ああ」
「ファーン以外の兄弟、長男のニングと次男のトラドが組んでファーンを追い落とそうとしているんだ」
「ニングはまあそこそこの強さ、トラドはかなり弱い。厄介なのは腕はイマイチなんだがそのトラドがかなりの切れ者ってところでな。自分は一歩下がって長男を担ぎ上げ、門下生はおろか、多数の街の人間もその智謀で長男派につけちまった」
「街の人間皆んなですか」
「ああ、鍛冶屋全部から一般人まで。様々な方法でな。かなり前から準備していたようだ。そう、まるで当主が死ぬことをわかっているように」
「まさか」
「こりゃあくまで推論さ。証拠はまったくないし死因は脳に血が溜まってだったかな? 普通に病死、突然死と診断されている」
「死ぬ前からファーンにするとまわりや知人に言っていたようだが当主が死んだ後は彼らは皆黙ってしまった」
「次男の手が回っていたのか」
「多分な」
「‥‥アンタ、無茶苦茶詳しいな」
「なに、その当主と付き合いが長かったのよ」
「なる、ほど」
「ファーンを助けてやりたいが俺みたいなちっぽけな情報屋にゃどうすることもできんがね」
「情報はここまでだ」
「わかった」
情報屋と別れた。
「直接調べてくるか。しばらくファーンの様子を見ることにする。悪いがミラ、エマにしばらく戻れないと伝えてくれ」
「わかりました」
ミラと別れ再びアミマ家へ。
(侵入するとしよう)
忍術を使い屋敷へ侵入。
「ファーン様は――」
途中情報を収集、聞き耳を立てながら進み、ファーンの居場所を探す。と、どうしても狭い場所を通らないといけなくなった。隙間の大きさはバスケットボール程度。しかし大丈夫。俺は頭さえ通り抜けられるのなら抜けることが出来る。穴に頭を突っ込んでサイズをチェック。
(よし、いけるな)
全裸になり関節を外す。
(ペキ、バキ、ズルゥー)
穴抜け成功。服を着て再び忍術を使う。
「ファーン様、お食事です」
「ありがとう」
ビンゴ、ここだな。
俺はここで動きがあるまで待つことにした。そして二日後。




