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第三話 技は混ぜよう

 ギルドの奥にある部屋に通された。


「来たか、タイカンくん」


「ジョフさん、おはようございます」


 俺がギルドと契約して冒険者になったときに初心者講座をしてくれた人だ。どうしたんだろう?


「それで、話があるんだが」


「最近、君がここ以外の仕事もしているという話が耳に入ってね」


「ああ、はい」


「悪いことをしているわけではないから止めることはしないけど、大きなトラブルに巻き込まれたり、悪者から勧誘され悪い道へ等、様々なリスクも有る。特に冒険者になりたてはな。まあギルド以外の仕事は注意したほうがいいって話だ」


「なるほど、そういうことでしたか。ご忠告、感謝します」


「かと言ってギルドの仕事が絶対安全かって言われると、そうだ! とは言えないがな」


 苦笑いをするジョフ。


「ああ、それと最近魔王軍がこの近くまで進行してきているのを知っているな?」


「聞いています」


「なら話は早い。魔王軍の領地には侵入しないように」


「はい」


 この世界には我々人族、魔族、獣人族と多種多様な種族がいる。そして基本的に人類と魔族との仲は悪い。今回の魔王軍進行も人類が魔族の土地に侵入、それを不服とした魔族側が人類側の土地に侵入。

 戦争にはなっていないが一触即発の状態ではある。


「話は以上だ」


「ありがとうございました」


 部屋から出る。


(はは、耳が早いな。つい最近始めた俺のサイドビジネスを知っているなんて。それにしても魔王軍か。見たら近づかないようにしないとな)


 ギルドで依頼書を眺める。


「これにするかな」


「はい、アーミービーですね」


 魔獣討伐。魔獣とは人間に害をなす獣達の総称。

 依頼を受け魔獣が住む森へ。


「この辺りかな」


「ブイーン」


 大きな蜂が数匹、俺に向かって飛んできた。


「拳で片付けるか」


 いつもなら腰の鉄の剣で適当に片付けるが、今回の敵は少々すばしっこくて数が多い。こちらも素早い攻撃で対処することにした。


 左足を一歩前に出し、腕は楽に構え、左手の拳を目より少し高い位置に構えて肩でアゴを隠すようにガード。右腕は、肘を右脇腹にくっつけてボディをガード、拳でつねに顔面をガード。姿勢は軽く前かがみ。よくあるボクシングの構えだ。


 技はジャブ、格闘技の中でも最速の技と言っても過言ではない拳による突き。それに古武術で教わったための技法を加え更に高速の突きとなった技「マッハジャブ」を繰り出す。


「ズバババン!」


「ブシュシュシュン」


 向かってきた蜂はすべて上半身が吹き飛んだ。


「余裕で生き抜くことが出来る。教育を施してくれた人達、先生、師匠達に感謝かな。何度か死にかけたけど」


 ボクシングも古武術も教育の一環として教わっていた。他の武術も。てか、世界にある武術はほとんど教わったんじゃないかな。武器術も。


「おっと、こいつだな」


 蜂の死骸から針を切り取る。討伐の証として必要なものだ。


「これでよしっと」


 ギルドへ帰る。


「はい、アーミービー討伐成功です。こちらが報酬になります」


 報酬を受け取る。と、同時くらいに俺に何者かがぶつかってきた。


「……おう、オメーはまだこの街にいたのか、タイカン」


 ガタイがよく大きな斧を背負った冒険者が俺にからんできた。後ろには数人チンピラがいる。実はこれで3回目。何が気に入らないかわからないが目をつけられてしまった。世の中こういう輩はどこにでも居るものだな。

 さて、今日もいつものように対処するか。


 男の方を向く。ポケットに親指を引っ掛け溜めを作る。さらに古武術のためも。


「……」


「うぐ、腹が……」


「無音不動ボディブロー」。全く音もなく、誰にも見えない早さで腹部に攻撃。そのため俺が動いたのは誰もわからない。主に内臓にダメージを与える。


「大丈夫ですか?」


「ちっ、うるせえ……」


 体調が悪そうにギルドのテーブルにつく。仲間は心配そうに様子をうかがっている。

 あの様子からして次回くらいにはもうからんでこないかな?


「はっはっは、相変わらずおもしろい子だな。タイカンくん」


「タラトンさん」


 ベテラン冒険者のタラトンさん。魔術使い。世話焼きのタラトンと呼ばれている、非常にいい人だ。


「昼飯一緒に食べるか?」


「はい」


 この人には色々教えてもらった。特にこの世界のことを。


「今度時間があるときに魔法を教えてください」


「はっはっは、いいとも。まあまずはその素質がなければ使えないがな。使えなくてもショックを受けないように」


「人族は100人に1人でしたっけ?」


「んむ。むしろ出来なくて当然だな」


「魔族は誰でも使えるんでしたね」


「ふむ」


「まだ会ったことはありませんが一本角が生えていて黒い翼を持つ。肌は色黒、でしたね」


「そうだ」


「そろそろいきますか」


「俺がおごろう」


「ありがとうございます」

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