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第二十九話 交渉

「木の化け物にはやっぱり斧だよね」


 手に持っている槍を破獣に向かって投げた。デーモンプラネットはそれをかろうじて叩き落とすもそれはスキを作らせるためのいわば囮。彼女はすでに破獣の頭上に。


「だっしゃーー!」


 力いっぱい斧を振り下ろす。


「ダッパーーン!」


 綺麗に真っ二つになったデーモンプラネット。もちろんそのまま絶命した。


「ほー、強いんですね」


 今の動きを見ただけでもわかる。あの重そうな斧を持って高速で近づき頭上をとった。彼女はもしかしたらミラと同じくらいの強さがあるかもなぁ。うーん、甲乙つけがたいところか。


「だーっはっは、こう見えてアルティメットマスター候補だからね。あ、私はアミマ家現当主の長女、ファーン」


「タイカンです」


「ミラです」


「んえ~、その子もただ者じゃない」


「彼女はゴッドハンドですよ」


「あー! ゴッドハンドか! それなら納得納得」


「ところでアミマ家ってのは?」


「ああ、旅の人みたいだから知らないかな。初代アルティメットマスター直系の家系なんだ」


「なるほど」


「さっきの光る糸はなんです?」


「あれはユニーク魔法だよ。距離制限はあるが手のひらから出してロープのように使えるんだ。さっきみたいに絡みつけて引っ張ったりもできる」


「へぇ、便利な魔法ですね」


「あっ」


「どしたの?」


 俺達の目的を思い出した。デーモンプラネット本体。ファーンさんが倒したんだから当然権利は彼女にある。とは言え次のチャンスはいつになるかわからないよなぁ。

 よし、とりあえず事情を説明してみよう。


「俺達もデーモンプラネットを狩りに来たんですが」


「ふむ?」


「目的はソイツ本体で。加工して作られる防具が欲しくて」


「ああー、そゆこと。いいよー、タダであげ‥‥」


 貰えるのかなと思った瞬間話すのをやめ考え始めるファーンさん。ニヤリとしたかと思ったら再びこちらに話しかけてきた。


「ヌフフ、やっぱタダはやめとく。コイツをあげてもいいけど条件がある」


「その条件とは?」


「一手手合わせ願おうかな」


「いいですよ」


 ふぅ、それなら問題ないか。相手は貴族だから他のもの要求されても出せないだろうし。手合わせならむしろ願ったり叶ったり。俺も彼女の力が気になっていた。


「やったー! おーし、勝負だ!」


「ガララッガララッ」


「ファーン様!」


 ファーンと距離をとっていざ勝負、というところで馬車が近づいてきた。中にいた女性がファーンに向かって走っていった。


「あちゃー、他の場所にも破獣が出たらしい。悪いけどまた次回ね」


「わかりました」


「その破獣あげるよ」


「ありがとうございます」


「あ、それとタメ口でいいよ。歳そんなにかわらないでしょ? 私は19だし」


「わかった、ファーン」


「もしあれだったら今度ウチに来てよ。王都にあるからさ」


「王都には寄るつもりだ。ただ歩きの旅だからまだまだかかるだろうけどね」


「了解~。じゃね!」


 手を振りながら馬車に乗りそのまま走り去っていった。


「彼女、強いですね」


「ミラと同じくらいかな」


「はい、そのくらいかと」


 手合わせできなかったのは残念だけど忙しそうだし仕方がない。


「さて、解体しちまうか」


 と思ったがコイツはそのまま持っていくだけだな。楽でいい。


「ちょっと大きいですけどね」


「なに、持って帰るだけさ」


 大きな布でデーモンプラネットを包み持ち上げた。


「さ、行こうか」


 先程の防具屋に到着。


「お、おおぉ。コイツは。すげえなあんたら!」


「いやぁ、丁度アミマ家の人が退治し終わったところで、いらないってことで貰ったんですよ」


「良かったな、ついてるじゃねえか」


「ところでここに持ってきちゃってよかったんですかね?」


「ああ、裏に大きな工場があるんだ。そこへ持っていってくれ」


「っとその前に、こいつはお代だ」


「こんなに!?」


「当たり前よ。そのくらいの価値があるのよ。ちなみに二人分の服代を引いてそれな。そういった意味でも運がいいってこった」


 そうか破獣素材だからな。ファーンはよく破獣を狩っているからお金は気にしないってところなのかな? 何にせよ次会った時、彼女にお礼を言わないとな。


「ソイツを置いたらまたこっちへ来てくれ。二人の寸法取りをする」


「どんなデザインにするかも話し合わないとな」


「はい」


「後はそうだな。作成に二週間ってところだ」


「わかりました」

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