第二十六話 たまには魚も
それから30分ほど。
「ファーン様、お昼の準備ができました」
「ありがと、今行くね」
「おや? どうかなされたんですか。朝はあんなにふてくされていたのに」
「わかる? どうもとんでもない子が近くにいるみたいでね。なんて言うか腕が鳴る?」
「ファーン様がそこまで熱くなれる方ですか。珍しいですね」
「まあ、いきなり戦ってくださいなんて言えないけどね」
「そうですね。それでも縁があれば戦う機会があるかも」
「きっとあると思う。なんだか運命を感じたから」
昼食を食べながら今後の打ち合わせ。
「下流の方は先客が居た」
「上流の方は誰もいませんでしたね」
「お魚は湖と上流の方でとりましょうか」
俺は湖で、ミラは上流で魚とり、エマは野草取りやその他諸々。
潜って魚とりをするため全裸に。
「ザプン」
湖の中へ。
いるいる、いっぱいいる。素手でひょいひょいと数匹捕まえ陸へ。
魚を置いてまた湖へ。今度は湖底へいってみる。
「お? あれはナマズかな」
つーかデカッ! 1メートルはあるな。それが湖底にびっしりと生息している。
ナマズはウナギより脂が乗っており「淡水魚で一番美味しい」という人がいるくらい実は美味しい魚。
ただしっかりと下処理をする必要がある。そのままだと泥臭くて食べられたものじゃないのだ(地域にもよるという話ではあります)。よく釣りをしていたのでこの辺の知識はバッチリだ。
とりあえず普通の魚を数匹とって一旦キャンプ地へ戻る。さかなを置いてミラのところへ。
「湖底に大物が居た。ただちょっと準備が必要だ。協力してくれ」
石を積んで大きないけすを作った。ここにナマズを入れ泥抜きをする。
「これでよしっと。それじゃ魚をとってくる」
「はい。では私はもう少し上流の方へ」
また湖底へ。ナマズをガッチリと捕まえいけすへ。それを十匹。それでも湖底にはまだまだうじゃうじゃといる。絶滅はないな。
「ナマズね」
エマがいけすを覗き見ている。
「見た目はアレだがうまいんだ」
「確かにそうね」
魚の燻製を作る。とった魚のエラと内蔵を取り出して川で綺麗に洗った後、調味料を入れた樽へ突っ込んでおく。
晩ご飯。焼き魚とスープ。焼き魚の、この皮のパリパリ感がたまらない。魚うめえ!
翌日、漬け込んだ魚を塩抜きして干す。丸一日干す。
次の日、肉と同じように燻製にする。
できあがり!
そこから4日後。
「そろそろナマズの泥抜きが終わったかな」
「昼飯は俺が作るよ」
「わかった。それと三分の一匹ほど、今日の晩の料理用にもらうわ」
「後は保存食にしようと思う」
まずは燻製作り。三匹ほど燻製に。
残りはカマボコ。身をすり身にして棒に貼り付け火であぶる。
「きれいな棒を大量に作ってたのはそうするためだったのね」
「そうだ。まあ、思ってたより量が多くなりそうだけど」
「大きなナマズだからねぇ」
いつ食べても美味しいがやはり焼きたてが一番。ということでお昼はこのかまぼこを。
「おいしいです!」
「濃厚ね」
この匂い、この香ばしさ、そして味。か~、たまらない。
1日かけて4匹分のカマボコが完成。もう1日かかるな。
「晩ごはんできたよ~」
ナマズの唐揚げ、スープにソテー。ナマズづくしだ。
「くぅ! うまい!」
唐揚げウメーなコレ。いつまでも食べていられる。さらにソテー。野草とともにパンで挟んで食べる。フィッシュバーガーぽくてうまい。
「ハハハ。魚も良いものだ」
「そうですね」
次の日、残りのナマズもカマボコに。
「肉と合わせて一ヶ月くらい持つかな」
「そんな感じだ」
「明日出発ね」
出発してから一週間、いつもの情報収集。
「じゃあ街へ」
街に入りギルドへ。暇そうにしている冒険者に話しかけた。
「ああ、ここら、この国じゃ鍛冶が盛んなんだ。この街は鉱山が遠いからイマイチだがね」
「アルティメットマスターって人の影響ですか?」
「そうそう」
男は上機嫌に酒をあおる。
「人類を救った後、この国で暮らし、この国に技術をもたらしたとか。すんごい人だけど一度、一族の人間が王になれる機会があったんだが「有事の際に動きにくくなるからお断りします」と断ったらしい」
「へぇ、王様になるのをね」
「まあ、権力、力ともに王族より上だからな。そもそも王になる必要はないわけさ。王になると逆に面倒が増えるだけだろうからな」
「それは言えますね。その子孫さんは今何を?」
「貴族をやっとるよ」
「ほぉ」
「おっと、話がそれちまったな。この国は鉱山が豊富。後、王都には特殊な施設がたくさんある。溶岩使ったりと素人にゃイマイチわからんことをしてるが」
「そのへん気になるのなら王都アリューガへ行ってみると良い。ここから東の方にある、かなり遠いがな」
「情報ありがとうございました」




