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第二十五話 あらゆる武器術の達人「アルティメットマスター」

 あれから一ヶ月ほど。途中関所があったが無事通過、問題なく旅を続けていた。


「今いる国には人類を救った英雄の子孫が居ると聞きます」


「へぇ。その英雄はどんな人だったの?」


「あらゆる武器術を極めた達人、別名アルティメットマスターと呼ばれる人です」


「武器かー。その技ちょっと見てみたいな」


 武術を嗜む者としてアルティメットとまで言われた武器術をひと目見たいと思うのは自然なことだろう。


「私達は隠れ里にいましたけど、彼らはどうでしょうね」


「ふむ、彼らも隠れ里だとみつからない可能性もあるな」


 会えるかどうかはわからないな。


「そうそう。そろそろ食料の補充をしたほうが良いわね。すぐには無くならないけどお肉の底が見えてきたわ」


 俺達の胃袋を満たし続けてきてくれたランページジェネラルともそろそろお別れか。


「街で買うお肉は人件費の問題で高いのよね。ギルドで魔獣退治のついでにお肉をいただくのが良いと思う」


 基本的にこの世界のお肉は高い。魔獣の肉は命がけだし、牧畜で育てる場合も魔獣が居るから非常に大変、と聞いたことがあった。


 あとお金なら前に王様からもらったからたくさんあるにはあるけど、バンバン使ってしまってはすぐに無くなる。こうやって節約できるところはせつやくしたほうがいいだろう。


 では肉を食べないという選択肢は? ぶっちゃけ穀物だけでも大丈夫だ。だが――


 そんな選択肢は存在しない。

 これは人類に与えられたご褒美であり(略)


「はい、コレ」


 エマは魔獣の名前が書かれたメモを渡してきた。


「これは個人の感想だけど、美味しい魔獣をリストアップしておいたわ。上から美味しい順に並べてある」


「ほほぉ」


 エマの舌なら間違いないだろう。とは言ってもランページうまかったからな。あれは1~3位くらいじゃろう。

 リストを見る。

 な、なにぃ!? ランページが15位だと!? その上は一体どんな猛者たちが居るんだ。


「ゴクリ」


 このリストを見ただけで喉が鳴ってしまった。


「もしソイツラが居なかったらそのまま帰ってきてもらって魔族側のギルドを見ましょうか。そっちでもロクなやつがいなかったら相談ね」


「そ、そうしよう」


 会話どころではなかった。とにかく自分の心を鎮めることに集中した。


「では行ってくる」


 気持ちを落ち着けてから出発。しっかし上には上がいるんだな。

 ん? まてよ。この紙を見られたら大変なことになるのでは。肉の取り合い、そんな事になってはこの世界は。

 メモを内ポケットに入れ、周囲を見渡しながらコソコソと出発した。


(挙動不審だけど大丈夫かしら‥‥)


 街に到着後ギルドへ。

 早速掲示板の前に立ちメモを隠しながらチラチラと依頼書を見る。


(何やってんだアイツ)


 結果。

 0.肉0.


「そういうこともあるわ。元気だして」


「お、俺はそんなにダメージ受けてないし」


「まあいいわ。今度は私が行ってくる」


「お願いします!」


 しばらくしてエマが帰ってきた。


「なかったわね」


「そうか」


 俺は力なく肩を落とした。

 エマが地図を見ながら話をする。


「そうね、この先に湖があるようだからそこで魚でもとってみる?」


「ふむ?」


 魚か。ジューシーな肉もいいがあっさりな魚もすておけない。しかも生まれが日本。

 魚、食べます。


「賛成!」


「そ、そう。じゃあ明日はそこへ移動で」


 一夜明け出発。お昼ぐらいに湖についた。


「ほー、きれいな湖だね」


「川とつながっているようね」


 キャンプの準備をする。


「これでOK。じゃあ私はお昼作るね」


「俺は下流の方を見てくるよ」


「じゃあ私は上流の方を」


 湖の周りを歩き川とつながった場所にたどり着く。そこでは一人の女性が釣りをしていた。


(おっと先客がいるか。なら魚は上流の方で取ろうかな)


 と、どんな魚がいるか気になるし声をかけてみよう。


「釣れますか?」


「ああ、釣れるよ。イレグイだよ」


 話している間に釣り竿がしなる。彼女がすっと竿を上げ、大きな魚を釣りあげた。


「おー。大きいですね」


「フフフ、でしょでしょ?」


 機嫌よく魚を網カゴの中へ。そしてまた針を川の中へ。

 あれ? エサはつけ忘れ?


「よいしょ!」


 魚を釣り上げた。これはもしかして水の中の魚の動きを見て引っ張り上げてるのかな。だとしたらかなりの技術だ。釣り名人の人かも。


「面白いものを見せてもらいました。では、失礼します」


「うんうん、じゃあね~」

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